その他
デルの中国工場を訪問
2007/02/19 21:10
週刊BCN 2007年02月19日vol.1175掲載
デルの日本向けパソコンおよびサーバーは、中国・廈門(アモイ)のCCC(China Customer Center)4で生産されている。同工場では、年間で最大350万台ものパソコンが生産可能。これは、日本市場の年間出荷台数の4分の1にあたる。隣接する工場も合わせると、実に国内市場の半分に匹敵する規模だ。このほど、同工場を訪問する機会を得た。日本向け製品の生産ラインの取材を通じて、デルモデルの調達、生産、物流の仕組みを追った。(大河原克行(ジャーナリスト)●取材/文)
受注生産で年間350万台を供給
日本、韓国向けの出荷も開始
■アジア全域の注文情報を集約 先端設備導入し昨年5月に稼働
デルが中国で生産を開始したのは1998年。日本向けの製品は、長年、CCC2と呼ばれる拠点で生産されていたが、昨年5月に最先端設備を導入したCCC4を新たに稼働。CCC2を中国国内向けの専門工場とする一方で、CCC4で、日本をはじめ、韓国、香港などアジア向けの生産を開始した。また、今年前半にもCCC4とほぼ同規模の新工場がインドで操業する予定で、ここで、インド市場向けの製品が生産されることになる。デルは、アジア地域での生産体制を急ピッチで拡大しているところだ。
では、CCC4において、日本向け製品はどんな流れを経て、生産されるのだろうか。
デルの基本は、受注生産である。日本のユーザーがネットなどを通じて発注した製品は、JDOMS(ジェイドムス)と呼ばれる受注情報システムを経由して、CCC2に置かれたデータセンターに情報が蓄積される。ここにはアジア全域からの注文情報が集約されることになり、そこから部品の調達指示、生産指示が行われることになる。
部品調達では、物流パートナーであるBAXグローバルとの連携が見逃せない。デルの中国進出とともに、廈門に拠点を置いた同社は、デルのマレーシア・ペナン工場でも提携しているデルの強力なパートナー企業だ。
廈門の自由貿易地域に約8000平方メートルの倉庫を確保。約50社の中国企業から納品された部品をはじめ、全世界130社の部品を月1万パレット、在庫金額にして約1億米ドルを保管している。これは、CCC2およびCCC4で生産するパソコンの約2週間分に匹敵する在庫量だ。
これをVMI(ベンダー・マネジメント・インベントリー)として管理。デルの生産施設に入るまでは、部品メーカーの資産となり、部品在庫ゼロを実現している。また、自由貿易特区であるため、海外からの部品は無課税で輸入。デルが完成品として輸出するパソコンも無課税となり、これもコストダウンに直結している。
■発注から90分で部品が入荷 変化に即応できる生産体制
部品発注のサイクルは90分。同様に、デルの発注から90分以内に部品を工場に入荷する契約となっている。BAXでは、8台の10トンコンテナトラックをデル専用として配備。約20分の距離を一日10往復で納品する。
廈門市内では、道路工事の影響で渋滞が多発するようになったせいで、現在の納品遵守率は98%だという。
BAXグローバルロジスティック廈門のデビッド・ハン総経理は、「CCC2およびCCC4から車で2分程度の場所に、フィーダー・ハブと呼ばれるデル専用の小型倉庫を新設し、1─2日分のすべての在庫を保管することで、納期遵守率100%を実現する」と語る。
一方、生産指示は、1台ごとに仕様が異なることから、各工程においてバーコードを用いて、こまめにチェックを行いながら生産する。
製造ラインは、「キッティング」「ビルド&バーン」「バックエンド」という3つの工程に分類される。
キッティングエリアでは、「トラベラー」と呼ばれる生産指示書の注文仕様にあわせて部品をピックアップ。専用トレイに乗せて、ビルド&バーンエリアで組み立ておよび検査が行われる。
組み立ては、1人の作業員が1台に対応するセル方式を採用。1ラインには、30以上のセルがあり、それぞれのセルブースでバーコードを読みとると、モニターに組立指示が映し出され、それに従って組み立てを行う。組み立てが終わると、検査エリアで、OSやドライバ、アプリケーションソフトをネットワークを通じてダウンロードするとともに、テスト用ソフトをダウンロードし、動作確認の試験を実施する。標準仕様のデスクトップパソコンでは約2─3時間で検査が完了するが、顧客の要求にあわせて20時間もの検査を行う場合もあるという。
検査が終わると、バックエンドエリアで、付属品の添付や梱包が行われ、出荷口へと搬送される。出荷も90分サイクルで行われる。
中国デルのアクティングディレクターのマーク・リン氏は、「デルの生産拠点は、BTOへの対応、品質管理、フレキシビリティの3点が特徴。顧客と直接の接点を持っていることから、顧客の要求仕様の変化、需要の変化などを肌で感じて、それを生産体制に反映できる。ユーザー企業の要望に対しては、規格以外の品質検査といったことも柔軟に行っている。デルのサプライチェーンは、市場とサプライヤー、顧客とデルの断絶が起こらない仕組みとなっており、それが生産ラインにも反映されている。だからこそ、サプライチェーン全体でのコストダウンや品質向上が可能になる」と語る。
デルモデルは、生産拠点の進化とともに威力を発揮している。
デルの日本向けパソコンおよびサーバーは、中国・廈門(アモイ)のCCC(China Customer Center)4で生産されている。同工場では、年間で最大350万台ものパソコンが生産可能。これは、日本市場の年間出荷台数の4分の1にあたる。隣接する工場も合わせると、実に国内市場の半分に匹敵する規模だ。このほど、同工場を訪問する機会を得た。日本向け製品の生産ラインの取材を通じて、デルモデルの調達、生産、物流の仕組みを追った。(大河原克行(ジャーナリスト)●取材/文)
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