ライブドアの下での「635日」、何があったか
The past 「ライブドアとは相乗効果なし」
Viewpoint 2
平松社長が弥生の社長だった当時、“ホリエモン”こと堀江貴文元社長が率いる旧ライブドア傘下に入った。当時からその組み合わせに疑問だったが、「相乗効果はあったのか?」を問うた。さらには、世間に衝撃を与えた「ライブドア事件」がありながら、弥生はなぜ、事業を毀損せず、さらなる成長を果たせたのかについても尋ねた。
──ところで、弥生が旧ライブドア傘下に入る前、両社の相乗効果の大きさを強調されていましたが、そもそも、相乗効果を見込める間柄の両社だったのでしょうか。
飼沼 弥生の立場では、(相乗効果を生むために)いろいろな方法を試してみました。例えば、当時の金融事業会社、ライブドアファイナンスとの協業(経営者向け融資サービス「弥生の経営者応援ローン」など)や「livedoorデパート」でソフトウェアを販売するなどを進めました。
しかし、それほどの効果がなかったのは事実です。これまでの効果がなく、両社の依存性が低いからこそ、今回、切り離しができたのです。逆に、がんじがらめに相乗効果を生んでいたら、分離独立は考えなかったでしょう。
平松 弥生の社長だった時は、イグジットする立場でしたが、当時のファンド・パートナーであるアドバンテッジパートナーズや、MBOということで投資をした弥生の役員と従業員も、当時としては最高の評価を得て、成功したと感じていました。
──もう少し、踏み込んでお尋ねします。仮定として、もし旧ライブドア傘下に入っていなかったら、弥生はどう成長していたでしょうか。
平松 たとえそうだとしても、弥生の成長(06年9月期の売上高は約87億円、営業利益が約37億円)という点では変わらなかったでしょう。「ライブドア事件」(06年1月)が起き、ライブドアがポータルサイトの広告事業などで大変な毀損をした一方で、事業全体がまったく毀損することなく、以降も成長し続けたのが弥生ですから。
飼沼 (「ライブドア事件」があったにもかかわらず)弥生が事業を毀損せずに、ここまでこれたのは、20年間培ってきた「弥生ブランド」ではないでしょうか。ライブドアとは異なる次元で評価されてきたからでしょう。「弥生ブランド」自体は、元々ライブドアから独立していましたので。
事件が起きて、家電量販店の店頭プロモーションに起用していた“ホリエモン”の看板は即座に取り払いましたが、基本的な方針は何も変えていません。
──事件の余波で、弥生のトップだった平松さんは、当時のライブドア社長に急きょ就任したという経緯がありますね。
平松 会社の屋台骨を揺るがされても、弥生のスピードは落ちなかった。飼沼君をはじめとした、チームもブランドもしっかりできていたので、突如、弥生から私がいなくなっても、ガタつくことはまったくありませんでしたね。
事件当時は、業務ソフト業界の「繁忙期」ですから、私自身、とても心配しました。しかし、「弥生ブランド」の信頼度が事件の影響度より強かったということです。
──離れた位置から平松社長が弥生を見た時、「弥生ブランド」のほか、弥生が成長をし続ける理由は何だと考えていますか。
平松 インテュイットから離れた際に、ブランドと社名を一緒にしたことが弾みになりました(03年に社名を「弥生」に変更)。トヨタ、ホンダ並みのことを行ったんですね。弥生は、業務ソフトの「弥生シリーズ」を販売しているだけではありません。「かんたん・あんしん」というサービスを売っています。
「弥生シリーズ」を使ったからといって、税金が免除されるわけではありません。けれども、ブランドが持つ「安心感」は永久に変わりません。
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