アライアンス編 2008年以降に自社でアライアンスを強化する 先はどんな分野か? |
SIerとのアライアンスが進むSaaSや仮想化も提携を後押し

有力ICTベンダーに強化すべきアライアンス(提携・協業)先について回答を求めたところ(複数回答方式)、SIerが29%でトップとなった。ハード・ソフトメーカーにとっては、顧客企業との接点が多いSIerとの関係強化は販路拡大に直結する。同業のSIerからみても特定業種に強い、あるいは得意技術を持つSIerはアライアンス先として魅力がある。ほかにもソフト・サービスの商材開発のパワーを補うためなどの理由から“組みやすい”相手であることが改めて浮き彫りになった。
次に多かったのはISVの23%。業務アプリケーションソフトなどの有力商材を持つISVはSIerやミドルウェア開発ベンダーにとって力強い味方になる。「ISV同士がアライアンスを組んで相乗効果を高める動きも活発化する」(ISV幹部)見込みだ。また、米国を中心に新興のISVが数多く生まれており、こうした新しいトレンドをいち早く国内に持ってくることで有利にビジネスを展開しようとするSIerも多い。
サーバーベンダーやNIer、通信キャリアなどとの関係も強まっている。ソフトウェアをサービスとして提供するSaaSやサーバー仮想化など、オンデマンドサービスやサーバーベースドコンピューティングに対する需要が拡大。SIとNIの融合も後押しする。SaaSなどソフト・サービスの提供形態の変化は、ITプラットフォームに大きな影響を与えており、「ブレードサーバーやネットワークまわりなどの足場固めをしておく必要がある」(SIer幹部)という声が多く聞かれた。
SIerの多くは、アライアンスと同時にM&A(企業の合併・買収)も活発化させる見通しだ。大手集約が進むなかで、合併や資本提携などの業界再編が加速している。顧客企業の情報システム部門とのアライアンス強化も依然として有力な選択肢である。
技術革新が速いICT業界においては、M&Aとアライアンスをうまく使い分けながら相乗効果を高める動きがさらに広がりそうだ。
[次のページ]