その他
EMC、代理店確保が好調 SMB向け拡販体制が固まる
2008/08/25 21:10
週刊BCN 2008年08月25日vol.1248掲載
ストレージ機器メーカーのEMCジャパン(諸星俊男社長)は、販売代理店確保の積極策が実を結び、国内大手ディストリビュータとの販売契約を相次いで交わすことに成功している。直販の色が濃かった国内事業を間接販売を重視する戦略に切り替えたことが効果として現れたとみられる。これにより、SMB(中堅・中小企業)向け事業の拡大基盤が整ったわけだが、大手ディストリビュータが1次代理店として名乗りをあげた理由も気になるところだ。(佐相彰彦●取材/文)
大手卸が契約を結ぶ理由は?
■販売代理店数は倍増
EMCジャパンでは、この1年間で販売代理店数を倍増させている。なかでも、ここ2か月間の動きは激しい。7月15日にソフトバンクBB、7月30日に大塚商会と販売契約を交わした。8月中には、ダイワボウ情報システムとの話も決まる方向で進んでいる。これにより、国内大手ディストリビュータ3社を確保することになる。EMCジャパンにとっては、SMBへの拡販体制が固まるわけだ。
大手ディストリビュータが相次いでEMCジャパンと販売契約を交わした背景には、ユーザー企業のニーズが多様化していることが要因のひとつとしてあげられる。ストレージは、サーバーとセットで売られるケースが多い。サーバー中心にビジネスを手がけているディストリビュータにとっては、サーバーと同じブランドで販売する傾向が強かったようだ。しかし、ストレージに対するニーズが多様化すれば、サーバーと同じブランドを提供すればいいというわけではない。売る側にとっては、ストレージ製品のラインアップを増やすという意味合いが強いようだ。
また、最近になってディストリビュータとの販売契約が急増したのは、売る側が競合を意識した動きとみることもできる。EMCジャパンにとって、大手ディストリビュータとの販売契約は拡販するうえで必須。以前からEMC製品を推進したケースがあったものの、これまでディストリビュータが名乗りをあげなかったのは1次代理店になる必要性がなかったからだ。しかし、ソフトバンクBBが契約を結んだことを手始めに大塚商会が続き、ダイワボウ情報システムとの契約という状況をみると、ディストリビュータにとってはリセラーを確保していくために競合と同程度の負けない製品を揃える必要があるとの判断が働いたのではないか。
■間接販売が成長の決め手
とはいえ、ディストリビュータにとっては単に製品を増やしただけではない。主力事業の拡大を視野に入れていることの現れともいえる。ソフトバンクBBは、ハードウェアビジネスのなかでブレードサーバーの拡販を図っている。サーバーが統合化から仮想化に移行しつつあるなか、ストレージの仮想化も進んでいる。EMCジャパンが仮想化関連メーカーであるヴイエムウェアの親会社であることから、EMC製品は仮想化に定評がある。そこで、取扱商材として追加することとなった。
大塚商会では、SMB市場でEMC製品をさらに拡販できると判断した模様。これまでEMCジャパンの2次店としてSI事業でEMC製品を扱い、ユーザー企業に対して多くのソリューションを提供してきた。大塚商会が確保するリセラーに対しても、EMC製品ベースでのビジネス拡大策を提案できると考えたわけだ。一方、ダイワボウ情報システムでは、サーバー販売が国内トップレベルであることにともなってストレージの販売も強化する意味合いが強いようだ。
売る側とEMCジャパンそれぞれの思惑が合致した結果が販売契約に結びついたのは当然だが、EMCジャパンが昨年夏から諸星体制となり、「ビジネス拡大のカギは販売パートナーとの協業である」(諸星社長)ことを強調したことが販売代理店を増やすことにつながった。中期成長戦略では、パートナービジネスの伸びが売り上げ増大に大きく寄与することを見込む。
「国内ミッドレンジ市場では、現在10%未満のシェアをまずは15%まで引き上げることが目標」(諸星社長)としていることからも、拡販体制の下地を整えたうえで、いよいよ国内市場で主導権を握る動きをみせてきたことがうかがえる。
ストレージ機器メーカーのEMCジャパン(諸星俊男社長)は、販売代理店確保の積極策が実を結び、国内大手ディストリビュータとの販売契約を相次いで交わすことに成功している。直販の色が濃かった国内事業を間接販売を重視する戦略に切り替えたことが効果として現れたとみられる。これにより、SMB(中堅・中小企業)向け事業の拡大基盤が整ったわけだが、大手ディストリビュータが1次代理店として名乗りをあげた理由も気になるところだ。(佐相彰彦●取材/文)
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