その他
<ISVから見たベンダー戦略 マイクロソフトを選択する理由(上)>大企業も中小企業もSQLを採用へ
2005/09/19 21:10
週刊BCN 2005年09月19日vol.1105掲載
データベース(DB)などミドルウェアを提供するプラットフォームベンダーはここへきて、国内のISV(独立系ソフトウェアベンダー)をパートナー制度に加盟させ、自社の製品を組み込み販売してもらう活動を積極化させている。特に、外資系ベンダーの戦略的な取り組みは急で、ISV獲得合戦は熾烈になっている。マイクロソフトへシフトし始めたISVの動きについて、その理由を含めリポートする。
パソコン量販店の店頭市場では、業務ソフトウェア分野で圧倒的なシェア(BCNランキング)を誇る弥生(平松庚三社長)。データベースなどミドルウェアを提供する外資系ベンダーは、弥生が業界トップのISVだけに、こぞって自社のパートナー制度への参加を働き掛けている。「日本オラクルや日本アイ・ビー・エム(日本IBM)、サイベースなど、データベース(DB)を持つベンダーを中心に、今でも頻繁にアプローチがある」(伊藤博之・プロダクトマーケティング部製品企画課長)と、外資系ベンダーからのオファーの多さに驚く。
弥生は、2004年にリリースしたスタンドアローン版「弥生会計05」から、データを格納する機能として、マイクロソフトのアクセス用に開発されたDB「Jetデータベースエンジン」を採用した。それ以前のバージョンでは、業務処理スピードを維持するため、独自形式のデータ格納を採用していた。「弥生会計05」でマイクロソフト方式を採用した理由は、「会計データの分量が増え、より大量のデータを処理する必要があった」(伊藤課長)ためだ。
今年5月には、従来のスタンドアローン版に加え、ネットワーク版「弥生会計05 NE(ネットワーク・エディション)」をリリースした。ネットワーク版のデータ格納では、前バージョンでJet方式を採用しているので、「開発スキームを変更するハードルは大きい。しかも、マイクロソフトのエンジニアリングに対するサポート体制が充実している」(伊藤課長)ことなどから、「SQLサーバー2000」を選択した。
連結会計ソフト開発のディーバ(森川徹治社長)は、創立9年目の今年度(06年6月期)、親会社が子会社の情報を取得して連結決算を短期間で集計できる主力ソフト「DivaSystem(ディーバシステム)」に加えて、新たなモジュールの開発に着手した。「ディーバシステムは、『制度連結』に着目して、連結経営を推進するシステムとして独自性が評価された。だが、ここへきて連結決算システムを出す競合ベンダーが、当社と同様の機能をプラスアルファしてきており、差別化が難しくなった」(森川社長)と、他社の追随を警戒する。
そこでディーバは、同ソフトの連結データへアクセスして利用するレポーティング機能を拡充することにした。森川社長は、「連結経営に特化したBI(ビジネス・インテリジェンス)のソリューションベンダーへの道を歩む」と、製品群の拡充を急ぐ計画だ。
「ディーバシステム」の導入実績は、大企業を中心に約400社に及ぶ。東証1部上場企業で売上高1兆円以上の超大手では、東芝や松下電工など3分の1がこのソフトを導入している。
実は、現在でも大手外資系BIベンダーのツールを「ディーバシステム」とセット販売している。だが、「価格の面で、このBIを導入できない企業がある」(森川社長)と、マイクロソフトのSQLサーバーに付加されたレポーティング機能「Reporting Services」を利用したBIを実現しようとしている。
森川社長は、「当初からデータベースはオラクルDB、開発環境はマイクロソフトにしていた。だが、連結決算システムに利用する開発環境は、マイクロソフトがデファクトスタンダート(事実上の業界標準)になりつつある。SQLサーバーをオラクルDBの代替として使うのではなく、BIエンジンとして注目している」と、マイクロソフトとの技術協力を強化した。
大企業を中心に営業のプロセスを可視化するツール「eセールスマネージャー」を提供するソフトブレーン(宋文洲社長)も、SQLサーバーの「Reporting Services」に注目する1社だ。「同ツールと組み合わせ、コンサルティングサービスの一環で、SQLサーバーの提供を検討している」(妹尾保史・プロセスマネージメントコンサルティング部サービス企画チームチームリーダー)と話す。
SQLサーバーは、オラクルDBなどに比べ、大企業での導入率は依然低い。だが、弥生などが主力とする中小企業だけでなく、ディーバやソフトブレーンが提供する大企業向けソフトやツールにもSQLサーバーの採用が広がっていることが分かる。(企画編集取材班)
データベース(DB)などミドルウェアを提供するプラットフォームベンダーはここへきて、国内のISV(独立系ソフトウェアベンダー)をパートナー制度に加盟させ、自社の製品を組み込み販売してもらう活動を積極化させている。特に、外資系ベンダーの戦略的な取り組みは急で、ISV獲得合戦は熾烈になっている。マイクロソフトへシフトし始めたISVの動きについて、その理由を含めリポートする。
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
- 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…