昨年8月に開始した富士通システムソリューションズ(Fsol、秦聖五社長)の「WebSERVE(ウェブサーブ)/オフコンマイグレーションサービス(COBOL資産変換サービス)」が、同社の目標を上回る伸びを見せている。
西暦2000年問題(Y2K)で再構築したオフコンのリース切れ時期にあることや、要員不足でシステム維持に悩むオフコンユーザーによるレガシー(旧式)システムの最適化に向けた動きが、ここへきて強まっているためというのが同社の分析だ。同サービスの今年度(2006年3月期)上期の実績は、目標に対し約1.6倍と大幅に上回り「下期は計画を上方修正する予定」で、オフコンのリプレース市場は依然として底固いようだ。
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富士通製のオフコンは約2万台が現存する。このうち、首都圏をエリアにするFsolが保守・サポートするオフコンは100-150台。富士通は昨年、この“塩漬け”状態にあるオフコンや汎用機などレガシーの最適化を促進する部署「トランスマイグレーション部」を新設した。これを受けて、Fsolは「オフコンの顧客にターゲットを絞り、オフコンを最適な環境へ移行するサービス」(島津盛光・地域ソリューションサービス本部統括部長)を開始した。
富士通は今年8月、オフコン独特の操作性やインタフェースをオープン環境で実現するミドルウェアの新製品「MJランチャー」や、富士通製オフコン「Kシリーズ」などのCOBOL資産をウィンドウズなどの環境へ移行する「PowerFX(パワーFX)」の新版を出して、COBOL資産をオープン系へ移行する環境を整えた。
Fsolの同サービスは、オフコンユーザーのニーズに応じて3つのサービスを提供している。1つは、オフコン上のCOBOL資産をオープン系のUNIX/Linuxやウィンドウズへ移行する「COBOL資産変換サービス」。富士通製のCOBOL開発環境「NetCOBOL」を利用して、短期間・低コストで移行する。また、COBOL資産が利用できない場合は、販売テンプレートなどを新規に導入する「オープンパッケージ適用サービス」を推奨している。オフコンマイグレーション案件で7割を占めるのは、3つ目の「リニューアルサービス(画面帳票ウェブ化)」で、富士通オフコンの後継サーバーへ移行して、MJランチャーやパワーFXを使い画面や帳票をウェブ化する。
Fsolは、この3つのサービスをまず、富士通製のオフコンを持つ企業へ売り込んでいる。すでに他社製オフコンからの移行を検討する案件も出ていることから、「当社が保守・サポートするオフコンの移行が一巡したあと、他社のオフコンを攻める」(島津統括部長)という。さらに、同社や市販のパッケージを利用した全面移行や、プリンタベンダーの帳票システムを組み込んだ新たなサービスの提供を強化する。
オフコンマーグレーションサービスは今年度上期、目標(25社で5000万円)に対し、34社で8100万円の実績を上げた。同下期は、「単純にオフコンをリニューアルするのでなく、付加価値を与える」(信本昌彦・地域ソリューションサービス部マネージャー)ことなどで、需要が伸びるとして、30社で7000万円の計画を上方修正する予定だ。