SaaS編 2007年に注目度が高まったSaaSは、08年に 自社ビジネスの「追い風」になるか? |
全分野がSaaSに期待大販売系SIerは様子見も

2007年のICT・流通業界では、SaaSが既存のビジネスモデルを転換させる技術として話題となった。08年にSaaSは「追い風」に成り得るのか──。各ICTベンダーに聞いたところ、75.8%が「追い風になる」と回答した。08年には実ビジネスに影響してくると、SaaSを新たな成長市場とみる傾向が目立った。
「追い風になる」と回答したのはICT業界の全分野に及ぶ。開発系SIerのなかで、データセンターやアウトソーシング事業を得意とするベンダーは、新サービスとしてSaaSのメニューを増やすことができると期待する。すでに、ERP(統合基幹業務システム)など、業務ソフトウェアなどでSaaSを展開する「具体的な検討を開始した」ベンダーが複数ある。
業務ソフトベンダーは、ここ数年で既存ソフトをWebベース化しており、「SaaSの普及度合いに応じ、順次サービス投入できる」と、全社が積極的な姿勢をみせる。セキュリティ分野は「追い風」のようで、すでにSaaS事業を世界的に展開中のベンダーが多く、日本市場にサービス群を随時投入する機会をうかがっている。
意外な分野では、プリンタ業界が「在宅ワーカーが増え、SaaS基盤を生かすサービスが必要になる」と、閉塞感のある同業界に光明をもたらす技術として注目。通信技術に長けるネットワーク系販社も、「SaaSの浸透がネットワーク機器販売と構築の需要を喚起する」と期待する。
一方、IT機器販売を主力事業に位置づける販売系SIerの大半は、SaaSを「追い風にならない」「何ともいえない」と回答。「需要があるか研究を進める」などと、SaaSが実ビジネスと相乗効果を生むか、慎重に検討しているようだ。開発系SIerのなかでも、組み込みソフト開発を得意とするベンダーは「関係がない」と、直接的な影響はないという。アンケートを見る限り、08年はSaaSの新サービスが相次ぎ登場する見通しで、顧客獲得競争も激しくなる気配だ。
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