その他
ネクストコムとMKIが合併 SIとNIの融合ビジネスへ
2007/01/15 21:10
週刊BCN 2007年01月15日vol.1170掲載
NIer(ネットワークインテグレータ)のネクストコム(山本茂社長)と開発系SIerの三井情報開発(MKI、増田潤逸社長)が2007年4月1日付で合併する。最近では、大手ITベンダーの合併も相次いでいることから、中堅企業に位置づけられる両社が企業規模の拡大で事業領域を広げ、ユーザー企業からの信頼を確保する手段として合併するのは不自然とはいえない。今回の合併により、SIとNI両方の事業で業績を伸ばしていく方針を明らかにしており、融合ビジネスがどのような実を結ぶかに注目が集まりそうだ。(佐相彰彦●取材/文)
経営基盤の安定化なるか!?
■業務提携から合併に進展
合併会社は、4月1日の合併にともない「三井情報株式会社」と社名を変える。存続会社はネクストコム。三井情報開発は解散となる。
合併の経緯は、MKIがネクストコムに対して業務提携を持ちかけたことが発端だ。MKIの増田社長は、「新しいデータ関連事業を模索しており、ネクストコムが持つVoIPノウハウを生かせば大きなビジネスにつながると考え、06年夏頃から打診を始めた。提携話を親会社の三井物産に報告したところ、提携にとどまらずに合併という話で進めるように指示された」としている。そこで、秋頃からMKIの増田社長とネクストコムの山本社長の間で話し合いを重ね、「合併することが最適な方法と判断した」(増田社長)。
合併会社の社長には、MKIの増田社長が就任。ネクストコムの山本社長は3月31日付で退任。「合併会社には何のかかわりも持たない」(山本社長)としている。というのも、「合併することで話がまとまった時から、とどまるつもりはなかった。04年12月に実施したIP関連機器販売のアダムネットとシステム開発系SIerであるビーエスアイ2社との合併を経験し、いかに統合化が大変なのかを肌で感じた。私は満56歳になる。再度、統合化を図るためには、この年齢では体力がないと考えた」(同)ためだ。
ネクストコムは、3社合併の初年度となる05年度(06年3月期)に売上高1000億円を掲げたが、「ネットワーク機器の販売が落ち込んだことから、下方修正せざるを得なかった」(同)。しかも、06年度中間期連結業績は、売上高183億8800万円(前年同期比8.7%減)、営業利益5億6200万円(同53.1%減)、経常利益6億3400万円(同52.7%減)、最終利益3億1600万円(同58.6%減)だった。一方、MKIは売上高109億3500万円(同11.5%増)、営業利益が前年同期の3倍弱となる2億4500万円、経常利益が同3.5倍強の2億5700万円、最終利益が1億6700万円(前年同期は7億円の赤字)と順調に伸びた。そこで、増田氏が合併会社の社長に抜擢されたわけだ。
■企業規模の拡大で信頼を確保
合併の狙いは、SIとNIの融合による事業領域の拡大だ。ネクストコムは、ネットワーク関連のシステム構築を得意とする。一方、MKIはパッケージソフトを中心にシステム開発やコンサルティングサービスを提供。ネットワーク技術とコンピュータ関連のシステム構築、運用サービスなどを組み合わせた総合力で業績を伸ばしていく。増田氏は合併会社の社長になる立場から、「SIとNI、VoIPなどの事業を生かし、拡大する市場に対して積極的な対応が図れる」と自信をみせる。
合併後の売り上げ規模は、両社の06年度(07年3月期)の連結見通しを単純合算すると753億円。ネクストコムの山本社長は、「合併によって1000億円企業も夢ではない」としている。増田社長も、「初年度から見込めるわけではないが、できるだけ早い段階で1000億円を狙う」方針を示す。
SIerを取り巻く市場環境は厳しい。ユーザー企業のシステムに対する投資意欲が回復しているものの、ニーズの多様化で競争が激しくなっているためだ。「合併による企業規模の拡大で、ICT(情報通信技術)関連のアウトソーシングサービスなど、ユーザー企業からシステム案件を長期的に確保するベンダーとして地位を確立できるようになる」(増田社長)。確かに、これまでの売り上げ規模よりも2-3倍に拡大するので、ユーザー企業への信頼を確保できる可能性はある。しかし、最近では伊藤忠テクノサイエンスとCRCソリューションズによる大型合併(現・伊藤忠テクノソリューションズ)などに代表されるように、大手ITベンダーの合併が相次いでいる。その観点に立てば、規模拡大だけで競争に勝てるかは不確定だ。
「07年3月までに、07年度(08年3月期)から始まる3か年中期経営計画を策定する」(増田社長)。その計画次第で、SIとNIの統合効果を発揮できるかが決まる。
NIer(ネットワークインテグレータ)のネクストコム(山本茂社長)と開発系SIerの三井情報開発(MKI、増田潤逸社長)が2007年4月1日付で合併する。最近では、大手ITベンダーの合併も相次いでいることから、中堅企業に位置づけられる両社が企業規模の拡大で事業領域を広げ、ユーザー企業からの信頼を確保する手段として合併するのは不自然とはいえない。今回の合併により、SIとNI両方の事業で業績を伸ばしていく方針を明らかにしており、融合ビジネスがどのような実を結ぶかに注目が集まりそうだ。(佐相彰彦●取材/文)
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
- 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…