ワールドワイドのネットワーク関連製品メーカーが日本の通信事業者やISP(インターネットサービスプロバイダ)をユーザーとして獲得することに力を入れている。NTTグループが掲げるNGN(次世代ネットワーク網)が稼働、今後も莫大な投資が継続されることを見越してビジネスチャンスと捉えているようだ。メーカー各社とも日本進出に向けた販売代理店網の構築を模索。新規参入を図ろうとする企業も相次いでいる。
NGN投資をチャンスに変える
このほどマレーシアで開催されたネットワーク関連製品メーカーが集うイベント「NetEvents」で、各社が日本市場をビジネス拡大の柱に据えようとしていることが明らかになった。同イベントは、業界であがっている課題を参加企業がざっくばらんに討論する場で、10年以上の歴史をもつ。参加メーカー各社は、このイベントで話し合ったことを生かし、製品開発やビジネス拡大につなげるケースが多い。
今回は、ワールドワイドで注目される次世代ネットワーク網をテーマにパネルディスカッションや討論を実施するケースが多く、メーカー各社は特にアジア地域の通信事業者向けビジネスに活路があると捉えていた。そのアジア地域のなかでも、市場開拓をするうえでの有望株の国として持ち上がったのが日本。すでに日本市場に進出しているメーカーでは、NTTをはじめKDDIやソフトバンクモバイル、ISPなどをユーザーとして確保することに力を注いでいるところが少なくない。
米ヒューレット・パッカードでは、今年度からネットワーク事業の拡大に向け、エンタープライズに加えて通信事業者に対する製品・サービス提供も模索。日本を含めたアジアパシフィックのプロカーブネットワーキングビジネスでマーケティングディレクターを務めるアモール・ミトラ氏は「その布石が日本で、いかにソリューションを体系化できるかにかかってくる」と断言する。ワールドワイドのなかで、日本法人は販売代理店網の構築に長けている。これまでは、法人市場での展開が中心だったが「通信事業者の分野でも販売代理店を確保したい」考えを示す。具体的なことは今後詰めていくが、「法人市場での領域拡大も踏まえ、アプリケーション分野でパートナーシップを組めるような策を講じる」としている。

米エクストリームネットワークスでは、「PBB-TE」と呼ばれる技術をスイッチに搭載。同技術は、仮想コネクションの自動設定が可能な次世代の広域イーサネットサービスで主流といわれる「VPLS」との相互接続が特徴で、サービスプロバイダが既存のネットワークを維持しながら次世代ネットワークを構築できる。ワールドワイドで、すでに10事業者が試験運用での採用に名乗りをあげているという。アジアパシフィックのフィールドマーケティングマネージャーであるドン・シン氏は、「NTTにも話を持ちかけた」としており、日本の通信事業者にアプローチしていることを示唆。米国本社でサービスプロバイダのマーケティングディレクターを担当するピーター・ランク氏は、「今年11月までには10社が導入する」と自信をみせている。
まだ日本に進出していないメーカーは、NGNが生み出すビジネスチャンスを逃すまいと、事業着手を検討している。米レッドバック・ネットワークスは、携帯電話メーカーであるエリクソン傘下に収まったことで通信事業者への流通経路が開けた。この利点を生かしてエリクソンの各国拠点でビジネスを手がける計画。マーケティングディレクターのダウ・ウィルズ氏は、「エリクソン日本法人を通じて、日本市場の進出を果たしたい」意向を示す。同社は昨年、日本ユニシスと組むことでNGN案件に参入。もう一歩のところで案件獲得には漕ぎつけなかったものの、「日本でのビジネスの仕方を知ることができた」と、一定の成果をあげ得たことを強調している。