パートナー支援強化策を相次ぎ打ち出す
中小企業向け製品とサービスで囲い込み
米マイクロソフト(スティーブ・バルマーCEO)は、7月8日から10日までの3日間、米ミネソタ州ミネアポリスでパートナー企業向けの年次カンファレンス「マイクロソフト・ワールドワイド・パートナー・カンファレンス(WPC)2005」を開催した。カンファレンスでは、中小企業を顧客に獲得するための製品やサービスが相次ぎ発表されるなど、パートナーの囲い込みを狙った支援強化策が6200人もの参加者を前に披露された。パートナービジネスの拡大にかけるマイクロソフトの意気込みが垣間見えた瞬間だった。(佐相彰彦●取材/文)
■世界各国のパートナー6200人が集結 日本からは80人が参加 「WPC」は1997年に開始して以来、今回で9回目。システムインテグレータ(SI)やISV(独立系ソフトウェアベンダー)、リセラーなど、世界各国から過去最高となる約6200人のパートナー企業関係者が参加した。日本からのパートナー参加者は約80人。多くのパートナーがマイクロソフトの支援プログラムに関心を抱き、パートナーシップの今後の方向性を見極めようとした。
初日に行われた基調講演では、アリソン・L・ワトソン・ワールドワイドパートナーセールス&マーケティンググループ担当バイスプレジデントが、昨年掲げたテーマ「Velocity(速度)」を今年も引き続き踏襲することを表明。ビジネス拡大の速度を上げるためにソフトウェアの革新を含め、「パートナーにとって有益」なことに力を注ぐとともに、「顧客企業が何を望んでいるかを考えていく」ことが、結果的にパートナーのメリットにつながると訴えた。
具体的なパートナー支援強化策については、中小企業の顧客獲得に向けた教育プログラム「マイクロソフト・スモール・ビジネス・スペシャリスト」をパートナーに提供することで、中小企業市場開拓のスペシャリスト育成に努めるほか、中小企業に関する情報の配信サイト「スモール・ビジネス・センター」を立ち上げる方針が示された。
製品面では、50人規模の企業を対象にサーバー製品やクライアントアクセスライセンス(CAL)などをパッケージ化し、価格を20%割安に設定した「ウィンドウズ・サーバー・システム・フォー・ミッドサイズ・ビジネス・オファー」を発売するほか、3種類のライセンスを1つにまとめ、初期費用など初年度にかかるコストを大幅に下げた「オープン・バリュー」を今年秋から提供開始することなどを計画。このほか、直販ビジネスとパートナービジネスの連動や、コンサルティングを含めたサービスをパッケージ化するパートナー支援策なども打ち出された。
■パートナーとの協調をアピール、日本法人は独自戦略も計画 最終日には、バルマーCEOが基調講演に登場。登壇後すぐに「I love you,partners!」と叫び、会場に詰めかけた6200人のパートナーを見渡し、「(みなさんは)“勝つ”ために我々(マイクロソフト)を信頼してくれている」と呼びかけた。そして、感謝の意を込め「Thank you」を何度も繰り返し、「パートナーと二人三脚を続けるには、我々も勝ち続ける企業でなければならない」と熱弁をふるった。
マイクロソフトがパートナー支援強化策を打ち出す目的は、パートナー企業の囲い込みに他ならない。中小企業を攻略する方策として、Linuxなどオープンソースの活用を視野に入れるSIやソリューションベンダーが増えている。マイクロソフトの競合となる大手ITベンダーとのパートナーシップを深めようとしている企業もいる。支援強化策を通じウィンドウズの優位性を訴えなければ、パートナーのつなぎ止めも容易でない。
基調講演では、Linuxや競合ベンダーに比べマイクロソフトが優位にあることを誇示する場面もしばしば見られた。ケビン・ジョンソン・ワールドワイドセールスマーケティング&サービス担当バイスプレジデントは、「私が知っているだけでも、Linuxを導入してはみたもののウィンドウズに戻った企業は(最低でも)100社程度はいる」、「Linuxが存在しても、ウィンドウズは伸びている」などとアピール。競合ベンダーについては、バルマーCEOがIBMを例に挙げ、「IBMの製品が最高のものであるとは思わない。当社とパートナーが集まればIBMに負けるわけがない。協力して勝とう」とパートナーシップを深めることが大手ベンダーへの対抗策であると訴えた。
今回のカンファレンスを受けマイクロソフト日本法人では、「そのまま活用できる支援策は活用し、ローカライズするものは日本に合ったものにする」(宗像淳・業務執行役員ビジネスパートナー営業本部長)と、引き続きパートナー支援に全力を挙げる方針。例えば、中小企業向けスペシャリスト育成プログラム「マイクロソフト・スモール・ビジネス・スペシャリスト」を、全国各地のSIで構成する「IT推進全国会」と融合させるなど、日本独自のSMB(中堅・中小企業)戦略を検討している。
こうした取り組みにより、「ライセンスビジネスは年率約40%増と順調。パートナービジネスも今年度(06年6月期)には同じレベルまで引き上げたい」(宗像業務執行役員)と意欲をみせる。
マイクロソフトがパートナーを囲い込めるかどうかは、日本をはじめとする世界各国の現地法人が、今回の支援策を自国の環境に適した内容に仕上げられるかどうかにかかっている。
 | 大塚商会、パートナー授賞式で3部門獲得 | | | | | 「WPC2005」では、世界各地の優秀なパートナー企業を表彰する「マイクロソフト・パートナー・プログラム・アワード」も開催された。このうち、各部門ごとに最も功績の高かった1社だけに贈られる「パートナー・オブ・ザ・イヤー・アワード」の「Winner(受賞社)」に、大塚商会と富士通の2社が日本企業で初めて選ばれた。しかも、大塚商会は複数社に贈られる「カスタマー・エクスペリエンス・アワード」を含め、3部門で「Winner」を獲得するという快挙を成し遂げた。 大塚商会が受賞した3部門は、「ライセンス・デリバリー・ソリューションズ」の「セールス・アンド・マーケティング」部門、「ネットワーキング・インフラストラクチャ・ソリューションズ」の「セールス・アンド・マーケティング」部門、「カスタマー・エクスペリエンス・イニシアティブ」部門 |  | (複数社が受賞)。富士通は、「ISV/ソフトウェア・ソリューションズ」の「セールス・アンド・マーケティング」部門で受賞した。 大塚商会の矢野克尚・取締役兼上席執行役員LA事業部は、「日本初の単独受賞に加え、3部門を獲得したことは嬉しい」と喜びの声もひとしお。一条清・LA事業部特販課シニアコンサルタントも、「昨年は、複数社に贈られる賞しか獲得できなかったため、悔しい思いをした。今年は、昨年よりも受賞数が多いこともあって参加した甲斐があった」と顔をほころばせる。 マイクロソフト日本法人の宗像淳・業務執行役員ビジネスパートナー営業本部長は、「単独受賞のパートナーが出たという点で、日本の存在感が一段と大きなものになる」と手応えを感じていた。 | | | | |