その他
A4カラーレーザー複合機、大幅拡大の兆し ブラザー工業、沖データ参入で
2006/01/16 14:53
週刊BCN 2006年01月16日vol.1121掲載
企業向けでデスクトップ型のA4カラーレーザー複合機市場が今年、大幅に拡大しそうだ。1月には、ブラザー工業と沖データが同市場で新製品を投入。先行するキヤノン販売とエプソン販売は、同市場の開拓に積極的とはいえなかったが、新規2社の参入で、一気に覇権争いが活発化すると予想されている。国内の同市場は、昨年の販売台数が5000-6000台。各社によると、今年は、前年比約3倍の1万5000台に成長するとの推測で一致している。A4対応の単能機カラーレーザープリンタがようやく普及期に入り始めたばかりで、複合機との覇権争いが注目される。(谷畑良胤●取材/文)
昨年比3倍の年間1万5000台へ
■事務機、SIerとの販路構築へ
デジタル複合機ではモノクロ機を出してきたブラザー工業は1月17日、同社初のカラー機となるA4カラー複合機「MFC-9420CN」の出荷を開始する。同社のMFCシリーズでは、“フラッグシップ”となる機種で、「プリンタ販売の推進役になる」(大澤敏明・営業企画部国内推進グループプロフェッショナル・マネジャー)と期待する。
「MFC-9420CN」のターゲットは、設置スペースに限りのあるSOHOの基幹と企業のワークグループ。年間販売台数は1万台を目標にしている。「価格と機能で当社にアドバンテージがある」と、このクラス最安値(15万円弱)を強みに市場をリードすることを狙う。
沖データも1月に印刷と読み取りで国内最速のA4カラー複合機「C5510MFP」(19万円弱)を出荷。「従来のSOHO向け複合機とは一線を画す高いネットワーク機能をもつ」(舘守・国内営業本部副本部長)ため、ブラザー工業と若干異なり、比較的規模の大きい中堅企業のワークグループへ照準を定めた。
「C5510MFP」はすでに、ヨーロッパのA4カラー複合機市場でシェア第2位の18%を獲得し、好評なことから国内にも投入した。国内では、年間販売台数目標を5000台とし、「シェア30%を狙う」(舘副本部長)。
ブラザー工業の販売チャネルは、いまのところパソコン量販店の法人営業が主流。だが、「将来的に出荷の半数を事務機ディーラー経由にしたい」(大澤マネジャー)と、チャネル開拓を本格化させる計画だ。一方の沖データは、大手ディストリビュータとSIerが販売チャネルの主流。「量販店は全体の20%程度」(舘副本部長)という。
沖データの「C5510MFP」は、スキャン画像をその場で直接複数の相手にメール送信できるなど、ネットワーク機能に優れている。そのため、「ドキュメント管理のソリューションと組み合わせた販売が伸びる」(舘副本部長)と、SIerとの協業を強化する。
■先行2社は「複合提案」を重視
この市場を先導したキヤノン販売は、05年2月に国内で初めてA4カラー複合機「MF8170」を投入した。A4カラー複合機の昨年の国内出荷台数は、同機が大半を占めるが、「予定通りの出荷台数だ」(梶谷義人・コーポレートプロダクト商品企画課課長)と、現状を分析。最近では、「新規に事務所を構える企業でA4カラー複合機を導入する例が増えている」(同)という。従来の日本企業ではA3機が主流だったが、新興企業はA4機に移行する傾向にあると分析する。
しかし、昨年6月にA4カラー複合機「LP-A500」を出したエプソン販売は、「国内の主流はまだA3機」(小野潤司・販売推進部課長)と反論する。同社は、他の3社がターゲットとするSOHOやワークグループ向けには、「LP-A500」と同時に出荷したタワー型でA3対応の「LP-M5500」の販売を主軸に据えている。
「LP-A500」は「むしろ海外向け」(小野課長)と見ており、A4カラー複合機市場の拡大についても「未知数」と、様子見の立場だ。それでも、「『LP-A500』は量販店から引き合いがある」(同)と、一定の需要増を見込んでいる。
キヤノン販売とエプソン販売はいずれも、他のプリンタ製品との「複合提案」が主流。A4カラー複合機単体で、受注を狙う戦略ではないようだ。
4社のA4カラー複合機は、価格が14-40万円。各社とも「10万円を切れば、この市場はブレイクする」との見方で一致している。キヤノン販売の梶谷課長は「新規参入が増え、確実に市場は活性化する」と、A4カラー複合機を扱う訪販チャネルの開拓を急ぐ。
A4カラープリンタは、05年に累計10万台を突破した模様。年々カラー比率は高まっている。だが、普及速度は緩やかで、モノクロ機からようやくリプレースが始まったところだ。このなかで、A4カラー複合機をどう提案して導入に結びつけるのか、各社の力量が試される。
企業向けでデスクトップ型のA4カラーレーザー複合機市場が今年、大幅に拡大しそうだ。1月には、ブラザー工業と沖データが同市場で新製品を投入。先行するキヤノン販売とエプソン販売は、同市場の開拓に積極的とはいえなかったが、新規2社の参入で、一気に覇権争いが活発化すると予想されている。国内の同市場は、昨年の販売台数が5000-6000台。各社によると、今年は、前年比約3倍の1万5000台に成長するとの推測で一致している。A4対応の単能機カラーレーザープリンタがようやく普及期に入り始めたばかりで、複合機との覇権争いが注目される。(谷畑良胤●取材/文)
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