その他
中堅ERP市場、20%以上の高成長期に
2006/03/27 14:53
週刊BCN 2006年03月27日vol.1131掲載
景気の回復と、IT投資の活発化を受けて、中堅企業向けERP(統合基幹業務システム)の導入が拡大している。主要国内ベンダーの予想を総合すると、来年度も、前年からの好調機運をそのまま引き継ぎ、20─30%程度の高い伸びが見込める情勢だ。今後も、内部統制の強化などがけん引役となって、オフコンや汎用機からのリプレースが急速に進むとみられる。しかし、自社ERPをSOA(サービス指向アーキテクチャ)に対応させるなど、全社の業務システムをERPに統合できる総合力のあるベンダーでないと、生き残りは難しく、国産中堅ERPベンダーの実力が問われる時代が始まった。
基幹系再構築で競合も激化
好機生かせず、受注逃す例も
「非常に好調だった」──富士通のERP「GLOVIA(グロービア)─C」は、2006年3月期の売上高が前年比200%以上に達するのが確実な情勢という。同社のオフコン向け経理ソフトウェア「CAPSEL」からの乗り換えを含め、「迅速に業績判断ができるように、基幹システムを再構築する動きが加速している」と、今西誠・GLOVIA販売部長は、予想以上の伸びに驚く。今年度は、内部統制や東京証券取引所の連結決算開示の短期化など、「経営のための情報統合が進み、最低限20%は伸びる」と、引き続き堅調な成長を予測する。
内部統制強化による財務・会計などの社内データ情報を可視化する動きは、中堅企業にとっても緊急の課題になっている。オフコンや汎用機など「ブラックボックス化」された古いアーキテクチャのままでは、新制度やスピード経営に対応できないとみているためだ。
コンソーシアム方式で05年に設立されたインフォベックが開発した完全ウェブ型の次世代ERP「GRANDIT(グランディット)」も、「昨年後半から、ウェブの最新技術を採用するニーズが高まった」(山口俊昌・取締役)と、オフコンなどからのリプレース需要を獲得。新興勢力ながら、06年3月期は高い目標として掲げた「3ケタ導入(100社)」を達成した。昨年10月までに就業管理や電子帳票など、管理機能がひと通り揃い、来期は「業種に特化した製品展開によって、業務プロセスをドキュメント化する動きにも対応する」ことで、今期は倍増の200社への導入を目指す。
OSKが開発し大塚商会などが拡販する中堅企業向けERP「Smile(スマイル)ie」も、住商情報システムやエス・エス・ジェイ(SSJ)など、これまでの上位勢力を脅かす製品として、急成長している。05年12月期は、「ビッグアカウント」向けに営業リソースを割り当てた効果もあり、中堅企業の上位層向けが好調だった。
05年12月期、大塚商会の「Smile事業」は、売上高で約20%増えた。なかでも、年商50─300億円を主力ターゲットとする「Smile ie」は「首都圏を中心に大塚商会のセキュリティ製品やOSKの情報系システムと組み合わせ、新規のグループ企業などに導入が進んだ」(石井ふみ子・スマイルプロモーション部次長)という。06年12月期は「引き合いが継続してある」と、「Smile ie」だけで、20-30%の売上増を見込む。
内部統制の強化などに備え、中堅企業のデータ統合は予想以上のスピードで進んでいる。しかし、この好機を生かせず、伸び悩んだERPベンダーもあった。住商情報システムは05年1月に完全ウェブ対応の次世代ERP「ProActive E2」を出したが、「通常のバージョンアップ期と同じスピードで、昨年中に主要なサブシステムを順次揃えたが、それを待てずに導入を見合わせる企業が多かった」(竹村慎輔・ProActive戦略ビジネス推進部部長)と、問い合わせは例年以上にあったものの、受注機会を逃すケースがあったようだ。
それでも、「ProActive E2」は、予定通り、発売以来150社以上へ導入した。06年3月期は住友商事グループなど、他のグループ企業への導入が特に目立ち、売上高が前年比横ばいと健闘。「会計コンサルティング会社から当社へ案件が来るなど、対象企業は確実に増えている。また、パートナー加盟を希望するベンダーも多く、来年度は明らかに新規顧客が増える」と、今年度以上の売上増を目指す。
景気の回復と、IT投資の活発化を受けて、中堅企業向けERP(統合基幹業務システム)の導入が拡大している。主要国内ベンダーの予想を総合すると、来年度も、前年からの好調機運をそのまま引き継ぎ、20─30%程度の高い伸びが見込める情勢だ。今後も、内部統制の強化などがけん引役となって、オフコンや汎用機からのリプレースが急速に進むとみられる。しかし、自社ERPをSOA(サービス指向アーキテクチャ)に対応させるなど、全社の業務システムをERPに統合できる総合力のあるベンダーでないと、生き残りは難しく、国産中堅ERPベンダーの実力が問われる時代が始まった。
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