その他
ネットワーク販社、取扱製品拡大の動き ブランド神話崩壊か
2006/02/27 14:53
週刊BCN 2006年02月27日vol.1127掲載
ネットワーク機器販社が取扱製品を拡大しようと模索し始めている。なかでも、シスコシステムズのルータやスイッチの販売を主流とするネットワークインテグレータの積極策が目立ち、他社にはないネットワークシステムの提供を武器に、ネットワークインフラ上で動くアプリケーションソフトの開発に力を注ぐ。顧客企業を増やすためには、特定ベンダーに固執しないほうが良いと認識しているからだ。ネットワークインフラ機器に対する低価格ニーズが加速していることも要因となり、国内市場でトップシェアのシスコのブランド力が薄れつつある状況であるのも事実。国内ネットワーク機器の販売は、“ブランド力ありき”という時代が過ぎ去ろうとしている。(佐相彰彦●取材/文)
低価格ニーズの加速も後押し
■トータルビジネスにシフト
ネットマークスやネクストコムなどシスコシステムズ製品をメインに販売しているネットワークインテグレータがルータやスイッチを拡販するうえで力を注いでいるのは、IP関連製品やセキュリティ関連製品と組み合わせるなど自社が持つ事業を最大限に活用してネットワークシステムを提案していくこと。
ネットマークスでは、「IP関連のニーズは多様化している。一方、ネットワークインフラ機器に関しては機能面でニーズがあるというわけではない。したがって、当社ならではのネットワーク構築に加え、その上で動くアプリケーションソフトを提供することが他社との差別化になる」(木原章雄・ソリューション企画本部営業推進室長)とし、インフラ部分とアプリケーションソフトの開発など全事業を横断する組織「ソリューション企画本部」を設置。IPテレフォニー事業やセキュリティ事業が好調に推移したことで、2005年度(06年3月期)の売上高は630億円(前年度比8.9%増)の見通しだ。
ネクストコムは、04年12月にIP関連ビジネスを手がけるアダムネットとシステム開発のビーエスアイの2社と統合したことで、今年度(06年3月期)からネットワークインフラの販売、IP関連、SIをトータルで行うビジネスを本格化した。横川典子・商品企画部長は、「ルータやスイッチのブランドにこだわらないユーザー企業が増え始めている。そのため、ネットワークインフラの買い替えを提案するよりもIPコンバージェンスを切り口にIP関連機器を販売するほうが、ネットワークインフラ機器の拡販につながる。また、セキュリティのニーズに関しては、ネットワークインフラ再構築時に必ず出てくる」としている。
■特定ベンダーに固執しない
これまで顧客企業がシスコのルータやスイッチを導入していたのは、圧倒的なブランド力があったからだといえる。
ネクストコムでは、「今でもブランド力が全くないわけでないが、“ブランドありき”で売れる時代ではなくなった」(横川部長)と指摘する。しかも、シスコユーザーが飽和状態になっている現状では、同じシスコ製品を販売する販社とシステム案件で競合すれば、「新規開拓するうえでは、シスコを扱っていることが“売り”にならない」(同)のも事実。ネットマークスでも、「ニーズに適したシステム構築が拡販につながるという点では、特定ベンダーのブランド力にこだわる必要はない」(木原室長)としている。
シスコシステムズ製品以外を主力とするネットワーク機器販社が顧客企業を増やそうと低価格性を前面に押し出していることも背景にある。ネットワークバリューコンポネンツは、他社製品より2割程度は安いといわれる中国ファーウェイスリーコム製品の拡販を図り、「ファーウェイスリーコム製品で06年度(06年12月期)に16億円の売り上げを狙う」(渡部進社長)ことを掲げる。ネットワールドでも、「単に卸すだけではない“ソリューション・デイストリビュータ”を目指す。顧客企業が求めるのは価格。そういった点では、他社との差別化を図るうえからもファーウェイスリーコムが最適な製品になる」(中村康彦社長)とみている。
「システム提案で重要視するのはソフト開発力になる」(ネットマークスの木原室長)とするベンダーが増えれば、ニーズに合った最適なシステムを提供するため、特定ベンダーに固執しない流れが本格化するといえる。
国内ネットワーク機器市場のメーカーシェアについては、シスコの寡占状態が崩れる可能性もある。
ネットワーク機器販社が取扱製品を拡大しようと模索し始めている。なかでも、シスコシステムズのルータやスイッチの販売を主流とするネットワークインテグレータの積極策が目立ち、他社にはないネットワークシステムの提供を武器に、ネットワークインフラ上で動くアプリケーションソフトの開発に力を注ぐ。顧客企業を増やすためには、特定ベンダーに固執しないほうが良いと認識しているからだ。ネットワークインフラ機器に対する低価格ニーズが加速していることも要因となり、国内市場でトップシェアのシスコのブランド力が薄れつつある状況であるのも事実。国内ネットワーク機器の販売は、“ブランド力ありき”という時代が過ぎ去ろうとしている。(佐相彰彦●取材/文)
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