その他
PC用部品がピンチ!! 「調達不能」がNECと富士通襲う
2008/07/28 21:10
週刊BCN 2008年07月28日vol.1245掲載
国産PCメーカーのデスクトップPC事業が思わぬアクシデントに見舞われた。NEC(矢野薫社長)と富士通(野副州旦社長)の両社がデスクトップPC生産で使用している筺体部品を調達できない状況に陥っている。とくにNECは深刻だ。法人向けデスクトップPCのすべてで使っているのが、このたび調達難に陥った部品のため、生産再開のメドが立っていない。NEC販社は競合メーカー製モデルの販売を余儀なくされる可能性があり、シェアに影響が出そうだ。
生産に悪影響、販社も対応迫られる
水平分業型のリスク露呈
NECと富士通が調達できなくなったのは、「モールド」と呼ばれるデスクトップPC用の筺体をつくるのに必要な主要部品。両社が採用していたモールドのメーカーは台湾・台北市に本社を置くエバースキルテクノロジー(エバースキル)で、同社からの部品供給がストップしたことが、生産不可能になった理由だ。
富士通は個人と法人向けどちらのモデルでエバースキル製部品を使っていたかは明かさないが、「使っていたのは事実」(広報IR室)と認める。ただ、「7月生産分はすでに(モールドを)確保しており、8月は秋冬モデルへの切り替えで生産を控える時期。この時期に発生したことが不幸中の幸い」(同)と影響は小さいとみている。9月以降の生産は「他の部品メーカーに変更することで対応できるだろう」としている。
一方、NECは富士通よりも深刻だ。エバースキルの部品を個人向けと法人向け両方のPCで採用し、個人向けでは少数だが、法人向けでは全モデルに使っていた。その数は、NECが出荷する全PC(ノート型も含む)の約30%にも及ぶ。厳しいのはそれだけではない。今後の対応策が決まっていないのだ(7月16日現在)。「今は生産中止状態で、復帰時期も明確には言えない」(コーポレート・コミュニケーション部)。「他の部品メーカーへの切り替えも検討しているが、『すぐに』とはいかないだろう。ユーザーや販売会社にはノートPCへの買い替え提案などを促進する」(同)と苦しい状況だ。
NECの法人向けWebサイトページでは7月上旬、購入者向けに受注停止を知らせる告知情報がアップされた。個人向け市場への影響は軽いと思われるが、法人向けビジネスへの悪影響は避けられそうもない。
メーカーの生産が止まれば、ダイレクトに影響を受けるのがその販売会社だ。とくにNECの直系販社は大打撃を食らう。対応策が急務だ。あるNEC系中堅SIerは、ユーザー企業と納期を協議し4プランで対応する方針を固めた。(1)納期の延期(2)市場の現在庫を確保し分納(3)他社製品またはノートPCへの置き換え提案(4)キャンセル――がそれだ。この販社はサーバーもPCもほぼすべてNEC製品を販売していただけに、専門の対策本部を急遽設置して対応。事態の深刻さを物語っている。
この事態は、例えばユーザー企業が「デスクトップPCを欲しい台数分すぐに手に入れたい」と言えば、NEC系販社は競合製品を売らざるを得ない状況と言える。シェアに影響が出るのは必至だ。
PCは、「垂直統合型」で生産しているメーカーは皆無で「水平分業型」が当たり前。多数のメーカーから部品を調達して完成品を組み立てる。コストは抑えられるものの、部品メーカーからの調達がストップすれば、すぐさま生産中止に追い込まれる。今回のケースはその危険性と、メーカーのリスク管理の必要性を改めて印象づけた。販社も付け焼刃の対策ではない事前準備が必要だ。直系販社はとくにそうだろう。
国産PCメーカーのデスクトップPC事業が思わぬアクシデントに見舞われた。NEC(矢野薫社長)と富士通(野副州旦社長)の両社がデスクトップPC生産で使用している筺体部品を調達できない状況に陥っている。とくにNECは深刻だ。法人向けデスクトップPCのすべてで使っているのが、このたび調達難に陥った部品のため、生産再開のメドが立っていない。NEC販社は競合メーカー製モデルの販売を余儀なくされる可能性があり、シェアに影響が出そうだ。
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