毎年1月になると台湾からアジア最大のIT見本市「Taipei Computex」の参加案内のメールが届く。この見本市には、台湾を含め世界各地からの出品が目白押し。密度の濃さは世界一だ。なかでもハードウェアは世界の「生産拠点」として確固たる位置を築く台湾メーカーのほとんどが出品。毎年参加すれば「微妙なトレンド」が分かる。「トレンド」をいかにつかみ、日本市場にどう展開すべきかの「手がかり」を4回でリポートする。
「Taipei Computex」の「トレンド」は、「世界の流行」となり、半年/1年後に日本市場へ「製品」として押し寄せる。特に周辺機器やサプライ製品関連では、日本メーカーの多くが台湾に製品調達を依存している。したがって、この見本市での傾向をつかむことは極めて重要な意味を持つ。
「製品」の栄枯盛衰も会場での出品傾向で判断可能だ。例えば、一時あれほど騒がれたPLC(電源ライン利用のLANシステム)も、一昨年はかなりの出展があったが、昨年は1社だけ。今年1月の開催時は皆無。日本で大騒ぎした昨年の段階ですでに「先が見えていた」のだ。
この「兆候」を捉えるには、必ず毎年参加する必要がありそうだ。欲を言えば、会場の配置と出展社を熟知することも求められる。毎年参加するとメーカー名と特徴が徐々に分かってくる。中央会場のメイン部分に陣取るメーカーは、主力商品を大々的にアピールする。この主力商品は、日本でも海外でも、大きなシェアをもつことになるため目が離せない。
初めて参加する場合は、1月頃にインターネットで「Computex」を検索する。参加者受付のページが簡単に見つかるはず。ページは各国言語に対応しており、日本語もある。同サイトでの質問に答え、諸元を入力すると4月頃にIDカードが到着する。

現地では当日でも受け付けてくれるが、大変な混雑で、一番大切な初日に大きく出遅れる。商談目的であれば、必ず事前にIDカードの入手が必要だ。ホテルの手配も重要。中文(中国語)が不自由でなければ別だが、会場周辺のホテルは早い段階でこの時期は予約で一杯だ。タクシー移動が必要な遠隔のホテルしか予約できない状態になるので要注意。もっとも会場周辺のホテルは、いわゆる「Computex価格」で通常の3倍。筆者はあえて会場から離れたホテルを予約する。(若尾和正(ベガシステムズ社長)●文)