IV セキュリティベンダー
パッケージからサービスへ
SaaSベンダーとの協業も視野に
管理不要・コスト削減にメリット
昨年から、セキュリティ市場でも徐々にSaaS/ASPが台頭し始めたため、セキュリティベンダーも続々とこの市場に参入してきている。ウイルスソフトに関していえば、すでに9割の企業にパッケージソフトが導入されている状況だが、管理が不要になるという利点がユーザーに認知されれば、パッケージからサービスへの切り替えが進みそうだ。(鍋島蓉子)
“見えないコスト”を削減
すでにマカフィーでは競合他社に先行して中小企業向けのセキュリティ対策サービスを提供しているが、これまで提供していた「McAfee VirusScan plus AntiSpyware」から昨年11月に、「McAfee Managed Total Protection」を後継製品として提供。積極的な販売施策が効果を生み、現在の導入数は7万社、50万ノードを超えている。今年6月からは日本エフ・セキュアが「F─Secure PCプロテクションサービス」をケーブルテレビ(栃木ケーブルテレビ、館林ケーブルテレビ)などのISP向けに提供を開始した。エフ・セキュアは8年前からグローバルでサービスビジネスを展開し、34か国143のISP事業者に提供している。

一方、国内市場への新規参入例では、メールセキュリティを中心としたSaaS専業ベンチャーの米DigiTarが昨年11月に日本法人「デジター」を設立。米国などではメールセキュリティサービスの「Sentinel Messaging Service」を中心として、スタンフォード大学をはじめとした教育機関、ISP、州政府で採用され、実績を積んでいる。今年2月からは日本でも本格的に提供を始めた。
また、IT資産管理製品などを手がけるクオリティでは、中小企業向けのIT資産管理ASPサービス「ISM Client Care」を提供している。最近では代理店を介して、ウイルスソフトのASPサービスと同社の「ISM」をバンドルしたサービスなども展開している。
セキュリティソフトを購入したユーザーは、年ごとに更新作業をしなければならないが、サービスで提供されれば、初期投資を抑えながら、更新を意識せずソフトを使い続けることができる。さらに、サーバーを持つ必要がないため、「専任の管理者がいない中小企業にも簡単に導入できるので、SIerが提案するにはもってこいの商材だ」(日本エフ・セキュアの渡邊宏社長)とみる。また「サーバーの回線帯域コストやシステムの負荷を軽減する」といった『見えないコスト』の削減が期待できる」(デジターの飯野裕行・マーケティングディレクター)点も見逃せない。
[次のページ]