NEC(矢野薫社長)は、昨年10月に刷新した「統合ソフトウェア・パートナー制度」のうち、企業向け自社注力ソフト別に中堅中小企業(SMB)市場に向けたチャネル戦略をさらに加速する。近く、統合システム運用管理ソフト「WebSAM」のSMB版を出し、新規パートナーを募るほか、今年度内(2007年3月期)にセキュリティ対策ソフトで、製品とパートナー関連の両面で新たな戦略を打ち出す計画。また、オープンソースソフト(OSS)関連では、SMB向けのサポート・構築メニューを新たにパートナーへ提供する。「ソフトウェアビジネス」の売上高は、今年度が約1000億円程度の見込みで、このうち、SMB市場向けは約15%。中期的には、全体を2000億円とし、SMB向けを25%まで拡大することを目標にしている。
中堅以下で売上規模2000億円へ
従来のソフトに関連したパートナー制度は、各ソフトごとに販売特約店やSIer、ISVなどとパートナーシップを組んできた。昨年10月には、各ソフトごとに区分していた技術や営業支援を統合し、SMBに対し、よりきめ細かい支援をするための新制度「統合ソフトウェア・パートナー制度」に改めた。
現在、注力ソフトのうち個別パートナー制度「WORKS」が存在するのは、国内トップシェアの商用クラスタソフト「CLUSTERPRO」とRFID(ICタグ)用ミドルウェア「RFID Manager」、統合運用管理ソフト「WebSAM」、高信頼アプリケーション基盤「WebOTX」の4製品。上記3製品は、新制度前から実施していたものを改良し、現行制度に移行した。「WebOTX」は今年6月に初めて制度化している。

これに加え、「WebSAM」の個別パートナー制度をリニューアルする。同ソフトのうち、中堅企業以下に対応した「WebSAM System Navigator」は、価格が100万円からで対応サーバー数が10台程度だったため、「中堅企業以下に浸透しづらかった」(山増一浩・ソフトウェア販売促進統括部長)。
この製品をベースにサーバー数1-5台のシステム環境に対応し、機能を限定した低価格製品の提供を開始する。SIerやISVなどパートナーと共同で各社の業種・業務向けソフトに同製品を組み込み、ユーザー企業に提供するスキームを構築する。
低価格製品をリリースする理由について、山増部長は「5台以下のサーバー環境下にある中堅中小企業でも、運用管理コストの増大を懸念する企業が増えた」と説明している。システム運用管理ソフトでは、日立製作所や日本IBMが中堅中小企業向け製品を出し、パートナー制度を実施するなど先行しているが、「当社は、IAサーバー『Express』で培ったSMB市場でのノウハウがあり、ハードウェアと一緒にソフトを訴求できる」(同)と、競合他社に対抗していく考えだ。
時期は未定だが、このほか「InfoCage」などを含むセキュリティ製品でも「WORKS」を立ち上げる計画。また、ファイルやパソコン、サーバーなど各レイヤにバランスの取れたセキュリティ対策を講じる「協調型セキュリティ」を打ち出し、パートナーの勧誘も加速する。
一方、同社は「OSS推進センター」を設立するなど、OSS市場でトップシェア(導入サイト数1800)を堅持するが、大企業での導入実績を生かし、OSSに関連するSMB向けパートナー支援策を開始する。OSSベースの業務ソフトをもつISVやSIerに対し、サポート体制の提供やOSSデータベースと既存製品を組み合わせる際の技術支援などを、今年度内に開始する。
同社は、セキュリティ、運用監視、アプリケーションサーバー、データベース&ストレージ、サーバー・プラットフォーム、開発環境、ユビキタスの7つをソフトの「注力技術領域」としている。このうち、「CLUSTERPRO」「WebSAM」「WebOTX」「InfoCage」、企業情報ポータル「StarOffice」の5ブランドを強化、各領域で国内シェアトップを目指す方針だ。