その他
べンキュー シーメンス携帯事業買収の成果は
2006/06/26 14:53
週刊BCN 2006年06月26日vol.1143掲載
大手デジタル機器メーカーの台湾ベンキューが独シーメンスから携帯電話事業を買収し、9か月が過ぎようとしている。2005年度(05年12月期)は“様子見”という状態で大きな動きはなかったが、組織基盤を着々と整え、今年早々に「ベンキュー・シーメンス」ブランドを立ち上げた。今年度から本格的に稼働したわけだが、赤字のシーメンス部隊を含め、果たしてベンキューの携帯電話事業は黒字に転換するのだろうか。(佐相彰彦●取材/文)
新ブランドで06年から本格稼働
黒字転換を達成するか!?
■第1四半期は出荷減に 在庫調整が原因
携帯電話の出荷台数は、今年度第1四半期が700万台以上になったものの、前年同期に比べ30%の大幅な減少。今年1月に新ブランド「ベンキュー・シーメンス」の携帯電話を市場に投入したが、立ち上がりは鈍かったといえる。これは、旧製品との在庫調整を行ったことが大きな原因。「ベンキュー」と「シーメンス」それぞれのブランド製品を販売してきたことから出荷を抑制した。ユーザーが新ブランドを認知していなかったことも影響したようだ。
しかし、K・Y・リー会長兼CEOは「発売から月を追うごとに『ベンキュー・シーメンス』ブランドに対して欧州をはじめ各地域でユーザーから良い反応が出てきている。ショップからの期待値も高いと判断している。携帯電話事業の拡大に向け、問題は生じていない」と言い切る。
携帯電話事業の拡大に絶対の自信を持っているのは、第2四半期に入ってから出荷台数が堅調に伸び始めているため。ジェリー・ワンCMO(最高マーケティング責任者)は、「まだ6月末が終わっていないため、具体的な出荷台数を公表できないが、今年度第1四半期より30%程度は増える見通しだ。前年同期と比べても大きな差はない」と自信をみせる。
「ベンキュー・シーメンス」ブランドの製品を発売して以来、「(ベンキューがスポンサーになっている)サッカーチーム『レアルマドリード』のロナウド選手をテレビCMに起用するなど、新ブランドの知名度向上を徹底している」。しかも、近く新製品を予定するなどマーケティングの強化や製品ラインアップを増強して、一気に成長軌道に乗せる方針だ。
■SCMシステム統合を計画 オペレーション強化がカギ
ベンキューは、昨年10月1日付でシーメンスの携帯電話事業部門の買収を完了、グループ内に携帯電話専業メーカー「ベンキューモバイル」を設立した。昨年度中にリストラや組織再編を実施したことで基盤は整いつつある。しかし、これまでは「ベンキュー」と「シーメンス」を別ブランドにしていた。そのため、ブランド統一を経て今後は「オペレーションの一元化をさらに徹底しなければならない」(リー会長兼CEO)としている。まずは、SCM(サプライチェーンマネジメント)システムを近く統合する計画だ。ブランド統合で、部材調達のコスト削減が一段と図れるからだ。加えて、製品面では欧州とアジアの両方のニーズに合わせて開発していくことになる。ワンCMOは、「ワールドワイドでビジネスを手がけている関係上、各地域によって製品ラインアップは異なってくるが、ベンキューとシーメンスの統合効果を出すため、今後は機能で『MP3搭載』、デザインで『スライド方式』、筐体で『メタル』の3項目に着目して製品を開発していく」ことにしている。
もともと、赤字だったシーメンスの携帯電話事業を買収、第1四半期の出荷台数も不振だったことから、ベンキューの携帯電話事業は赤字が続いている。しかし、同社では今年度第4四半期には黒字化すると試算している。これを達成するには、ブランド統合によるオペレーション強化がカギになってくる。
【記者の眼】
ベンキューでは、将来的に日本市場でも携帯電話事業に着手することを検討している。ワールドワイドでシェア5位以内にランクインしているだけに、国内の携帯電話メーカーにとっては脅威になりそうだ。
大手デジタル機器メーカーの台湾ベンキューが独シーメンスから携帯電話事業を買収し、9か月が過ぎようとしている。2005年度(05年12月期)は“様子見”という状態で大きな動きはなかったが、組織基盤を着々と整え、今年早々に「ベンキュー・シーメンス」ブランドを立ち上げた。今年度から本格的に稼働したわけだが、赤字のシーメンス部隊を含め、果たしてベンキューの携帯電話事業は黒字に転換するのだろうか。(佐相彰彦●取材/文)
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