その他
NTTの「ひかり電話」に問題発生 IP電話事業への影響は!?
2006/12/18 14:53
週刊BCN 2006年12月18日vol.1167掲載
NIer(ネットワークインテグレータ)などベンダー各社がIP電話事業の拡大に力を注いでいるなか、需要の足を引っ張るトラブルが相次いだ。NTTグループのIP電話サービス「ひかり電話」の通話がつながりにくい状況に陥った事故だ。ユーザー企業の間で「固定電話の通話は、つながって当たり前」との認識が強いため、今回のトラブルはIP電話の安定性や信頼性が損なわれ、個人、法人ともにIP電話に加入するユーザーが減少へと転じる危険性をはらんでいる。(佐相彰彦●取材/文)
ぜい弱性克服でチャンスをつかむ
■東西でトラブルが3回も
今年9月19日、NTT東日本はIP電話システムにトラブルが発生したことを発表した。原因は、IP電話網の呼制御サーバーが混雑したことにあった。1つの電話番号で複数のゲートウェイ機器を通じて着信させる「複数ゲートウェイスリップ機能」が可能なソフトウェアの不具合で高負荷時に処理遅延が生じた。これにより、IP電話向けに多く設置されている呼制御サーバーの一部にだけアクセスが集中。このトラブルで、ユーザーは3日間、通話がつながりにくいという状況に陥った。
NTT西日本でも、10月23日から25日にかけて呼制御サーバーの処理能力不足によって不通になるという事態が発生。12月5日には、NTT東日本のIP電話システムが再び異常をきたし、「ひかり電話ビジネスタイプ」に加入する法人の多くが通話しにくいというトラブルに見舞われた。
こうした一連のトラブルは、ユーザーに対してIP電話の安定性や信頼性に大きな不安を抱かせたといえる。IP電話ユーザーのなかでも、法人は通話がつながりにくい状況が続いた場合、業務に支障をきたす可能性が大きい。そのため、NTTグループのトラブルを受け、法人向けIP電話事業に力を注ぐNIerにとってはビジネスを拡大するうえで少なからず痛手になっているようだ。
ネットワンシステムズでは、「企業は、社内の固定電話は普通に通話できて当たり前という意識が強い。そのため、IP電話の需要を削ぐ危険性をはらんでいる」(澤田脩社長)と嘆く。ネットマークスでも、「顧客企業からトラブルに関する問い合わせが殺到したのは事実。『IP電話は黎明期であるため、多少のトラブルがつきもの』と苦しい言い訳をせざるを得なかった」(大橋純社長)と打ち明ける。
■追い風と捉えユーザー増へ
しかし、NIerがネットワーク機器の販売を促進する方策として、IP電話システムの提供拡大は欠かせない。そのため、NIer各社はシステム構築ノウハウやサポートのアピールでIP電話事業を拡大しようとしている。「他社には、まねできないネットワークインテグレーションを訴えることで当社の信頼性を高めていく」(ネットマークスの大橋社長)というわけだ。
また、外出先で携帯電話、社内でIPを通じた内線電話に切り替わるモバイルセントレックスがIP電話の需要を促進させるという見方もある。ネットワーク機器ディストリビュータのネットワークバリューコンポネンツは、「固定電話をIPに切り替えるのはコスト削減につながるというのがうたい文句だったが、安定性がなくては意味がない。その点、携帯電話網とIP網の両方に対応するモバイル端末であれば、もし社内のIP電話システムにトラブルが生じた場合でも携帯電話網で通話できるというメリットがある。ユーザー企業に対してIP電話を普及させることにもつながるのではないか」(渡部進社長)とみている。
NTTのトラブルは、現状のIP電話システムがぜい弱であることを露見したことになる。IP電話関連製品を担ぐ販社にとっては、トラブルを逆手に事業拡大の追い風とし、ユーザー企業を獲得できるビジネスチャンスと捉えて新しい製品・サービスを提供していくことが必要といえそうだ。
NIer(ネットワークインテグレータ)などベンダー各社がIP電話事業の拡大に力を注いでいるなか、需要の足を引っ張るトラブルが相次いだ。NTTグループのIP電話サービス「ひかり電話」の通話がつながりにくい状況に陥った事故だ。ユーザー企業の間で「固定電話の通話は、つながって当たり前」との認識が強いため、今回のトラブルはIP電話の安定性や信頼性が損なわれ、個人、法人ともにIP電話に加入するユーザーが減少へと転じる危険性をはらんでいる。(佐相彰彦●取材/文)
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