その他
富士通 「打ち出の小槌」体制を確立へ 「ISVセンター」新設で
2007/05/21 21:10
週刊BCN 2007年05月21日vol.1187掲載
富士通(黒川博昭社長)は、国内外のISVとの関係を強化するため、自社ハードウェアにソフトの組み込みや事前検証からビジネス開拓までを検討する横断的な新組織「ISVセンター」を新設した。主として2年前に販売を開始した基幹IAサーバーにISV製品を搭載し、検証したうえで、UNIX代替となる大型案件などの受注増を狙う。ここ数年、ミドルウェアやハードウェアなど自社製品だけで提供する「垂直統合」を改め、他社製品を活用する「水平分散」へシフト。この傾向をより強め、世界のあらゆる企業に応じ、望むものを即座に手に入れられる“打ち出の小槌”のように、ソリューションを提供できる体制を築く。(谷畑良胤(本紙編集長)●取材/文)
世界のISVと連携を強化
富士通のISVセンターは、技術者やISV窓口担当者らで今年2月に組織。東京・浜松町の「プラットフォームソリューションセンター」を利用し、自社ハードへISV製品を組み込む企画・立案・事前検証を実施し、業種・業態・業務や企業規模に応じたソリューションを開発。このソリューションを利用したビジネス開拓するまでのプロセスを担う。
これまで、北米や欧州で活躍するマイクロソフトやシマンテック、BI(ビジネス・インテリジェンス)ベンダーなど、世界的な大手ISVを中心に訪問し、ヒアリングを実施。富士通と各ISVが狙う市場を出し合い、協業できる分野を相互に検討してきた。
リストアップしたISVは国内外で100社。このうち50社にヒアリングをした。順次、富士通製ハード上でのイネーブル(有効化)活動を開始している。「世界的にISVの活躍が目覚しい。富士通のソフト、ハードだけの垂直統合型の提供には限界がある。すべての企業にアタッチできる新規ソリューションをISVの力を借りて揃える」(谷村勝博・ISVセンター長)方針だ。
当面は、ISV製品の組み込みが手薄なItanium2プロセッサ搭載で64ビットの基幹IAサーバー「PRIMEQUEST 500シリーズ」で、Windowsの新サーバーOSとLinux対応のISV製品を揃えることに注力。「BI領域がブレークする」(谷村ISVセンター長)と、高速処理が可能なCPUを搭載した同サーバーで、BIを乗せた新ソシューション構築も狙う。
富士通は2004年6月から、中堅・中小企業向けに自社サーバーとISV製品を組み合わせて提供するパートナー支援制度「パートナーアリーナ」を開始。ISVセンターでは、同制度で協業するISVとの連携を強化し、競合他社にない世界的に通用する「水平分散」型のソリューションを揃えていく。
昨年10月に独SAPとサービス分野で協業するなど、外資系ISVとの関係を強化している。09年度(10年3月期)までに、連結売上高に占める海外比率を現在の約30%から50%に高めることを目標にしている。谷村ISVセンター長は、「世界的な市場拡大に、ISVとの協業は戦略上重要性を増している。07年度、08年度は勝負の年になる」とみる。国内IT需要が低迷するなかで、大手SIベンダーは海外に目を向けているが、進出の決め手を欠いている。富士通の「ISVセンター」は、海外に活路を見い出すうえでの試金石となりそうだ。
富士通(黒川博昭社長)は、国内外のISVとの関係を強化するため、自社ハードウェアにソフトの組み込みや事前検証からビジネス開拓までを検討する横断的な新組織「ISVセンター」を新設した。主として2年前に販売を開始した基幹IAサーバーにISV製品を搭載し、検証したうえで、UNIX代替となる大型案件などの受注増を狙う。ここ数年、ミドルウェアやハードウェアなど自社製品だけで提供する「垂直統合」を改め、他社製品を活用する「水平分散」へシフト。この傾向をより強め、世界のあらゆる企業に応じ、望むものを即座に手に入れられる“打ち出の小槌”のように、ソリューションを提供できる体制を築く。(谷畑良胤(本紙編集長)●取材/文)
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