その他
ネットワーク系SIer サーバー販売への進出が本格化 総合的なシステム案件獲得へ
2006/09/04 14:53
週刊BCN 2006年09月04日vol.1152掲載
ネットワーク系SIerによるサーバー販売の動きが出てきた。ネットワークインフラの構築を主体にしていたこれまでのビジネススタイルを変革し、サーバーやアプリケーションサービスを含めた総合的なシステム提供で新規顧客を開拓していく。ネットワーク系SIer各社は、主力事業であるネットワーク機器の販売が厳しいことから業績不振が続いている。事業領域の拡大で成長路線の軌道に乗せることが最大の狙いだ。(佐相彰彦●取材/文)
業績回復の布石を打つ
■ネット構築だけでは限界も
ネクストコムでは、サーバーの販売に向けてメーカーと代理店契約を結ぼうとしている。山本茂社長によれば、「現段階では、サン・マイクロシステムズなど外資系企業と話を進めている」段階で、今年度(2007年3月期)中にサーバービジネスに着手する計画。「来年度以降は、国内メーカーの製品も販売していきたい」という考えを示す。
「ネットワークインフラの構築に特化しているだけでは業績を伸ばせない。今後は、ビジネスのパイを拡大することが他社との差別化につながる」(山本社長)としており、08年度までにRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)やCRMなどミドルウェアやアプリケーションサービスを含めたコンピュータシステムの提供を事業として確立する方針。
ネットワンシステムズでは、現段階でサーバーの販売に力を注いでいるわけではないものの、「当社がシステム案件を受注し、サーバー系のメーカーやSIerにシステム構築を委託するスタイルを確立させたい」(澤田脩社長)としている。大学共同利用機関法人の高エネルギー加速研究機構に提供した解析用コンピュータと高速ネットワークを組み合わせたシステム「Bファクトリー計算システム」では、システム構築にあたり同社がプライマリーベンダーとなり、デルおよびソニーブロードバンドソリューションと協業した。
今後は、「ネットワークとコンピュータの融合を積極的に提案していく」(澤田社長)方針で、コンピュータ系SIerの日本ビジネスシステムズ(JBS)と、同社の子会社でテクニカルアウトソーシング事業を手がけるJBSテクノロジーを共同事業化することで合意。コンピュータとネットワークの両方に精通した技術者を育成することで、自社技術者のスキルを向上させていく。
■仮想化切り口に提案も
ネットワーク系SIerによるシステム案件の獲得は、自社でネットワークインフラ構築のみを提案するか、サーバーメーカーやSIerなどからネットワーク構築を受託するといった2種類が主流だ。しかし、ネットワークのIP化が進むにつれてSIerがネットワーク構築も手がけ始め、ネットワーク系SIerにとっては受注案件が減少しているのが実情。そこで、ネットワークセキュリティサービスの提供やストレージ機器の販売など、ネットワークインフラに付随する製品やサービスを含めてシステムを提案するようになった。これにより、コンピュータシステム構築の一環として、サーバーの販売を視野に入れるようになったわけだ。
こうした背景には、ネットワーク機器の低価格化による業績不振の影響が無視できない。ネクストコムでは、今年度第1四半期の連結業績で売上高が75億8800万円(前年同期比6.4%減)と減収、これにともない営業損益が4900万円の赤字(前年同期は5億4900万円の黒字)に転落。ネットワンシステムズでは、売上高が218億8300万円(同0.2%増)と前年並みにとどまり、営業利益が4600万円(同97.1%減)と大幅に減少した。第1四半期の業績が厳しかったことから、両社とも通期の連結業績予想を下方修正している。
ネットワークとコンピュータを組み合わせたシステム提案で、業績を堅調に伸ばしているベンダーもある。ネットマークスの子会社であるエス・アンド・アイでは、コンピュータとネットワークの両システムを構築するノウハウを持つ。最近では、サーバーとネットワークの“仮想化”や“統合化”を切り口にシステム提案を行っており、「他社にまねできない独自のシステムにより、サーバー系とネットワーク系ともに新規顧客の開拓が図れている。仮想化や統合化の案件では、今年度中(07年3月期)に20社以上を獲得できる」(伊藤英啓・ソリューション営業本部コンバージド・プラットフォーム統括部長)としている。
ネットワーク系SIer各社が事業領域拡大の体制を整えるのは、業績回復の布石を打つためということになる。
ネットワーク系SIerによるサーバー販売の動きが出てきた。ネットワークインフラの構築を主体にしていたこれまでのビジネススタイルを変革し、サーバーやアプリケーションサービスを含めた総合的なシステム提供で新規顧客を開拓していく。ネットワーク系SIer各社は、主力事業であるネットワーク機器の販売が厳しいことから業績不振が続いている。事業領域の拡大で成長路線の軌道に乗せることが最大の狙いだ。(佐相彰彦●取材/文)
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