その他
マイクロソフト、日本オラクル 相手陣営の切り崩し活発化
2006/01/23 21:10
週刊BCN 2006年01月23日vol.1122掲載
国内データベース(DB)市場で2強ベンダーの覇権争いが激化している。新版DB「SQLサーバー2005」を2月から本格出荷して勢いに乗ろうとするマイクロソフトに対して、日本オラクルは昨年末からマイクロソフト陣営のパートナーに自陣への乗り換えを働きかける作戦を開始。マイクロソフトも、オラクルDBを主なターゲットに他社DBからの移行を促すキャンペーンを展開する。日本オラクルでは、マイクロソフトが中小企業向け基幹システム「Dynamics」を年内出荷するのを機に、独自製品を開発・販売してきたマイクロソフト陣営のパートナーの造反が期待できるなど「チャンスが到来する」とみており、両社の激しい駆け引きが、しばらく続くことになりそうだ。
「Dynamics」出荷が正念場
日本オラクルは「SQLサーバー2005」の発売前に、同サーバーを販売するSIerなどに対し、オラクル陣営に乗り換えを促す施策を開始した。DB市場が「SQLサーバー2005」のムードで染まるのを警戒して、「オラクルDB10g・スタンダードエディションワン(SE-One)」が「SQLサーバー2005」の半額程度の価格であることなどを改めてアピール。
オラクル10gがセキュリティ認証「ISO/IEC15408」を21個も取得し、64ビットにも対応している点を強調し、「ほとんど認証取得していないマイクロソフトDBと比べ、価格と性能の両面で圧倒している」と、一志達也・営業推進部データベースグループ担当マネジャーは優位性を主張する。
こうした働きかけに応じて「SQLサーバー」を年間1億円販売してきたSIerのアルファテック・ソリューションズが販売姿勢を転換。「今後は、顧客の指示がない限りオラクルDBを使う」(椿正義・取締役兼執行役員)方針だ。
このほかに、マイクロソフト陣営のSIerやISV(独立系ソフトウェアベンダー)数社が日本オラクル陣営に転向したという。
一方、マイクロソフトは2月から、他社のDBを利用する企業を対象に「SQLサーバー2005」を特別価格で提供する「SQLサーバー50%オフ」キャンペーンを展開する。特にオラクルDBに対しては、移行をスムーズに行うツール「SQLサーバー・マイグレーション・アシスタント・フォー・オラクル(SSMA)」日本語版を1月末にダウンロード提供する。
日本オラクルが主張する価格差について、マイクロソフトは「日本オラクルがSE-Oneと比較しているのは、当社の上位版が対象。下位版同士の価格差は数千円程度だ」(深瀬正人・SQLサーバーチームエグゼクティブプロダクトマネージャ)と、比較対象の違いを強調。「オラクルDBのライセンス体系は、CPU単位でなく、コア数で製品価格を決めている」(同)ことから、複数コアCPUを搭載するサーバー(デュアルコア・マルチコア)では、処理能力に比べ割高と指摘する。
「徹底的に勝つか、負けるかのどちらかだ」
これに対抗して、日本オラクルも1月16日、急きょ主力DBのマルチコアに対応したライセンス体系を見直すと発表。AMD/インテルのプロセッサは、1コアを0.75から0.5ライセンスにするなど実質値下げした。 セキュリティ認証についても、マイクロソフトは「製品を出荷してから取得するもので、当然『SQLサーバー2005』も、同認証を近く取得し、オラクルDB以上にセキュリティの質を高レベルにする。64ビットにも対応する計画だ」(深瀬マネージャ)と、セキュリティと性能の両面で真っ向から対抗する構えだ。
日本オラクルは「(マイクロソフトに)徹底的に勝つか、あるいは負けるかどちらかだ」(一志担当マネジャー)と強気の姿勢を崩さない。この背景には、年内に登場するマイクロソフトの基幹システム「Dynamics」をめぐる思惑がある。同システムと競合するCRM(顧客情報管理)やERP(統合基幹業務システム)を主力製品としているマイクロソフト陣営のベンダーに、オラクルへの転向を促せると見ているからだ。
しかし、マイクロソフトは、自社陣営のISVやSIerについて、「すでに94社が『SQLサーバー2005』に対応を表明し、200以上のアプリケーションが登場する」(深瀬マネージャ)として、既存販社の結束は固く、主力パートナーの切り崩しは難しいと余裕の構えをみせる。 ウィンドウズ上の中堅中小企業向けDB市場は、両社で売上高シェアが7割以上を占める。その両社の競争が激化したことで「中堅中小企業向けDBの価格差は僅差になった」というのが、多くのSIerの見方だ。両社の覇権争いの一方で、低価格化・高性能化が進み、DBを購入する企業の需要を促すことが期待できそうだ。
国内データベース(DB)市場で2強ベンダーの覇権争いが激化している。新版DB「SQLサーバー2005」を2月から本格出荷して勢いに乗ろうとするマイクロソフトに対して、日本オラクルは昨年末からマイクロソフト陣営のパートナーに自陣への乗り換えを働きかける作戦を開始。マイクロソフトも、オラクルDBを主なターゲットに他社DBからの移行を促すキャンペーンを展開する。日本オラクルでは、マイクロソフトが中小企業向け基幹システム「Dynamics」を年内出荷するのを機に、独自製品を開発・販売してきたマイクロソフト陣営のパートナーの造反が期待できるなど「チャンスが到来する」とみており、両社の激しい駆け引きが、しばらく続くことになりそうだ。
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