その他
PCサーバー デル上半期でシェアトップに迫る 景気回復で需要増が追い風に
2005/12/19 14:53
週刊BCN 2005年12月19日vol.1118掲載
今年度上半期(2005年4-9月)のPCサーバー出荷台数で、NECとデルが、1%以下の僅差で拮抗しているとの集計結果が複数の調査会社から発表された。いずれも伸び率では直販メーカーのデルが上回り、既存チャネルを抱える弱点を巧みに突いて台数シェアを大きく伸ばしている。背景にあるのはPCサーバーのコモディティ(日用品)化で、需要が急増するなか、「従来型の代理店網中心の売り方だけではシェアの維持は難しい」との声も聞こえてくる。対抗策として、直販での大口案件の獲得や、ミドルウェアを絡ませた脱オープン化の試み、これまで直接取り引きがなかった全国の中小SIer、ISVの取り込みなど、国産メーカーは根本的な対策を迫られている。(安藤章司●取材/文)
競合メーカーは中小SIer取り込みへ
■ソリューションでは台数伸びず
調査会社のなかでも、今年度上半期のNECとデルのシェア争いに関しては見方が分かれている。MM総研によれば、デル(22.5%)がNEC(22.2%)を上回って首位に立った。一方ノークリサーチでは、NEC(23.9%)がトップを堅持し、デル(23.0%)が僅差で迫っている。いずれにしても、その差はわずかで、デルが首位を激しく追い上げている構図に変わりはない。
上半期(2005年4-9月期)、NECや富士通などは系列システムインテグレータ(SIer)やビジネスパートナーが受注したソリューション案件に絡む引き合いは増えているものの、直販ベンダーのデルの伸びを上回る販売台数は稼げていない。
大手ベンダーの系列SIer幹部は、「ソリューションベースのビジネスでは販売台数を大幅に伸ばせない」として、メーカーが系列SIerやビジネスパートナーに出荷増を期待するのは限界にきていると打ち明ける。デルの急伸を前に、既存の販売チャネルの弱点があらわになった格好だ。
景気好転による需要拡大でPCサーバーの出荷台数が拡大基調にあるなか、デルの直販スタイルが市場の要望に合致したといえる。ハードウェアを持たない大手独立系SIerが、ソリューションビジネスで競合するNECや富士通などと一線を画し、デルを支援した影響も大きい。
デルは、この上半期、大口案件を獲るとともに、小口でも着実に販売量を伸ばした。地域に密着した中小SIer、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)の「半数余りがデルを引いている」(市場関係者)可能性もあるとされ、小口案件においてもデルの販売戦略がプラスに働いている。
情報サービス関連の事業者は全国に約7000社といわれ、その多くがソフト開発を主体としている。こうした事業者にとっては、ハードへのこだわりは薄く、低価格の印象が強いデルは“無難な選択”だ。系列SIerを多く抱える国産メーカーは、販社が客先に提示する価格より安い価格を出しにくいという事情がある。このため、標準価格ベースではデルとの価格差が大きく、デルの価格攻勢に有効な対抗手段を打ち出せない。
■シェア確保に新手の対策
こうした動きを受けて、競合メーカーでは、直販による大口案件を戦略的に獲得するとともに、これまで直接取り引きしてこなかった全国のSIer、ISVを自社陣営に取り込む施策強化を進めることで、シェア拡大を図っていくものと見られる。
日本アイ・ビー・エム(日本IBM)のトップディーラーの日本ビジネスコンピューター(JBCC)は、販売台数を稼ぎにくいソリューションビジネスとは別に、卸専門の子会社を06年4月に立ち上げてIBM製品のシェア拡大を推進する。他メーカーの系列販社に同様の動きはまだ見られないものの、シェア改善が進まなければ、本業のソリューションとは別に、何らかの仕掛けを講ずる必要があるだろう。
SIerとしては、顧客がどのメーカーのハードを選択しても、その上で本業である「システム構築ができればいい」(別の大手SIer幹部)というのが本音だ。メーカーの中には、オープン化による既存の顧客離れや、シェア確保の命綱である系列SIerとの関係希薄化を恐れて、「脱オープン」を進める動きも活発化している。また、ミドルウェアを拡充するなどして独自性を強め、販売チャネルやユーザーの囲い込み、関係強化の進展を狙う方向にある。
PCサーバーは今年度(2006年3月期)の出荷台数は過去最高の50万台を超える見通しだ。拡大基調に合致した販売戦略を迅速に打てるかどうかで、シェアが大きく入れ替わる可能性がある。
今年度上半期(2005年4-9月)のPCサーバー出荷台数で、NECとデルが、1%以下の僅差で拮抗しているとの集計結果が複数の調査会社から発表された。いずれも伸び率では直販メーカーのデルが上回り、既存チャネルを抱える弱点を巧みに突いて台数シェアを大きく伸ばしている。背景にあるのはPCサーバーのコモディティ(日用品)化で、需要が急増するなか、「従来型の代理店網中心の売り方だけではシェアの維持は難しい」との声も聞こえてくる。対抗策として、直販での大口案件の獲得や、ミドルウェアを絡ませた脱オープン化の試み、これまで直接取り引きがなかった全国の中小SIer、ISVの取り込みなど、国産メーカーは根本的な対策を迫られている。(安藤章司●取材/文)
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