その他
東芝情報機器、TOPSと統合 グループの法人向けPC事業を集約
2007/04/16 21:10
週刊BCN 2007年04月16日vol.1183掲載
東芝情報機器(山下文男社長)は、2007年4月1日付で東芝パソコンシステム(TOPS)のパソコン販売と保守サービスを統合、東芝グループの法人向けパソコン事業を一手に引き受けることとなった。200-500人規模の企業を対象としたSI(システムインテグレーション)が得意のTOPSを吸収したことで、SMB(中堅・中小企業)に対するシステム・サービスの提供が拡大することになるが、さらに業績を伸ばすには販売代理店への支援強化も必要となりそうだ。(佐相彰彦●取材/文)
販売代理店への支援強化がカギ
■500人以下のSMBを開拓
今回の統合により、東芝情報機器はTOPSが提供していた法人向けパソコン販売に加え、個人向けパソコンの保守やコールセンターを集約した。山下社長は、「販売力やサポート力を高め、付加価値が高いサービスの提供が可能となった」と胸を張る。
これまで東芝情報機器が対象としていたユーザー企業は500─1000人が中心だ。これに、TOPSが事業領域としていた200─500人も加わった。しかも、TOPSは「SIで定評がある。このノウハウを生かし、ソリューションビジネスを拡大できる」としている。
しかし、ひとつ問題がある。販売代理店との兼ね合いだ。これまでTOPSは直販を中心に200─500人規模の企業を顧客として獲得してきた。一方、東芝情報機器では、この規模のユーザー企業は販売代理店が提供していた領域といえる。これまでも、「確かにバッティングするケースがあった」と認める。にもかかわらず、TOPSのビジネスモデルは東芝情報機器でも踏襲、引き続き直販を行っていくという。とすれば、販売代理店と競合する可能性はあるわけだ。
こうした状況に対して、山下社長は「従来は販売代理店が入り込めなかった企業に対し、当社が売り込めるようになる。これにより、この分野での市場シェアが拡大することになる」という見方を示す。これは、販売代理店を単に増やすのではなく有力な販売代理店とのアライアンス強化を徹底することの現れではないだろうか。山下社長は、「すべてはユーザー企業のことを優先して考えるべき」としている。また、「ユーザーの声を聞き、解決策を販売代理店とともに模索していくことが重要」とアピールする。
■“Win-Win”の関係を築く
東芝情報機器は、05年10月にプリンタ事業を東芝テックグループに移管したことで、販売代理店の数が極端に減少した。多くがプリンタを販売していたためだ。その抜本的な改革が実施された6か月後に“山下体制”として再スタート。苦しい状況下での船出との見方が強かったが、山下社長は就任時に「当社に残った販売代理店がパソコン販売で売り上げ80%を占めていた。販売代理店が多ければよいというわけではない」と話していた。実際、社長に就任してから丸1年となった昨年度の実績は「売り上げは決して下がっていない」そうだ。
最近では、パソコンなどハードウェア単体製品で販売するビジネスモデルは、なかなか利益が伸びずに厳しいとの見方が強い。これは、東芝情報機器の販売代理店にとっても同様で、単なる“箱売り”では生き残れない。東芝情報機器にとっても、こうした販売代理店を確保しておくのは、共倒れになりかねない。
売ってくれない販売代理店を手厚く保護するのではなく、ユーザー企業の増加や客単価を上げるためにアライアンスを組むことで“Win-Win”の関係を築くのが同社の狙いといえそうだ。
山下社長は、「ソリューションの提供拡大に向けたプロジェクトを進めており、販売代理店に対する支援強化策や、“ビジネスパートナー会”の発足などパートナーシップを深める取り組みを今年度前半中に固める」予定だ。今後は、製品単体での販売でなくシステム・サービスの提供拡大を加速する考え。TOPSとの統合効果を出すためにも、優良な販売代理店の思惑とかけ離れない支援策を打ち出すことが重要だ。
東芝情報機器(山下文男社長)は、2007年4月1日付で東芝パソコンシステム(TOPS)のパソコン販売と保守サービスを統合、東芝グループの法人向けパソコン事業を一手に引き受けることとなった。200-500人規模の企業を対象としたSI(システムインテグレーション)が得意のTOPSを吸収したことで、SMB(中堅・中小企業)に対するシステム・サービスの提供が拡大することになるが、さらに業績を伸ばすには販売代理店への支援強化も必要となりそうだ。(佐相彰彦●取材/文)
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