その他
カラーページプリンタ 出身母体により「MFP」への対応姿勢割れる コピー機メーカーの出方焦点に
2006/03/13 14:53
週刊BCN 2006年03月13日vol.1129掲載
BCNは、カラーページプリンタメーカー5社による座談会を開催、3月6日号に掲載したが、司会をしながら改めて気がついた点がある。多機能デジタル複合機(MFP=マルチファンクションプリンタ)を巡る戦略が、出身母体によって大きく割れていることだ。その背景を考察してみた。(石井成樹●取材/文)
低価格路線はジレンマ
■低価格戦略を前面に出すプリンタ系
座談会に参加した5社は、コピー機は持たずプリンタ専業のエプソン販売、沖データ、富士ゼロックスプリンティングシステムズ(FXPS)と、コピー機も手がけるリコー、キヤノン販売である。エプソンや沖データは低価格MFPを切り札に攻勢に出ているのに対し、リコーとキヤノンはコピー系MFPを持っているため、低価格のプリンタ系MFPには手を出せないでいる。FXPSは両社の中間に位置するが、まずスキャナを商品化したというのも、その立場を象徴的に示しているといえる。
昨年を振り返ってみると、6月にセイコーエプソンがA3機、12月に沖データとブラザーがA4機を発表、低価格を武器に市場開拓に本腰を入れだした。また、FXPSは12月1日にA3、A4対応の単体カラースキャナを発表した。周知の通り、同社はプリンタ専業メーカーではあるが、富士ゼロックス直系子会社であり、プリンタ専業メーカーとコピー機メーカーの中間に位置する。それを象徴するように、MFPは直接商品化せず、まずスキャナを出してきた。
このように、プリンタメーカーが低価格MFPあるいは低価格スキャナで攻勢に出るなか、キヤノン販売に続いてリコー本社でも単体のプリンタやFAXの代わりに、紙出力装置はコピー系MFPに一本化したことが明らかになった。社内をショールームとして公開するに当たっての措置だが、単価が高く、定常的なアフター収入も見込めるコピー系MFPをなんとしても売り込みたいという意思の表れと捉えることができよう。
一見、プリンタ部隊にとっては逆境のように見えるが、カラープリンタの販売そのものは好調で、12月決算のキヤノン販売の場合、台数で60%増は達成したという。
■プリンタ系MFPを商品化すべきかの選択
ワークフローを分析して提案すれば、コピー系MFPに加えてプリンタも売れるという傾向が明らかになり、コピー系MFPとプリンタは共存できる見通しは立ったようだ。しかし、プリンタ系MFPの低価格攻勢に対しては、対応に苦慮している様子が座談会でもにじみ出ていた。
エプソン販売の場合、「中小企業、SOHOの市場開拓は順調に進んでいる。問題は中堅以上の企業だが、安かろう、悪かろうでないことは体験キャンペーンで実証していく」として、今年にかける意欲を示した。また、沖データは最初からワークグループマシンとの位置付けを鮮明にし、中堅以上の市場開拓に取り組む構えを見せている。
両社とも、中堅以上の企業層の開拓を見据えて動き出していると見てよいが、この層にもともと強かったのはリコー、キヤノン、富士ゼロックスである。ただ、3社とも、利益率の良いコピー系MFPに加えて、低価格化を図らないと存在価値を確立することは難しいと見られるプリンタ系MFPを商品ラインに加えるかどうかでは苦慮しているようだ。
手をこまねいていれば、プリンタメーカーに市場に食い込まれる可能性が高まり、一方で下手に商品化すればコピー系MFPに悪影響を及ぼしかねない。このジレンマをどう打開するか、カラーページプリンタ市場では、今年の大きな焦点となってきた。
BCNは、カラーページプリンタメーカー5社による座談会を開催、3月6日号に掲載したが、司会をしながら改めて気がついた点がある。多機能デジタル複合機(MFP=マルチファンクションプリンタ)を巡る戦略が、出身母体によって大きく割れていることだ。その背景を考察してみた。(石井成樹●取材/文)
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