その他
台湾パーツメーカー、パソコン本体に着手 高付加価値で利益率向上図る
2005/08/01 15:00
週刊BCN 2005年08月01日vol.1099掲載
台湾系マザーボードメーカーなどの日本法人がパソコンの完成品事業に着手する動きが活発化してきた。組立パソコン用パーツの販売が厳しさを増しつつあるなか、パーツよりも付加価値の高い完成品を手がけることで利益を確保していく狙い。OEM(相手先ブランドによる生産)方式でパソコン本体を世界に供給してきた台湾本社の実績を生かし、日本市場でも完成品ビジネスの領域に踏み込み、グローバル戦略を加速する。(佐相彰彦●取材/文)
グローバルビジネス拡大も視野に
■パーツのノウハウを完成品に
台湾系マザーボードメーカーの日本法人、エーオープンジャパンは、今年10月から世界最小のパソコン「Mini PC」の販売を開始する。同製品は、液晶モニタを搭載しないデスクトップ型。OSとしてマイクロソフトの「ウィンドウズXP」が搭載可能で、CPUにインテルの「セレロン」を採用した機種と「ペンティアムM」を採用した機種の2種類を予定。発売後1年間で2万台弱の販売を見込む。
葉一徳社長は、「これまで当社はマザーボードだけでなく、それを発展させてベアキットPCの開発も手がけてきた。こうしたノウハウを完成品の領域にまで発展させ、新しいビジネスに育てていきたい」と強調。「自社ブランドでパソコン本体を市場に投入すれば、(パーツ分野での)知名度を向上させることにもつながる」とアピールする。
これまで組立パソコン用パーツを手がけてきた日本シャトルでも、液晶モニタを標準装備したデスクトップパソコンを今秋をめどに発売する。これまで販売してきたキューブ型ベアキットPCにCPUとメモリ、HDD(ハードディスクドライブ)、マイクロソフトのウィンドウズOSを搭載。価格は10-15万円を予定している。林宏杰社長は、「デスクトップ市場は、高機能モデルと低価格モデルに2極化している。その隙間の価格帯で製品を市場投入することで新規顧客を開拓していく」と、他のパソコンメーカーがターゲットとしていないマーケット領域でビジネスを手がけていく方針を示す。
■各社、OEMメーカーからの脱却へ
台湾系メーカーが日本市場でパソコン完成品ビジネスに相次ぎ乗り出す背景には、本拠地である台湾はもとより、日本や米国などの地域でパーツ市場が縮小傾向にあることが挙げられる。パーツ市場が成熟期を迎えつつあるこれら地域では、機能面で差別化が図りにくいマザーボードでシェアを高めるには、マーケティングや販売などに莫大なコストと多大な労力を割かなければならない。特に日本市場では、シェア拡大に向けた低価格化競争が一段とエスカレートしている。こうしたなかで利益を確保していくためには、付加価値の高いビジネス領域に入り込まなければならないのが現実だ。
実際、エーオープンジャパンでは具体的な数字は明らかにしていないものの、今年度(2005年12月期)の売上高が前年度を下回る水準で推移している。同社では、こうした現状を「Mini PC」の発売で打開していきたい考え。まずは、「粗利率の改善」(葉社長)に注力し、「MiniPCで17%以上の粗利率を確保」(同)していく方針だ。日本シャトルも、「利益に関してはベアキットPCより高くなるだろう」(林社長)と期待をかけている。
台湾本社にとっては、パソコン本体を手がけることが、グローバル市場でブランド力を高める最大の武器となる可能性が高い。OEMメーカーから脱却し、自社ブランドによるグローバルビジネスの展開が、パーツビジネスを主体としてきたこれらIT企業にとっては大きな意味を持つ。
特に、今後IT市場の急成長が見込まれる中国やロシア、中東などの地域でブランド力を発揮するには、日本や米国などで先行販売し、市場でどの程度の反響があるかを見極めることが重要な戦略と見られる。
台湾系マザーボードメーカーなどの日本法人がパソコンの完成品事業に着手する動きが活発化してきた。組立パソコン用パーツの販売が厳しさを増しつつあるなか、パーツよりも付加価値の高い完成品を手がけることで利益を確保していく狙い。OEM(相手先ブランドによる生産)方式でパソコン本体を世界に供給してきた台湾本社の実績を生かし、日本市場でも完成品ビジネスの領域に踏み込み、グローバル戦略を加速する。(佐相彰彦●取材/文)
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