IT関連の見本市である「C3 Expo」が6月28-30日の3日間、米ニューヨーク市のジャビッツセンターで開催された。開催期間中の入場者は3万人を超え、ニューヨークで行われるIT関連イベントのなかでも最大級のものとなった。C3 Expoは特にセミナーや講演が充実していることで業界関係者の注目を集めている。技術的な面だけではなく、社会的な意味合いが重要となってきた今日のIT産業においては、技術指向の米西海岸ではなく、市場指向が強いニューヨークで行われたことの意義は大きい。(ニューヨーク発)(田中秀憲(ジャーナリスト)●取材/文)
充実したセミナー・講演が人気
■基調講演はNEC米法人社長 C3 Expoの「C3」とは、「コーポレート」、「チャネル」、「コンピューティング」の3つを意味する。ネットワーク関連技術、モバイルやワイヤレス、セキュリティやデータベース、そして教育分野への利用など多方面でのIT産業の関わりとその今後を模索する展示会である。参加企業は世界各国から集まり、また大手企業のみならず中小企業やベンチャーまで参加し、関係者の注目度も高い。
そしてこのイベントならではの特徴は、出展している企業や各方面の専門家、さらにはアナリストや識者によるセミナーやカンファレンスが充実していることだ。期間中、毎日行われる基調講演をはじめ、合計で150回を超える講演が行われた。各出展社のプレゼンテーションを入れると、その数は他の展示会の比ではない。
今回、オープニングの特別基調講演はNECの米国法人、NECソリューションズアメリカの近藤忠雄社長兼CEOが行った。近藤社長兼CEOはNECの2005年以降の米国でのビジョンを話すとともに、企業として環境問題にいかに取り組むべきかを力説。日本企業といえども、米国、そして世界的な視野を持つことがIT業界での成功の重要な点であるとした。日系企業が米国でのイベントでオープニングの基調講演に登場するというのはまだまだ数少ないなか、いかに同社が米国での基盤を固めているかが見て取れる。
同社はイベントホールにも大きなブースを設置し、個人向けや企業向けなど各種の提案を積極的に行っていた。その中には医療分野での活用を提案するものもあり、NECの幅広いソリューションをアピールしていた。
基調講演では、近藤NECソリューションズアメリカ社長兼CEOに続いて、ノーテルのフィル・エドホルム上級技術副社長やコンピューター・アソシエーツのジェフ・クラークCOOなどIT産業界の重鎮が名を連ねた。
■米軍需大手も出展 米国で基盤を築きつつあるのは日系企業だけではない。IT先進国として各国から注目を集める韓国は、会場の大きな一角を韓国系企業のみで占め、韓国IT産業の品質の高さとその充実ぶりを見せつけていた。またロシアやアイルランドの企業も出展するなど、今日のIT業界では国による制限を受けず、その品質や技術レベルの高さだけが成功の要因であることが伺える。
もちろん米国企業群もこのような状況を甘んじて受け入れているわけではない。IBMやインテル、グーグル、ベリサインなど大手IT企業が出展しており、各社とも積極的なプレゼンテーションを行っていた。特にグーグルはそのサービスが一般に理解されやすいことから、会期初日からテレビ局の取材を受けるなど多くのメディアの注目を集めていた。
また、今回のC3 Expoには米軍需大手のノースロップ・グラマンも出展した。軍事関係という背景から、特にセキュリティ分野や各種のシミュレーション技術で優れた技術を持つ同社もいくつかのセミナーを開催したが、会期内に行われる多くのセミナーが無料であるのに対し、同社のセミナーはすべて有料。それも1000ドル近くと、かなり高額だったが、参加希望者が多く、セキュリティ分野への注目度の高さを垣間見ることができた。
■ITの有効利用に焦点当てる 出展しているのは大手企業だけではない。例えば、ネットで企業向けITサプライ品を販売しているSHOP[4]Tech(
http://www.shop4tech.com/)は、注文から納品までの迅速さで物流の無駄をなくすことをアピール。その他にも、安価なデジタルビデオカメラ「SUPACAM」をネットショップだけで販売しているNISIS USA(
http://www.supacam.com/)など、新たな市場を切り拓こうとするベンチャーや、IT分野の専門教育を充実させるために複数の大学が共同で立ち上げたユニバーシティ・アライアンス(
http://www.universityalliance.com/)にように、教育・人材育成面からIT産業をサポートする機構の参加も見られた。このように大手企業だけではない数多くの参加が見られるのもC3 Expoの特徴である。
このイベントはすでに来年の開催も決定している。今年の盛況ぶりからは来年以降の成功も間違いないところだろう。現在、IT関連のイベントはその多くが規模の縮小を迫られたり、開催そのものを断念するケースも多くなっている。そんななか、今回のC3 Expoの成功の要因は、いかにITを有効利用できるかに焦点を当てたことによるものではないかと考えられる。技術先行や商売優先ではなく、開発者側とその利用者側が情報を交換し合い、互いに最もメリットのある方向を探っているからこその成功であろう。来年以降も大きな期待が持てるイベントである。