その他
「ライブオフィス」売上増に貢献 キヤノンMJ、受注額10か月で1億2000万円
2006/04/10 21:10
週刊BCN 2006年04月10日vol.1133掲載
キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ、村瀬治男社長)が昨年6月から企業やパートナーに公開している自社内の通称「ライブオフィス」が、プリンタやMFP(デジタル複合機)などの売上増に貢献している。実際に同社内の利用環境を公開することで、商談期間が短縮化した。ドキュメント関連の機器は、ネットワークやセキュリティなどの高機能が加わり、単に機器を流通・卸するだけでなく、「提案型」の拡販方法が求められている。しかし、従来の提案書類やショールームでの説明だけでは、顧客側の理解が得られにくかった。営業部門の提案で始まった「ライブオフィス」に来社した顧客からの案件の受注金額は、これまでに約1億2000万円。担当者の予想を大きく上回る反響が寄せられている。(谷畑良胤●取材/文)
「提案型」の拡販に有効 ■社内の利用環境を公開 キヤノンMJが都内の三田地区と千葉県・幕張に分散していた本社と営業機能をJR品川駅の再開発地区「品川グランドコモンズ」にある新社屋「CANON S TOWER」に移転したのは2003年5月。この社屋を利用して、主に大企業を営業展開する「MA販売事業部」が、営業の一環として社内の利用環境を一部公開した。「社屋を利用してデモをしていたが、評判が良く、『ライブオフィス』を構想した」(楢林知樹・ITサービス販売推進本部本部長)という。 社屋ビルには現在、MFPを中心にドキュメントの電子化やファイリングシステム構築など、同社が提案するソリューションを整備。例えば、コスト削減の取り組みとして総務部門が同ビルに約200台あるMFPの管理を数人で実施できるシステムや、企画部門が同社のドキュメント関連ソフトウェアを利用して生産性を向上させる文書管理、ICカードを利用したビル全体のドキュメント出力時の個人認証システムなど、どの企業が訪れても自社の環境を想定して、課題解決の糸口を見い出せる。 「ライブオフィス」には、基本的に「あと一歩で受注できる企業を中心に営業担当が招き入れる」(楢林本部長)仕組みだ。担当者が職務スペースを案内するなかで、実際にキヤノンMJ社員に話しかけ利用上の疑問点を質問したりもできる。最近では、同社の販売パートナーが提案を練る場所として訪れる回数も増えた。■10か月で357件中17件を受注 開所から10か月間で、「ライブオフィス」を見学した企業数はトータルで357社(3月現在)。このうち、実際の成約に結びついたのは、17件約1億2000万円に上る。成約のうち2件は、販売パートナー経由である。来訪する企業数は増え続け、3月だけで65社。約半数が「MA販売事業部」関連で、15社が中堅企業を対象にしている「GB販売事業部」、18社がエリア販売を担当する販売パートナーが連れてきた企業だ。 来社数に対し、成約数が17件で受注率は約5%と、数字だけを見れば低いイメージがある。しかし、来社した企業は、元々受注機会を逃していた顧客ともいえる。成約に至っていない企業についても、実際に継続的な提案は続いており、受注数がさらに伸びることが予想されている。楢林本部長は「機器やソフト類だけでなく、机の配置や人の動線、キャビネットの位置など、ファシリティと合わせ、顧客が具体的なイメージを描けているようだ」と、有益な仕組みとしてさらに充実を図る計画である。■プリンタは全部門MFPに統一 「ライブオフィス」では、レーザープリンタを1台も配置していない。代わりにモノクロMFPが全部門に配備され、さらに各フロアごとに2-3か所センターを設け、ここにはカラーMFPも設置されている。 当初、レーザープリンタ販売部隊からは批判の声が聞かれた。だが、「ライブオフィスはMFPで統一したが、こうした環境をすべての顧客に推奨するのではない。あくまで当社が考える最先端の利用環境であり、これに当てはまらない顧客の場合は、営業マンがレーザープリンタを絡めた提案を行えばよい」(国友秀幸・ソリューションマーケティング推進課課長)として、営業の現場ではMFPとレーザープリンタを絡めた売り方を継続していく方針だ。 こうした取り組みは、1月に東京・銀座に本社機能などを移転したリコーでも検討中。プリンタやMFPは、ほとんどの企業に行きわたり、「リプレース市場」になっている。既存機器を入れ替え、新たな利用環境を薦め、受注に結びつけるには、“見える形”の提案方法が重要になっているようだ。
キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ、村瀬治男社長)が昨年6月から企業やパートナーに公開している自社内の通称「ライブオフィス」が、プリンタやMFP(デジタル複合機)などの売上増に貢献している。実際に同社内の利用環境を公開することで、商談期間が短縮化した。ドキュメント関連の機器は、ネットワークやセキュリティなどの高機能が加わり、単に機器を流通・卸するだけでなく、「提案型」の拡販方法が求められている。しかし、従来の提案書類やショールームでの説明だけでは、顧客側の理解が得られにくかった。営業部門の提案で始まった「ライブオフィス」に来社した顧客からの案件の受注金額は、これまでに約1億2000万円。担当者の予想を大きく上回る反響が寄せられている。(谷畑良胤●取材/文)
続きは「週刊BCN+会員」のみ ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新) SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…