大手ディスリトビュータ各社がブレードサーバービジネスの拡大に乗り出した。導入企業が大企業から中堅企業へと広がり始めていることが要因。今年度の販売台数は、前年度の3－5倍の高成長を見込んでいる。各社とも、技術検証やサポートが拡販のカギとして強化を図る。（佐相彰彦●取材／文）

技術検証やサポートの強化がカギ

■導入企業のすそ野広がる

　2005年度（06年3月期）はディストリビュータのブレードサーバー販売が好調だった。

　ダイワボウ情報システムは、前年度の約10倍となる2000台を達成。ソフトバンクBBは、具体的な販売台数を明らかにしていないものの、「サーバー販売全体の10％近くを占めるようになった」（本多晋弥・コマース＆サービス統括コマース＆サービス事業本部MD統括部MD戦略室長）という。同社のサーバーの販売台数は5万台規模。そのため、5000台弱を記録したとみられる。丸紅インフォテックは100台強と他社と比べて少ないが、「売上金額は、本体を含め9000万円程度。1案件あたりの受注金額はサーバービジネスのなかでも大きい」（坂元祥浩・販売推進本部副本部長兼販売推進部長）としている。

　各社とも販売が伸びたのは、中堅企業の導入が増えたことが大きな要因。ダイワボウ情報システムは、「ブレードサーバーの導入は、省スペース化のニーズが最も高い。大企業に限らず、サーバーを多く導入している企業ではブレードサーバーを真剣に検討するようになってきた。そのため、中堅企業での導入が進んだ」（松本裕之・販売推進本部販売推進部副部長）という。

　ソフトバンクBBは、「昨年度第4四半期から急激に中堅企業の導入ニーズが高まった」（本多室長）。丸紅インフォテックも、「昨年度は大企業による大型案件が中心だったが、今年度は中堅企業でも導入企業が増えることは間違いない」（坂元副本部長）と強気の見通しだ。

　04年度までは、大企業の導入が中心で、メーカーが対象企業に直販をするケースが多かった。ところが、導入企業のすそ野が広がってきたことで、今年はディストリビュータを通した販売にも弾みがついている。ディストリビュータ側でも、「昨年までは案件ごとにメーカーに発注していたが、今年からは定常的に在庫を揃えて、需要に対応できるようにしている」（本多室長）と語る。本格的な販売攻勢に踏み出したというわけだ。

■SIerの販売支援を強化

　ブレードサーバーの拡販に向けディストリビュータが強化ポイントとして口を揃えるのは、技術検証やサポート面だ。

　ダイワボウ情報システムでは、サーバーの技術検証センターでブレードサーバーの検証事例を増やすことに力を注ぐ。

　現段階では、IBM製品が中心だが、「他メーカー製品の検証も行っていく。そのためにセンターの人員も倍増を計画している」（松本副部長）という。これにより、SIerがどのメーカー製品を販売しても支援できる布陣を敷いていく。今年度の販売台数については、「昨年度の3倍程度は確実」と自信をみせる。

　ソフトバンクBBでは、ソフトバンクIDC保有のデータセンターによる技術検証の内容を、ブレードサーバーとミドルウェアとの互換性検証にまで広げる。

　「今年6月末までに仮想化を含めた検証も行っていく」（本多室長）方針だ。販売台数は、「最低でも、昨年度の5倍程度は見込む」（村田幸夫・サーバ事業推進課Blade EXchange推進グループ）と意欲を燃やす。

　丸紅インフォテックでは、「SEのスキルアップを徹底することに加え、技術支援などブレードサーバー関連ビジネスに特化した組織を設置する」（坂元副本部長）計画。これにより、売り上げを昨年度の5倍程度となる5億円に引き上げる方針だ。

　技術検証やサポートの強化は、販売代理店の支援につながる。なかでも、SIerが売りやすい環境作りが拡販のカギということになる。