その他
リコー販売 HighとLow両領域を体制強化
2008/03/10 21:10
週刊BCN 2008年03月10日vol.1226掲載
リコーの子会社で関東圏を担当するリコー販売(畠中健二社長)は、来年度(2009年3月期)、中堅・大企業向けのハイエンドプリンタと中小企業向けのプリンタ販売やソリューション販売を強化する。米IBMを買収して事業化する「プロダクションプリンタ」などハイエンドプリンタの販売力や、シングル機とMFP(デジタル複合機)に「ITサービス」を加えて中小企業への提案力を高める。国内のプリンタ販売会社は、価格競争が激しい「箱売り」から転換し、収益率の高い事業体への変貌を図っている。同社の変革は、国内プリンタ業界を先導する取り組みとして注目されそうだ。
中小企業のソリューション展開拡大
米IBMを買収して立ち上げた「プロダクションプリンティング事業」では、基幹業務システムと連動した出力用途に利用されるプロダクションプリンタを使用する大手企業が集中する首都圏を担当するリコー販売とリコー本体の部隊が一体となって販売する体制を来年度以降に築く。
ハイエンドプリンタ領域では、04年10月に日立製作所の基幹直結型プリンタを強みとする事業を買収し、「リコープリンティングシステムズ(RPS)」が設立されたことなどを受け、1年前にハイエンドプリンタやMFPなどの直販組織「プリンタ事業部」(約50人)を新設している。
プロダクションプリンタの販売はこの組織に組み込むが、「基幹系のプリンタ事業を経験した人材を採用したり、社内やグループ内でノウハウを持つ技術者を補充して組織の強化を図る」(畠中社長)計画という。
リコー販売は設立から3年間、どちらかというと従業員300-1000人未満の中堅・大企業向けに「戦略の軸がシフトしていた」(畠中社長)。このため、従来から得意領域としてきた同社で「エリア」と呼ぶ従業員100人未満の中小企業に対する同社支店などの直接販売とパートナーを介した間接販売の体制構築に向けても戦略を転換する。
「エリア」の領域ではこれまで、プリンタとMFP(デジタル複合機)を販売するビジネスに加え、「ITサービス」や「ソリューション販売」を付加してきた。例えば、中小企業事業所のブロードバンド(BB)環境の構築と運用支援をパッケージ化した「NETBegin(ネットビギン)BBパック」の提供を拡大。BB回線を接続していない中小企業に対し、インターネットを利用するための機器設置やパソコン設定、NTT回線申し込み代行などをワンストップで提供し、運用・管理やメンテナンスを効率化することに貢献したほか、「セキュリティやBB環境をうまく利用する方法を提案する」(畠中社長)という。
同社では、こうしたソリューションメニューを拡充するほか、「ソリューション販売」できる人員を増強する計画だ。また、「エリア」の領域で間接販売を行うディーラー、SIerなどには、同等のソリューションを提案できるノウハウの提供を拡充する。現在、主要販売会社「トップ・OA・ディーラー(TOD)店」と呼ぶ製品年間取引高1億円以上の販売店は首都圏に約70社、首都圏を除く関東圏に50店ある。「ここに入らない既存販売会社をTOD店に導き、チャネルをさらに強化する」(畠中社長)方針だ。
リコー販売は05年1月、首都圏5販社(東京、神奈川、千葉、埼玉、西東京)を合併し設立。リコーグループで初めて「県別販社体制」を崩し、国内最大の販売会社になった。首都圏を担当する同社の特性として、国内大手企業が「本社一括」の集中購買体制にシフトする傾向が顕著になり、県別に大手企業の支社などへ提案する非効率さを改善する必要性があったためだ。
この合併以降は、「ソリューション販売」を社内ビジョンに掲げ、収益モデルを「箱売り」から転換。これにより、営業利益は初年度の05年度(06年度3月期)から06年度に約3割増え、06年度から07年度にかけては2.3倍に伸びた。
さらに、リコーは、05年10月に販売会社31社がもつ保守サービス部門を同社子会社「リコーテクノシステムズ(RTS)」に統合。リコー販売も「売り」に徹する体制が整った。リコー販売としては今年2月、関東甲信越地域の独立販売会社6社(群馬、茨城、栃木、山梨、長野、新潟)を経営統合。「LA(ラージアカウント)」と呼ぶ中堅・大企業に対する販売資源を集約するなど、毎年度ごとに改革をしてきた。
国内市場では、リコーと同じくシングル機のプリンタやMFP、ハイエンドプリンタを製品としてラインアップする富士ゼロックスの販売会社やキヤノンマーケティングジャパンが競合する。国内プリンタ市場は「飽和状態」にあり競争が激化するなか、リコー販売の改革がこの2社にどのような影響を与えるか、動向が注目される。
リコーの子会社で関東圏を担当するリコー販売(畠中健二社長)は、来年度(2009年3月期)、中堅・大企業向けのハイエンドプリンタと中小企業向けのプリンタ販売やソリューション販売を強化する。米IBMを買収して事業化する「プロダクションプリンタ」などハイエンドプリンタの販売力や、シングル機とMFP(デジタル複合機)に「ITサービス」を加えて中小企業への提案力を高める。国内のプリンタ販売会社は、価格競争が激しい「箱売り」から転換し、収益率の高い事業体への変貌を図っている。同社の変革は、国内プリンタ業界を先導する取り組みとして注目されそうだ。
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