その他
百花繚乱、法人向けモバイルアプリ
2008/08/04 14:53
週刊BCN 2008年08月04日vol.1246掲載
通話よりもアプリケーションサービスがメインになった携帯電話。こうした現象が個人市場で起こっているが、最近では法人市場でもニーズが高まっている。このような動きを受けて、通信事業者やモバイル関連メーカーなどは法人用途のアプリケーション開発やサービス提供に力を入れ始めた。このほど開催された携帯電話を中心としたイベント「ワイヤレスジャパン2008」では、各社が展示するさまざまなソリューションにその傾向が顕著に現れていた。(佐相彰彦●取材/文)
「ワイヤレスジャパン」で各社が披露 社内システムとの連動に焦点 ■通信事業者は差別化に懸命 新サービスで加入者増を狙う 法人ユーザーが携帯電話に求める機能は多様化しつつある。通話品質が高いのは当然で、今や通話以外の付加価値を重要と捉える傾向が強い。つまり、通信事業者にとっては、回線サービスだけでは差別化が図れない状況になっていることを意味する。そこで各事業者とも、新しいサービスを創造することによって、加入者増を狙っている状況だ。 KDDIは、今年度(2009年3月期)からユーザーが携帯電話でマイクロソフトの「Outlook」を利用できるサービス「KDDI Business Outlook」を開始した。提供形態はSaaSで、1IDあたり月額料金を980円に設定している。パソコンと携帯電話の両方からアプリケーション情報を共有できるのが特徴。スケジュール管理や会議招集の返答などもリアルタイムに行うことが可能だ。KDDIでは、同サービスを手始めに複数の業務アプリケーションサービスを提供することを計画。現段階では、アプリケーションベンダーとアライアンスを組むことに力を注いでいる。 一方、ソフトバンクモバイルはこのほどアップル製「iPhone」の販売を開始。アプリケーション次第では法人需要の獲得も十分に考えられる。NTTドコモでは、カナダRIM製の「ブラックベリー」を法人市場で展開、個人向けにも提供することを発表した。これまで、日本市場では日の目を見ていなかった「ブラックベリー」だが、個人向けサービスの提供が始まれば、法人市場での広がりにつながる可能性も秘めている。■端末販売では成り立たない ソリューション提案がカギ 通信事業者だけでなく、法人向け携帯電話関連ビジネスを手がけるベンダーにとっても、単なる端末販売ではもはやビジネスとして成り立たない。だからこそ、ソリューション提案によってビジネスチャンスを掴もうとしているわけだ。 沖電気工業(OKI)では、“次世代プラットフォーム”と銘打って携帯電話に対応した「dコネクトプラットフォーム」を開発。同プラットフォームは、通話でデータのやり取りが行えるというもの。通話により携帯電話で管理する画像やデータなどを社内システムに配信することも可能だ。今は、複数の企業がテスト運用として導入している段階。タクシー会社による配車サービスなどが活用例にあげられる。また、携帯電話で撮影した画像を通話で配信できるという利便性に着目し、建設会社の現場スタッフが現場の工事状況を事務所に報告する際に導入するケースも想定している。OKIでは、同プラットフォーム普及に向けて通信事業者がサービスとして採用するための交渉を進めているようだ。 カシオ計算機では、携帯電話に対応したシンクライアントシステム「Thinケータイ」を近く提供開始する。携帯電話にデータを残さないというセキュリティの観点から開発したもので、ウェブベースの社内基幹システムにアクセスを可能とする。パナソニックネットワークサービシズでは、名刺管理の切り口から「写名刺」と呼ばれるサービスを提供。同サービスは、携帯電話で撮影した名刺データをサーバーで管理し、必要な時にいつでも引き出せるというもので、初期費用10万5000円、月額料金として1ユーザーあたり735円からと低価格に設定した。「ビエラケータイ」などパナソニック端末は個人の利用が多い。同サービスを柱の1つに法人需要での端末ユーザーを増やすことが狙いだ。 法人向けモバイルアプリケーションが現段階で充実しているとはいえないものの、通信事業者や端末メーカーが携帯電話をベースとした法人アプリケーションサービスの開発やソリューションの創造に力を入れているため、携帯電話を担いで法人に販売する側にとって、システム案件を増やす起爆剤になる可能性はある。また、アプリケーション開発ができるSIerなどは、アプリケーションがまだ完全に揃っていない状況なだけに、独自アプリケーションを携帯電話に対応させて開発し、それを提供することは他社との差別化につながるはずだ。 7月22日から3日間にわたって開催された「ワイヤレスジャパン2008」では、来場者数が3万7621人(前年は3万6292人)となり、会場内は熱気を帯びていた。携帯電話が法人向けビジネス拡大のトリガーになることは間違いなさそうだ。
通話よりもアプリケーションサービスがメインになった携帯電話。こうした現象が個人市場で起こっているが、最近では法人市場でもニーズが高まっている。このような動きを受けて、通信事業者やモバイル関連メーカーなどは法人用途のアプリケーション開発やサービス提供に力を入れ始めた。このほど開催された携帯電話を中心としたイベント「ワイヤレスジャパン2008」では、各社が展示するさまざまなソリューションにその傾向が顕著に現れていた。(佐相彰彦●取材/文)
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