暗号化ソリューションの日本PGP(北原真之代表取締役)は、Eメールの暗号化ツールを今後の主軸商品に据える。6月下旬にトップに就任した北原代表取締役が打ち出した。PCのHDDやファイル・データを暗号化するソリューションが今のユーザーニーズのメインだが、ゲートウェイレベルでEメールを暗号化するツールが他社に比べて優位性が高いと判断、需要も今後伸びるとの予測から、看板商品として売り出す。
日本PGPは、米PGPの日本法人で2006年に設立。データ暗号化ツールの総合ベンダーで、PCのHDD全体やファイル、Eメールなどを暗号化するツールを販売し、約1500社の顧客を抱える。代理店はマクニカネットワークス、日本システムディベロップメント、ペンティオ、日本情報技術開発の4社。
北原代表取締役は、今後自社商品のなかでもゲートウェイでEメールを暗号化するツールの拡販に力を注ぐ方針を示した。
「日本で暗号化といえばPCのHDDやファイル向けツールが主流で、Eメールの暗号化はほとんどなされていない。重要情報や機密ファイルを送る手段としてメールを使ううえで、平文のままやりとりするのは危険」と指摘する。そのうえで、「クライアントユーザーが特別な作業を施さずに、管理者が全メールを暗号化できるゲートウェイ型は利便性が高い」と北原代表取締役は今回の方針を説明している。
ゲートウェイに設置する形式のEメールの暗号化ツールは、各PCのメール内容をメールの出口(ゲートウェイ)で自動的に暗号化する。各PCユーザーにとっては特別な作業が必要ないため運用しやすいほか、全メールを漏れなく暗号化できるためセキュリティレベルも高い。日本PGPのツールは「公開鍵方式」という解読しにくい暗号形態を使っているほか、メールサーバーの有無などを問わず、「正規のメール受信者側がどんなメール環境・設定でもほぼ復号できる」(北原取締役)柔軟性が特徴で、他社にはない機能という。
Profile
シマンテックの取締役や不正改ざん検知ツールのトリップワイヤ・ジャパン代表取締役などを務めた後、2008年6月27日に日本PGP代表取締役に就任。シマンテックでは設立直後に籍を置き、セールスや新ビジネスの創出、サポートなど幅広い業務を担当、法人立ち上げ時の業容拡大に貢献した。情報セキュリティ業界の経験は25年以上で人脈も広い。