その他
札幌SIer 相次ぎ首都圏進出
2007/07/23 21:10
週刊BCN 2007年07月23日vol.1196掲載
北海道札幌市内のSIerが、首都圏を中心に全国へ相次ぎ本格進出している。NEC系列のHBAはASP型の小売業向けシステムで、内田洋行の子会社、エス・アイ・ユゥ(SiU)が福祉、建設、流通業向けシステムを武器に、大手SIベンダー系列の販社などを通じ、中堅中小企業に攻勢を強める。いずれも、「低コスト・短納期」のシステムとして、道内で実績を上げているため、「首都圏に展開できる」と判断。需要が低迷している道内以外に市場を求め、業績を安定させる狙いがある。
HBA 小売業向けASPで東京攻略
低価格を売りに中堅中小狙う
HBA(大谷勇社長)は、北海道内を中心に展開するVAN(付加価値通信網)ネットワーク事業を生かして開発したASP型の小売業トータルシステム「Hi─ReView(ハイレビュー)」を首都圏へ本格的に売り込む。同システムは、小売業とメーカー・卸を結ぶEDI(電子データ交換)アウトソーシング。ハードウェアやシステム開発の初期投資を抑制でき、インターネットデータセンター(IDC)でシステムの自動運転・監視をするため、運用コストを大幅に削減できる。首都圏の中堅中小の小売業にNEC販社などを通じて拡販する。
HBAは1964年に「北海道ビジネスオートメーション」として設立。04年7月に現社名へ変更した。
「Hi─ReView」は昨年11月に開発された。道内外の小売業123社が加盟・共同出資するヘリオス(社長=安田經・HBA会長)が利用するVANネットワーク(HBAが開発)のノウハウを生かし、ASP型に改良したシステムだ。店舗での発注管理から仕入買掛管理、棚札発行、棚割、棚卸管理、情報分析までトータルに情報管理できる。
ホームページ上で小売店から仕入先へEOS(電子発注システム)の発注データを基に伝票の発行やピッキングリストを作成できる。メーカーや卸が利用する場合の初期導入費用は5万円で、月額基本料金が5000円と低額に設定されている。メーカー・卸側では、伝票発行プログラムを開発する必要がなく、短期間での導入が可能という。将来的に「XML─EDI」に対応する計画だ。
同システムはHBAのIDCで自動運転・監視され、システム導入準備から稼働後の運用まで、専任スタッフが遠隔などでサポートする。「当社は、道内だけで小売・卸業を700ユーザー以上抱えている実績がある。首都圏のITベンダーは、大手の小売・卸を中心に販売しており、中堅以下を市場開拓する余地はある」(新覚地治・執行役員情報システム本部長)と、攻勢を強める。
HBAの売上高に占める首都圏を中心とした「道外」の割合は約5割。昨年度(07年3月期)は「道外」が前年度に比べ8.5%伸びた。今年度は同システムなどの成長を受け、19%の売上増を見込んでいる。
SiU 福祉システムを全国展開
建設ERPはWebサービス化へ
エス・アイ・ユゥ(SiU、山下司社長)は、建設、流通業と自治体の福祉向け自社開発システムの販売地域を拡大する。自治体では、障害者自立支援法の改正や特定診査・特定保健指導の義務づけなど、相次ぐ制度改正への対応を迫られている。SiU以外で、これらに対応した保健・福祉総合システムを持つITベンダーは少ない。道内ではすでに“特需”を生んでいるため、内田洋行や富士通販社などを通じて首都圏を中心に全国にも売り込めると判断した。また、250社以上に導入実績がある建設業向けERP(統合基幹業務システム)をWebサービス化し、首都圏の中堅建設業へ導入を促す。
SiUは1989年、内田洋行の子会社として設立され、道内の総生産で占める割合の高い卸・小売業など「流通」「建設」、公共・自治体向け「福祉」の3本柱でSI事業を展開している。道内では民需、官需ともに低迷を続けており、ここ3年間は東京を中心とした首都圏に市場を求めてきた。
今年度(2007年7月期)は、公共・自治体向けに独自開発した保健・福祉総合システム「es─Ambitious(アンビシャス)」が大幅に伸びている。保健分野で生活習慣病の予防・指導を目的として08年4月に特定診査・特定保健指導が義務づけられるほか、道内では福祉分野で、障害者自立支援法の施行に伴い道庁の財団が担っていた業務を自治体がシステム化することが必須となり、これらに対応した同システムが“特需”を生んだ。
「es─Ambitious」の導入数は、道内市町村合併後の250自治体のうち、すでに65自治体に導入されていたが、相次ぐ制度改正で約100自治体へ拡大した。山下社長は「保健・福祉関連の改正への対応は全国自治体に関係することで、全国へ当社システムの導入を拡大する」という。
また、中堅建設業がひしめく道内建設業向けに提供しているERP「PROCES.S(プロセス)」は、工事、管理、営業の各部門データを一元管理でき、早期に経営判断できるシステムとして評判が高い。同社はこのPROCE.Sを来年度中にもWebサービス化して、SOA(サービス指向アーキテクチャ)で他システムと連携、より汎用的に利用できるようにする計画だ。
食品加工業向けに提供している販売管理システム「Linkage(リンケージ)販売管理」などは、低コスト・短納期で導入でき、仕入れから製造まで管理できる製品として、道内で競合他社の製品からリプレースするケースが増加。内田洋行のERP「スーパーカクテル」などと連携した仕組みで、首都圏の中堅・中小の食品加工業にも浸透を目指す。
首都圏進出に備え、東京支店(中央区・日本橋)の人員を拡充し、開発部隊も首都圏に揃える予定だ。
北海道札幌市内のSIerが、首都圏を中心に全国へ相次ぎ本格進出している。NEC系列のHBAはASP型の小売業向けシステムで、内田洋行の子会社、エス・アイ・ユゥ(SiU)が福祉、建設、流通業向けシステムを武器に、大手SIベンダー系列の販社などを通じ、中堅中小企業に攻勢を強める。いずれも、「低コスト・短納期」のシステムとして、道内で実績を上げているため、「首都圏に展開できる」と判断。需要が低迷している道内以外に市場を求め、業績を安定させる狙いがある。
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