その他
KDDI陣営 WiMAX事業会社を発足
2008/03/10 14:53
週刊BCN 2008年03月10日vol.1226掲載
KDDI陣営のWiMAX企画会社として設立されたワイヤレスブロードバンド企画(田中孝司社長=KDDI執行役員常務)は、3月1日付でUQコミュニケーションズと社名変更した。今後は事業会社としてWiMAX関連ビジネスの本格化に乗り出すわけだが、果たしてユーザーに適したサービスを充実させることができるのか。決め手は、どのようなベンダーやプロバイダをMVNO(仮想移動体サービス事業者)として確保できるかどうかにかかってくる。(佐相彰彦●取材/文)
MVNOをいかに集めるかがカギ
WiMAXサービスを充実させ得るか!?
■インフラ整備に1500億円の投資
UQコミュニケーションズがWiMAXサービスを開始するのは2009年2月。まずは「試験サービス」という形で東京23区や横浜市などで提供する。それまでに1000局近くの基地局を設置する計画だ。同年夏には「商用サービス」として本格化を図り、東京など関東圏に加えて名古屋と大阪までエリアを広げる。10年3月末までには政令指定都市まで拡大。この時点で、基地局の規模を4000局まで引き上げる。その後も基地局を増やし、13年3月末までには約1万9000局を計画する。この時点で人口カバー率90%を達成する試算だ。
同社が基地局をはじめとした設備投資にかける資金は13年度(14年3月期)までに約1500億円を予定している。田中社長は、「できるだけ多く基地局を設置したい」意向。加えて、「投資額の計画を改めて策定することも検討している」と語っていることから、増額の可能性もある。
また、「どこでもブロードバンドに接続可能な社会を実現する」というキャッチフレーズを現実のものとするため、同社の株主でもあるJR東日本と駅構内における電波伝搬実験をこのほど実施した。「今後は、地下鉄での利用を踏まえて(地下鉄関連の)事業者と話を進めていきたい」考えを示している。海外ローミングサービスの提供も視野に入れ、韓国で通信事業者大手のKTや、米国でWiMAXに積極的な携帯電話会社のスプリント・ネクステルなどとの交渉も行っている。
基地局やセンター設備の機器提供ベンダーについては、屋内基地局で小型・軽量化を可能とした富士通や、屋内外基地局で世界的実績を誇る韓国サムスン、ASN-GW(アクセス・サービス・ネットワークゲートウェイ)で3G携帯の実績を持つ日立製作所、CSN(コア・サービス・ネットワーク)のサポート体制で定評のある伊藤忠テクノソリューションズなどを選定した。
■MVNO向け説明会を前倒し
同社は国内唯一のWiMAX事業会社としてインフラ整備に万全を期す方針で、「WiMAXの社会インフラ化を目指す」というわけだが、ユーザーニーズに適したサービス提供についての構想は立てられているのか。
これについては、同社が企画会社として設立した07年8月末の田中社長のコメントから分かる。「当社は、あくまでインフラを提供する事業者。MVNOとして参加するベンダーやプロバイダが自社の持ち味を生かしたサービスを提供することになる」と訴えていたように、いかに多くのMVNOを集めることができるかが重要となる。そのため、「MVNOとして参加を検討している企業への説明会を3月21日に開催する」という。総務省から2.5GHz帯周波数の免許を取得した07年12月下旬には、「来年度(09年3月期)に入ってから実施する」と話していたのを前倒しする格好だ。「多くの企業から問い合わせがあったため」としている。
実際、どのような企業から問い合わせがあったのかについては具体的に明らかにしていないものの、「SIerなどITをはじめとして複数の業界から」のようだ。同社の「WiMAXはオープン」というアピールが功を奏しているとみることができる。
しかし、実際にWiMAXでビジネスを手がけることに興味を持つ企業がどれほどいるかは蓋を開けてみなければ分からないのも事実。同社がWiMAXをベースとするビジネスの可能性や発展性をどれほどうまく企業に伝えられるかがカギとなりそうだ。
KDDI陣営のWiMAX企画会社として設立されたワイヤレスブロードバンド企画(田中孝司社長=KDDI執行役員常務)は、3月1日付でUQコミュニケーションズと社名変更した。今後は事業会社としてWiMAX関連ビジネスの本格化に乗り出すわけだが、果たしてユーザーに適したサービスを充実させることができるのか。決め手は、どのようなベンダーやプロバイダをMVNO(仮想移動体サービス事業者)として確保できるかどうかにかかってくる。(佐相彰彦●取材/文)
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