その他
J-SOX法が連結会計に波及 東証上場企業の3割が開示情報に不備
2006/10/23 14:53
週刊BCN 2006年10月23日vol.1159掲載
金融商品取引法(いわゆる「J-SOX法」)の施行に伴って、IR担当者や経理部門に困惑が広がっている。決算情報の開示に2か月近くかかっていては、投資家への透明性を確保したとは言い難い。しかも3か月おきに四半期決算を開示していかなければならない。そうしたなか、子会社150社の連結決算を2週間で完了した企業が登場し、注目を集めている。(佃均(ジャーナリスト)●取材/文)
システムの全体最適化が焦点に ■150社の連結決算を2週間で終了 内部統制と決算自動化を実現 日本公認会計士協会によると、東京証券取引所に上場している2354社のうち、連結決算を発表した後に開示情報の不備を認めたのは約3割の657社。訂正件数は2046件で、そのうち数字の訂正は1649件(80.6%)にのぼる。「内部統制が完璧でも、これで投資家の信頼を得られるのか」と東証関係者は嘆く。 こうしたなかで150社の連結決算を2週間で完了したのが、みずほフィナンシャルグループだ。同社は旧第一勧銀、富士銀行、日本興業銀行の3行の合併によるシステム統合と、ニューヨーク証券取引所への上場に当たってプライスウォーターハウス、新日本監査法人と契約、情報子会社のみずほ情報システム総研が全力を投入してSOX法対応システムを構築した。重視したのは内部統制への対応ばかりでなく、連結決算の自動化だった。 みずほフィナンシャルグループ、新日本監査法人のパートナーとしてシステム構築に参加したITコンサルティング会社インプレスの江澤章社長は、「J-SOX法のポイントは決算情報開示の短期化と正確さ。ところが内部統制のシステム化を優先し、連結決算は後回しというのが実情」と指摘する。 子会社は個々に会計システムを構築し、規模や業態、業務に合わせて個別の会計基準を採用している。個別決算はそれでいいが、連結決算では会計システムのすべてのデータに整合性を持たせる必要がある。また対象子企業の決算進捗に1社でも遅滞があれば、親会社が行うべき連結の情報開示が遅れてしまう。■大半の企業が表計算で集計し、電卓で検算というのが実情 多くの企業は、子会社からあがってくる個別決算のデータを表計算で集計し、電卓で検算する前時代的な作業を行っている。連結財務諸表を作成したのち、ワープロと表計算を駆使して決算短信、有価証券報告書、商法計算書類を作成する。それぞれが独立したファイルとして作成されるため、整合を確認するために校正を繰り返さなければならない。 売上高に修正が入るだけで、全体で500箇所以上に波及する。そのすべてを目視で確認、やっとリーガルチェックの段階に入る。ある一部上場企業のIR担当者は、「決算期を迎えると、IR部門や経理部門はねじり鉢巻き、徹夜の連続ということも珍しくない」と苦笑する。「四半期決算を考えると気が重くなる」と本音を漏らす。 みずほフィナンシャルグループが構築したシステムをもとに、「i CAS」「i Shot BOX」というパッケージ型ソリューションが誕生した。システム構築だけでなくITコンサルティング、IR支援サービス、リーガルチェック・アセスメント、各種報告書の印刷までオールイン・ワンにしたものだ。 i CASは、子会社の個別の会計システムをWebベースで連携し、連結決算に必要なデータだけを自動的に吸い上げる。「FWD」と呼ぶ財務情報管理システムと、「CAM」と呼ぶ連結決算自動生成システムで構成され、個別補正や換算処理、照合、差額調整、連結修正仕訳が自動化されるうえ、500項目以上のエラーチェックを行うロジックが組み込まれている。 i Shot BOXはi CASで生成された連結決算データをもとに決算短信や有価証券報告書などを作成する。テキストに決算データのリンクを埋め込むことができるので、数値に修正が発生しても、関連するテキストが自動的に修正される。 「気がついたらユーザーは100社以上。引き合いが急増している」とインプレスの江澤社長は反響の大きさに自信を深めている。
金融商品取引法(いわゆる「J-SOX法」)の施行に伴って、IR担当者や経理部門に困惑が広がっている。決算情報の開示に2か月近くかかっていては、投資家への透明性を確保したとは言い難い。しかも3か月おきに四半期決算を開示していかなければならない。そうしたなか、子会社150社の連結決算を2週間で完了した企業が登場し、注目を集めている。(佃均(ジャーナリスト)●取材/文)
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