その他
OBC、1000億円市場へ本格参入 ITコンサルなど3社と合弁会社
2006/08/28 21:10
週刊BCN 2006年08月28日vol.1151掲載
オービックビジネスコンサルタント(OBC)やITコンサルティング会社など3社が、年商100億円(従業員100人)以上の中堅・大企業を対象とするシステムコンサルティング会社を合弁で設立した。情報システム担当者が不足する企業の「CIO(最高情報責任者)」の機能を代行し、「IT統制」などに関するシステム導入や継続的な再構築などの企画・運用を支援する。年商1000億円の大企業までをカバーする次世代版ERP(統合基幹業務システム)を出す予定のOBCは、ここで確立したコンサルティング手法をパートナーに提供し、より企業規模の大きい市場へ進出するほか、中堅・大企業を得意とするSIerの新規獲得を狙う。(谷畑良胤●取材/文)
次世代ERP導入促進へ“試金石”
■経営の可視化と内部統制に対応
合弁会社「アフォード・ビジネス・コンサルティング」は、資本金2500万円で7月7日に設立。出資比率は、OBCと同社の会計人パートナー制度「OSAP(OBC Solution Accountants Partner=オーサップ)」会員のITコンサル会社、アタックスグループが各39.8%、ワークフロー製品などを提供するオレガが20.4%。社長には、渡邊政美・OBC取締役が就任。株式公開(IPO)を視野に入れている。
対象は、中堅企業や大企業の子会社で、年商100億円以上の企業。OBCの「奉行新ERPシリーズ」と社内外の業務連携を可能にするオレガのワークフロー製品「Alternax(オルタナックス)」を組み合わせ経営とビジネスの可視化と内部統制に関するシステム構築を提案。現行システムと業務の診断やRFP(提案依頼書)の作成、システムと業務の整合性分析、導入コンサルティングなど、「IT統制」構築などに向け企業内のCIO機能のアウトソーシングも請け負う。導入後は、継続的にIT資産の戦略活用や業務効率化を支援する。
7月からは、内部統制整備に向けた必要事項を分析する各種診断パックと「CIOアウトソーシング」の提供を開始した。合弁会社で会長を務める丸山弘昭・アタックス社長は「すでに、案件が多数ある」と明るい見通しを語る。
■コンサル手法も体系化
上場している中堅企業や大企業のグループ会社は、施行を控える「日本版SOX法」の内部統制強化に向け、システムの再構築による「IT統制」の確立を迫られている。だが、「年商100億円規模の企業でも、社内の情報システム担当者やIT資金が不足し、対応に苦慮している企業が少なくない」と、合弁会社取締役であるOBCの岡部貴弘・ERPソリューション推進室室長は話す。中堅・大企業向けのSAPなどのERPでは、システムやカスタマイズ、コンサルティング料金が高額。合弁会社の仕組みを利用すれば、「その半分でシステム構築やCIO機能を提供できる」(丸山会長)ため、ニーズはあると見ている。
OBCは、中堅・大企業市場に本格進出するため、2000人規模の開発陣を抱える中国のオフショア開発拠点で、業種業態に応じて安価に開発できる「奉行新ERPシリーズ」の追加テンプレートの拡充を進めている。また、来年初にも発売をする予定のマイクロソフトの新OS「Windows Vista」に対応した次世代ERPには、「IT統制」に関連する機能を網羅する計画だ。
合弁会社は、青山システムコンサルティングとも提携。導入案件のノウハウを集約して、業種業態などに応じたコンサルティング手法を体系化し、OBCの「コンサルティングパートナー」やSIer、ITコーディネータなどに「のれん分け」していく。
OBCは「奉行新ERP」で年商100億円以下の企業に対する導入経験は豊富だが、それ以上の規模でノウハウが不足している。合弁会社を通じ導入手法を確立することで、新規SIerを獲得できると期待する。
合弁会社は年内に売上高目標や想定顧客などを明確化した事業方針を打ち出す。国内大企業の本社には、SAPやオラクルなどのERPが導入され、グループ会社にOBCなどの国産ERPが入っている例が多い。この市場には、インフォベックやミロク情報サービスなどが新規参入するなど、顧客獲得競争が激化。一方で、「IT統制」全般をコントロールする業務フローを構築するノウハウがなければ、導入促進は難しくなりつつある。合弁会社は、ここに目をつけた。合弁会社の取り組みは、ERP導入を加速させるうえで“試金石”となりそうだ。
オービックビジネスコンサルタント(OBC)やITコンサルティング会社など3社が、年商100億円(従業員100人)以上の中堅・大企業を対象とするシステムコンサルティング会社を合弁で設立した。情報システム担当者が不足する企業の「CIO(最高情報責任者)」の機能を代行し、「IT統制」などに関するシステム導入や継続的な再構築などの企画・運用を支援する。年商1000億円の大企業までをカバーする次世代版ERP(統合基幹業務システム)を出す予定のOBCは、ここで確立したコンサルティング手法をパートナーに提供し、より企業規模の大きい市場へ進出するほか、中堅・大企業を得意とするSIerの新規獲得を狙う。(谷畑良胤●取材/文)
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