住商情報システム(阿部康行社長)は来年度、主力のオリジナルERP(統合基幹業務システム)最新版「ProActive(プロアクティブ)E2」事業を本格成長軌道に乗せる。製品のカスタマイズや導入に欠かせないビジネスパートナーを拡充するなど体制を整えることで受注件数を増やす。今年度中間期(2006年4-9月期)では、カスタマイズに手間取り、収益の足を引っ張る事態に陥っていた。社内外の人員の手当てやスキルアップを行うことでシェア拡大を目指す。
来年度拡販への体制整う
パートナーの拡充進める
プロアクティブE2の今年度(07年3月期)累計受注件数は200件あまりの見込みで、昨年度の伸び率より大幅にダウンする見通しだ。今年度中間期、プロアクティブ事業全体の営業利益は前年同期比で約5億円減るなど業績面でも足を引っ張った。これを受けてパートナーの拡充など体制を大幅に強化。来年度は再び「成長路線に乗せる」(竹村慎輔・ProActive事業推進部長)と立て直しに力を入れる。
自社単独での人的リソースの拡大には限界があるためE2のパートナー数を新たに10社ほど増やして約30社に拡大した。新規のパートナーのなかには自ら顧客基盤を持ち、販売から導入、保守まで一貫して行う“自己完結型”有力SIerも含まれており、受注増への対応力が強まった。一方、カスタマイズなどソフト開発を主体とする開発パートナーの数はコスト増を防ぐために抑制。既存のパートナーにより多くのSEを割り当ててもらうなどの対策でリソースの増強を進める。
直間比率も見直す。既存のプロアクティブシリーズはパートナー経由の売り上げが約7割を占めているのに対し、E2は逆に直販が約7割を占める。パートナー販売網の弱さが不振の要因のひとつとみられる。今回、新規パートナーが増えたことでプロアクティブ事業全体のパートナーのうち、半分近くがE2を扱えるようになった。E2では従来のオラクルプラットフォームを改め、業界標準のJavaでゼロから作り直した。この新しいアーキテクチャに慣れるまで、「予想外に時間がかかった」ことも販売網の拡充に手間取った要因だ。
予想外はまだある。当初想定したターゲット層と実際に受注した顧客とのズレだ。既存のプロアクティブユーザーのボリュームゾーンは年商100-300億円だが、E2では同300-500億円に変わった。機能アップで中堅大手まで対応できるようになったことが実証された功績は大きい。だが既存プロアクティブのユーザーをいかにE2へ移行させるかなどの課題は残る。プロアクティブシリーズは過去およそ14年間にわたって累計3400社あまりのユーザーを獲得してきた。単純に年平均すると約240社ずつ増えている計算になる。E2で同様の伸びを目指すには、中小ユーザーに向けた施策強化が欠かせない。
今後は業種テンプレートの拡充や上流コンサルティングから導入、保守サービスに至るまでの作業の標準化を進めることで効率化を図る。パートナーのより一層の拡充も併せて行うことで、3年後の09年度末までにE2の累計受注件数を800-1000件に増やすことを念頭に置く。中堅大手の比重が高くなればユーザー数ベースで下振れする可能性があるものの、既存ユーザーなど中堅中小のE2への乗り換えが順調に進めば1000件は射程内に入るものとみられる。
プロアクティブシリーズの金額シェアは年商500億円未満の中堅中小市場で3番手とされる。同社ではプロアクティブを他社との差別化を図る重要事業と位置づけ、E2の拡販を進めることで「NO.1プレーヤーを目指す」と意欲を示す。