その他
成長するASPサービス 2010年には約3倍の市場規模に 中小企業に本格普及始まる
2006/03/27 14:53
週刊BCN 2006年03月27日vol.1131掲載
ASPサービスの成長が著しい。2005年は03年に比べ約70%増の5490億円に成長し、10年には昨年の約3倍にあたる1兆5390億円になる。サービス事業者も、03年から2年間で約400社増えて1000社を超えた──。ASPサービス普及促進団体のNPO、ASPインダストリ・コンソーシアム・ジャパン(ASPICジャパン、河合輝欣会長)は市場動向を予測する一方で、ソフト開発企業のASPサービス事業立ち上げを支援するためのプログラムを今春から開始する予定。普及を加速させるための支援制度も出てきた。急成長するASPサービス市場の今を追った。(木村剛士●取材/文)
普及促進に事業化支援プログラムも
■成功企業の先行事例も紹介
ASPサービス市場は着実に成長している。サービス事業者数も03年から2年間で約400社増えて、現在は「1000社を突破している」(ASPICジャパンの横山義和・事務局長)状況だ。ネットワーク技術の進化で、ASPサービスを提供できる基盤が整ったことと、顧客企業からのニーズが強まっているからだ。
ASPICジャパンが始める支援プログラムは、これまでASPサービスを事業化した経験がないソフト開発企業などを対象に、ASPサービスを提供するためのノウハウを提供する。支援内容はASPビジネスを開始するための作業や投資金額などのコンサルティング、各プラットフォームの特徴やベンダーの紹介などが中心。ASPサービス提供企業の成功事例なども紹介し、幅広くASPサービスの事業化をサポートするプログラムだ。ASPサービスの普及促進に弾みをつける。
ASPICジャパンの河合会長は、「ユーザーは初期投資負担が軽く、システムを自社で持たずに済むため、情報セキュリティの観点からもソフトウェアをサービスとして利用する機運が高まっている」として、今後も参入企業は増えてくると予測する。
■ASPは中小企業向けと位置づける
では、ASPサービスを始めた各ITベンダー側には、どのような思惑があったのか。
ログ収集・管理機能のASPサービスを開始したソフト開発ベンチャーのシーア・インサイト・セキュリティの向井徹代表取締役は、ASPサービスを始めた理由を「中小企業に入り込むため」と説明する。投資金額も運用人員も少ない中小企業に販売するためには、ASPサービスが最良と判断してビジネス化したのだ。パッケージソフトは中堅市場、ASPサービスは中小向けと明確に位置づけている。
ビジネスオンライン(藤井博之代表取締役)は、創業以来会計ソフトの機能をASPサービスとして提供する。全国の商工会が同社のASPサービスを採用し、会員企業に勧める体制をつくったことで、中小企業のユーザーを獲得している。ASPサービスのメリットについて、「会計ソフトのバージョンアップの際には、導入ユーザーだけでなく会計士とのデータ連携も必要になる。こうした複雑な移行作業もASPサービスなら手早く済ませられるのが魅力」としたうえで、「同様のサービスをASPで提供している競合が少なかったので、当社がいち早く商工会に食い込むことができた」(藤井代表取締役)と説明する。また、ホテル業向けの統合ASPサービスを提供するアットマーク・ベンチャー(@ベンチャー)の大津山訓男社長は、「ソフトウェア自体を提供しないためコピーされなく不正利用されにくい利点がある」と説明する。
さまざまなメリットがあるソフトウェアをサービスとして提供するビジネスが着実に高まっているのは確か。ASPサービスが始まったのは90年代後半だが、それから5年以上経った今、「ようやく本格普及時期に入った」(河合会長)。情報システム自体を社内に持たないという考え方が、着実に根づき始めている。
ASPサービスの成長が著しい。2005年は03年に比べ約70%増の5490億円に成長し、10年には昨年の約3倍にあたる1兆5390億円になる。サービス事業者も、03年から2年間で約400社増えて1000社を超えた──。ASPサービス普及促進団体のNPO、ASPインダストリ・コンソーシアム・ジャパン(ASPICジャパン、河合輝欣会長)は市場動向を予測する一方で、ソフト開発企業のASPサービス事業立ち上げを支援するためのプログラムを今春から開始する予定。普及を加速させるための支援制度も出てきた。急成長するASPサービス市場の今を追った。(木村剛士●取材/文)
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