その他
日本オラクル 買収ソフトの新版を個別に開発
2006/07/10 21:10
週刊BCN 2006年07月10日vol.1145掲載
日本オラクル(新宅正明社長)は、相次ぎ買収したJDエドワーズ、ピープルソフト、シーベルの現行製品を、個別にバージョンアップする方針を打ち出した。これまでは、個別製品の新版リリースは2006年で終了させ、各製品の特化機能を実装した次世代統合アプリケーション「Oracle Fusion Applications(OFA)」を08年までに開発する計画だった。しかし、米国でユーザーから統合計画に難色を示す反応が強かったことから方針を変更した。各製品の次期バージョンは、SOA(サービス指向アーキテクチャ)環境で各機能の部分的な組み合わせが可能になる。このため既存パートナーを主体に技術トレーニングや同社主導の案件発掘を強化し、3年後には、業務アプリケーション分野でSAPジャパンを超えて国内トップシェアを獲得するという目標を掲げている。(谷畑良胤●取材/文)
オラクル主導で案件発掘
■ユーザーは統合に難色 個別アップグレード望む
今回の方針変更は、米オラクルのユーザーとアプリケーション製品開発責任者との意見交換の場である「Oracle Applications Users Group(OAUG)」で、ユーザー側から「きちんとアップグレードが保証されるのか、次期バージョンを見ないと分からない」との声が強かったことを受けて決定した。
この結果、米本社が、「Applications Unlimited」という新しい方針に沿って、JDエドワーズ、ピープルソフト、シーベルの現行製品「Oracle Applications」の新規リリースを継続すると発表するに至った。
日本オラクルはこの方針が出る前、旧ピープルソフトの日本法人、日本オラクルインフォメーションシステムズ(OIS、米オラクル子会社)と、製品開発や営業などの体制を一体化するため合併作業を進めていた。
しかし、新方針に基づき両社がクロスライセンスを結ぶことで、「時間をかけずに、早期に製品を投入できる」(藤本寛・執行役員アプリケーションマーケティング本部長)。個別製品のバージョンアップを優先させ、両社で販売する体制とした。
これにより、日本オラクルが提供する業務アプリケーションは、5ラインになる。同社製大規模向けERP(統合基幹業務システム)「Oracle E─Business Suite(EBS)」と「PeopleSoft Enterprise」、中規模向けERP「JD Edwards EnterpriseOne」、IBMのIAサーバー「iSeries」対応のERP「JD Edwards World」、大規模向けCRM(顧客情報管理)「Siebel Business Applications」に加え、08年にこれら各製品の「いいとこ取り」(藤本執行役員)をした統合アプリケーション「OFA」が登場する。
■次期製品でSOAの強み発揮 各機能を組み合わせて利用
このうち2製品は、すでに英語版の次期バージョンが投入されており、日本でも10月以降に日本語版が出る予定。その他製品は、来年以降に順次出荷される。現行バージョンはすでにSOAに対応しているが、「サービス単位が製品ごとにバラバラ」のため、次期バージョンでこれを揃える。「OFA」では、「ユーザー企業がSOA環境で、簡単に各製品のいい部分を組み合わせて使える」ため、選択の幅が広がるという。
例えば、ピープルソフトの人事関係のコンピテンシー管理にシーベルの複数人数で商談プロセスを管理する機能をBPELで統合することが可能になる。 現在、各製品の国内導入実績は1350社。内訳は、EBSが約600社、シーベルが200─300社、残りがJDエドワーズとピープルソフトで占められる。同社によると、大半はオラクルDBベースだが、JDエドワーズの導入先にはIBM環境の企業が多いという。「ユーザー企業に応じて、オラクルDBを薦めるが、単純にリプレースはしない」方針だ。オラクルをベースにした国産ERPやCRMが多いだけに、競合することも予想されるが、「EBS、ピープル、シーベルは大規模向けで、敵はSAPだけ」という。
JDエドワーズは住商情報システムやエスエスジェイなどの中堅ERPと競合するが、「JDエドワーズ製品は、会計や生産管理の単品販売に向かない」ため、バッティングしないと見ている。
だが、買収した業務アプリケーションを個別にバージョンアップすることで製品の種類が増えるため、パートナーがどこまで対応できるかが課題となりそうだ。既存パートナーには、業務アプリケーションの販売や導入実績は少ない。このため、上流の営業をパートナーに提供したり、テレセールスなど案件を発掘する専業部隊を設置したほか、技術やプリセールスのトレーニング機会を拡充する計画だ。
日本オラクルは、ERP、CRM、SCMの業務アプリケーション分野で、3年後にSAPジャパンを抜くことを目標にしている。CRMはすでにトップシェアだが、国内の大規模向けERP市場は“飽和状態”といわれる。ライバルのSPAジャパンも強力で、とくに業務系に実績のある有力パートナーが揃っているだけに、簡単に負かせる相手ではない。既存パートナーをいかに養成するかが成否を分けることになりそうだ。
日本オラクル(新宅正明社長)は、相次ぎ買収したJDエドワーズ、ピープルソフト、シーベルの現行製品を、個別にバージョンアップする方針を打ち出した。これまでは、個別製品の新版リリースは2006年で終了させ、各製品の特化機能を実装した次世代統合アプリケーション「Oracle Fusion Applications(OFA)」を08年までに開発する計画だった。しかし、米国でユーザーから統合計画に難色を示す反応が強かったことから方針を変更した。各製品の次期バージョンは、SOA(サービス指向アーキテクチャ)環境で各機能の部分的な組み合わせが可能になる。このため既存パートナーを主体に技術トレーニングや同社主導の案件発掘を強化し、3年後には、業務アプリケーション分野でSAPジャパンを超えて国内トップシェアを獲得するという目標を掲げている。(谷畑良胤●取材/文)
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
- 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…