その他
ソフトバンク 異例のグループ内結集 中堅ECサイトの運営、一括請負
2008/10/06 14:53
週刊BCN 2008年10月06日vol.1254掲載
ソフトバンクグループ6社は、BtoCのEC(電子商取引)サイト向けに運営・管理をアウトソーシングする「ECサイト運営支援ソリューション」を共同で提供開始した。商品の発注からクレーム処理など管理業務全体(フルフィルメント)を一括して請け負う。国内上位20社を除く中堅ECサイトをターゲットにして全社で顧客獲得を狙う。通信事業者としてのネット事業やSI(システム・インテグレーション)、大手流通卸などの機能を結集し、共同事業を立ち上げるのは同グループでは異例。同ソリューションは、ECサイト構築を得意とするSIerやECサイトツールベンダーなどを経由した販売も検討する方針だ。(谷畑良胤●取材/文)
■アウトソーシングをパッケージ化
同グループ内で今回のソリューションに参加するベンダーと提供する機能は、システム構築・保守の「ソフトバンクテクノロジー」、データセンターでのデータ管理を行う「ソフトバンクIDC」、コールセンター機能を有する「ソフトバンクBB」、SSLサーバー証明書を発行する「サイバートラスト」、商品購入時の決済代行サービスを提供する「ソフトバンク・ペイメント・サービス」、物流・倉庫・配送業務を請け負う「ソフトバンク・フレームワークス」の計6社。各社のノウハウを持ち寄り、ソリューションをパッケージ化した。各社は独自に営業展開し受注したうえで、同ソリューションのうち必要な機能を顧客に提供する。
これまでにも、6社内の複数社による共同提案で受注するケースはあった。しかし、「ECサイトの構築・運営・管理には、多様なノウハウと多額の費用が必要。中堅ECサイトが自力でこれを揃えるには時間と労力が必要。この問題はグループが結集すれば解決に導ける」(京極晃・BPO事業推進統括部事業開発部マーケティング企画課長)ことに目を付け、ヤフーBBのコールセンター業務を担当する同部署で1年間をかけて企画。グループ内の技術ノウハウと資源を使い「1つのKPI(重要業績指標)で管理し、ECサイトのコスト削減などを図ることに貢献する」と、共同事業は立ち上がった。
ECサイトの構築・運営・管理を一括でアウトソーシングする事業者は、国内に何社かある。だが、同ソリューションでは、受注処理業務(与信管理)やコールセンターでの苦情・問い合わせ対応、返品・交換処理業務といった他の事業者が実施している業務に加え、セキュリティ対応や物流を含めた管理業務全体を一括で請け負えることを売りにしている。これにより、システムを一括で請け負って顧客の業務情報を共有し、注文を受けてから配達するまでのリードタイムを短縮できるというメリットも出てくる。
同ソリューションの販売ターゲットは、大手ECサイトのアマゾンや楽天ではなく、年商数十億円規模までの中堅事業者。主に自力ですべての運営・管理業務を賄う資金や人材に乏しい事業者だ。料金は月商500万円規模で消費者からの問い合わせが月100件程度ある事業者の場合で月80万円からと低額にした。
■効率よく運用する方法を伝授
「中堅ECサイトは、どの部分をアウトソースすべきか悩んでいる。彼らに対し、コンサルティングしたり、効率よく運営し、コスト削減する方法を提案する」(京極課長)としており、ECサイトの事業者が本来業務に集中できる環境を構築することで、安定顧客を獲得する。
当面は、各社の営業力でECサイトの新規顧客の獲得を目指す。その後、軌道に乗り始めたところでECサイト構築を得意とするSIerから運営・管理業務を請け負ったり、ECサイト構築ツールベンダーなどからも案件を受ける仕組みを構築する計画だ。物流・配送を担当するソフトバンク・フレームワークスの和田悟・プロジェクト推進室部長は「BtoCのECサイトが利用する受注伝票処理などと、物流・配送業務処理をつなぐ作業は煩雑で技術的にも難しい。しかも、物流業者を選定することも労力を伴う。このソリューションを使えば、こうした課題が解決できる」と、他のECサイト構築ベンダーとの違いを鮮明に打ち出している。
同社は今年度中に「5つのサイトの運営・管理を回すまでにもっていく」(京極課長)計画。通信事業者やネット事業者、大手流通卸としての顔が目立つが、地盤の技術・ノウハウを生かし、最近ではSI事業を拡大し実績をあげている。今回の共同事業化は、グループ各社がバラバラに動く傾向のあるなか、多くの会社が結束した異例の取り組みだ。
経済産業省によると、BtoC向けECサイトの市場規模は2007年が5.3兆円で前年に比べ21.7%増。これに関連するSIサービスも年々増加の一途をたどると予測される。ECサイト向けSIサービス市場は、ソフトバンクの本格参入で他のECサイト構築ベンダーに脅威を与えそうだ。
ソフトバンクグループ6社は、BtoCのEC(電子商取引)サイト向けに運営・管理をアウトソーシングする「ECサイト運営支援ソリューション」を共同で提供開始した。商品の発注からクレーム処理など管理業務全体(フルフィルメント)を一括して請け負う。国内上位20社を除く中堅ECサイトをターゲットにして全社で顧客獲得を狙う。通信事業者としてのネット事業やSI(システム・インテグレーション)、大手流通卸などの機能を結集し、共同事業を立ち上げるのは同グループでは異例。同ソリューションは、ECサイト構築を得意とするSIerやECサイトツールベンダーなどを経由した販売も検討する方針だ。(谷畑良胤●取材/文)
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