その他
富士通とNEC 国産の意地みせる 弱み克服し堅調に推移
2008/05/26 21:10
週刊BCN 2008年05月26日vol.1236掲載
コンピュータ/ネットワーク関連の大手国産ベンダーとして、海外ベンダーと激戦を繰り広げる富士通とNEC。2007年度(08年3月期)の通期業績をみると、主力のシステム関連事業で堅調な伸びを示している。両社とも、弱みを克服したことで成長を遂げたわけだが、富士通がSIサービス、NECがハードウェア事業と、08年度は「いかに強みを拡大できるか」がカギといえそうだ。(佐相彰彦●取材/文)
強み拡大が今後の課題
■売り上げと利益 ともに増加
富士通は、主力事業であるテクノロジーソリューションが売上高3兆2722億円(前年度比3.6%増)、営業利益1801億円(10.1%増)だった。NECは、IT/NW(ネットワーク)ソリューションが売上高2兆8662億円(3.9%増)、営業利益1606億円(4.3%増)。両社とも国産の大手ベンダーとして恥ずかしくない実績を残せたといえるだろう。
両社の主力事業が堅調に伸びたのは、弱かった分野を大きく伸ばしたところにある。富士通は、テクノロジーソリューションのなかでハードビジネスを中心としたシステムプラットフォームで売上高7128億円(1.3%増)、営業利益については前年度の5倍以上となる397億円を記録した。なかでも、海外市場が好調で売上高が前年度比17.7%増。サン・マイクロシステムズとの統合ブランドで開発したUNIXサーバーを中心に拡大した。
NECは、IT/NWソリューションのなかでITサービス/SIが売上高8325億円(7.3%増)。また、昨年度からビジネスの本格化を図ってきたNGN(次世代ネットワーク網)関連ビジネスで売上高が2000億円を達成したことは注目に値する。NGN関連は今のところNTTなど通信事業者を対象としたビジネスといえるが、今後はITとNWを融合させたシステム提供が法人市場でも花開く可能性が高く、準備を進めておけばビジネスの本格化が期待できそうだ。
これまで富士通がソフトウェアなどを中心にサービス指向、NECがハードを中心としたプラットフォームに強いといった印象があった。しかし07年度は、両社ともハードとソフトの両面で堅調に推移したことが特徴的だ。
■増収の見通しを果たせるか
ただ、課題なのは主力事業のなかでも、とくに中核となっている領域の数字が厳しかったことだ。
富士通は、SIを中心としたサービス分野で2兆5593億円(4.3%増)と増えたものの、営業利益は1404億円(10.1%減)と減少。欧州での不採算案件が大きな原因という。NECは、ハードビジネスに該当するITプロダクト分野で海外市場の不振から売上高は6068億円(6.9%減)にとどまった。
08年度に関しては、両社とも中核ビジネスが伸びる見通しを示している。富士通は、サービス分野で売上高が2兆5700億円(前年度比0.4%増)と微増を見込んでいるが、営業利益で1850億円(前年度比31.7%増)と大幅な増加を狙う。NECも、ITプロダクト分野で6100億円(0.5%増)の売上高と微増、市場創造を狙うNGN関連で売上高を前年度の1.5倍となる3000億円を目指している。これにともない、NWシステム分野では、売上高が1兆1500億円(5.9%増)と順調に推移する計画を立てている。
主力事業が不振に陥った場合、ほかのビジネスにも影響が及び、全体が崩れ落ちる危険性は高い。昨年度が若干不調だっただけに、今年度は見込み通りの成長を達成できるのか。コンピュータやネットワークを取り巻くビジネス環境は、依然として競争が激しい状況だ。そうしたなか、最近は販売代理店の新規開拓を積極的に進め、拡販体制を固めようとする海外ベンダーが一段と増えている。そんな状況下で国産ベンダーとして、なかでも販売代理店網を確立している富士通とNECが、「どれだけ意地をみせるか」に注目が集まりそうだ。
コンピュータ/ネットワーク関連の大手国産ベンダーとして、海外ベンダーと激戦を繰り広げる富士通とNEC。2007年度(08年3月期)の通期業績をみると、主力のシステム関連事業で堅調な伸びを示している。両社とも、弱みを克服したことで成長を遂げたわけだが、富士通がSIサービス、NECがハードウェア事業と、08年度は「いかに強みを拡大できるか」がカギといえそうだ。(佐相彰彦●取材/文)
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