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WiMAXの免許争奪戦が火を噴く 3G携帯電話事業者も参入へ
2007/07/09 14:53
週刊BCN 2007年07月09日vol.1194掲載
モバイルWiMAX免許の取得を巡り、通信事業者による争奪戦に拍車がかかっている。総務省が掲げた周波数割り当て枠は2社。その指針は新規事業者の創出を促すものだったが、3G携帯電話事業を手がける事業者がパートナーシップを組んで参入。どの事業者が免許を取得できるか、ますます混沌とした状況になったというのが大方の見方だ。ネットワーク関連機器などハードメーカーやアプリケーションなどソフトメーカー、SIerなどベンダーにとっては、パートナーシップを深める通信事業者の選択次第でモバイルWiMAX関連のビジネスに着手できるかどうかが左右される。そこで、各通信事業者が手がけているビジネス領域やWiMAX免許取得時のビジネスモデルなどを検証してみた。(佐相彰彦●取材/文)
WiMAXの免許争奪戦が火を噴く
■3G携帯電話事業者が参入“犬猿の仲”がタッグを組む
新たな動きを見せたのは、イー・アクセスとソフトバンク。WiMAXで協業することを打ち出した。
両社は、ブロードバンド事業で敵対していた、いわば“犬猿の仲”。それがタッグを組んだのは、「ぜひとも免許を取得したい」(イー・アクセスの千本倖生会長)からだ。今年秋までに事業会社の設立を検討。免許取得には、3G携帯電話事業者の出資比率3分の1以下が前提になるため、「最低でも、もう1社の出資が必要。ストラテジックインベスター(投資企業)に話を進めている」という。
“ブロードバンド先駆者”の両社だけに、WiMAX活用の新しいサービスを創造できる力をもっているはず。そういった点では、ベンダーがパートナーシップを深めるメリットがありそうだ。しかも、「ほかの通信事業者にも声をかけ、3社、4社、5社とアライアンスを増やしていく」(ソフトバンクモバイルの宮川潤一・取締役専務執行役員CTO)方針で、何としてでも免許取得を狙う。
■アッカは事業会社を設立予定 免許取得の有力候補か!?
WiMAX免許取得の最有力候補は、アッカ・ネットワークスとの呼び声が高い。神奈川県横浜市や新潟県魚沼市で実証実験を行ったほか、7月3日に事業会社を設立。他社よりも一歩ぬきんでている感がある。
同社は、トップ交代も明らかにした。NTTグループ出身の坂田好男氏に代わって日本IBM出身の木村正治氏が社長に就任する人事を発表。また、NTTコミュニケーションズによるアッカへの出資比率を下げるといった策も講じる。免許取得への力の入れようは凄まじい。
ベンダーがアッカとのパートナーシップを深めるメリットは、新しいアプリケーションサービスを模索している点にある。アッカの高津智仁・WiMAX推進室副室長は、「WiMAXは、アプリケーションサービスがカギを握る」と認識。VoIP(音声のIP化)やIPTVなどを中心に新しいサービスを創造していく。実際、カーナビゲーションへのサービスでは「免許取得の際にはアライアンスを組もうとの話が出始めている」ようだ。現段階では、どのようなサービスを具現化していくかを詰めている状況ではあるが、WiMAXならではのアプリケーションサービスの創造で免許取得に一歩近づくのではないか。アプリケーションベンダーにとっては、通信事業者の増加で通信事業者向けビジネスが拡大する可能性もある。
■次世代PHSのウィルコム 追い風で免許取得の可能性
ウィルコムも有力候補の1社としてあげられている。総務省が既存の3G携帯電話事業者単体に免許を付与しないことが追い風になった。しかも、PHSの基地局が全国16万か所、MVNO(仮想移動体サービス事業者)向けにネットワークを開放しているため、総務省の「5年以内に人口カバー率50%」「無線設備の開放」という免許付与の条件を満たしている。
WiMAXを生かせる規格は、「次世代PHS」。携帯電話に対抗できるだけの高速大容量ネットワークを可能にするというものだ。また、同社はスマートフォン「W-ZERO3」の市場投入でモバイル端末ベースの製品・サービス提供を強化している。免許取得に向けた取り組みについて、土橋匡・執行役員副社長営業統括担当は「アライアンスは現段階では言えない」と口を濁す。しかし、携帯電話の対抗馬として常にPHSの優位性を打ち出していることからも、水面下で打診している可能性はある。
大きなチャンスを目の前に、各社の動きはますます熱を帯びている。
モバイルWiMAX免許の取得を巡り、通信事業者による争奪戦に拍車がかかっている。総務省が掲げた周波数割り当て枠は2社。その指針は新規事業者の創出を促すものだったが、3G携帯電話事業を手がける事業者がパートナーシップを組んで参入。どの事業者が免許を取得できるか、ますます混沌とした状況になったというのが大方の見方だ。ネットワーク関連機器などハードメーカーやアプリケーションなどソフトメーカー、SIerなどベンダーにとっては、パートナーシップを深める通信事業者の選択次第でモバイルWiMAX関連のビジネスに着手できるかどうかが左右される。そこで、各通信事業者が手がけているビジネス領域やWiMAX免許取得時のビジネスモデルなどを検証してみた。(佐相彰彦●取材/文)
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