その他
NTTデータ グループの総力を結集 準大手ERPを強化
2008/10/13 21:10
週刊BCN 2008年10月13日vol.1255掲載
NTTデータ(山下徹社長)は、準大手向け統合基幹業務システム(ERP)事業を強化する。SaaSとも相性がいいサービス指向アーキテクチャ(SOA)をベースに、準大手向けの販売管理システムを来年度上期(2009年4-9月期)をめどに新しく投入。生産管理分野も強化する。部分的に国内ISVの有力製品との連携も進める。営業面ではグループのSIerや地域会社などと協業し、全国規模で準大手向けのコンサルティング営業体制を整える。今後3年で100社程度の受注獲得を目指す。(安藤章司●取材/文)
■年商500-2000億円を狙う 拡販に向けた動き本格化
NTTデータグループは、これまで大手や中堅・中小には力を入れていたものの、年商500-2000億円の準大手層は手薄だった。準大手層は、景気が変動するなかでもIT投資に比較的意欲があり、金額的にもまとまった案件になる客層だが、他社との競争が激しい分野でもある。価格面で勝ち残るためには、手組みでゼロからソフトを開発する手法は通用せず、かといって中堅・中小向けのパッケージソフトでも合わない。
そこで打ち出したのが、NTTデータ本体が大手企業で培った業務ノウハウやプラクティスと、グループ会社が開発した中堅向け業務パッケージを融合する手法だ。準大手向けにターゲットを絞った「新しい基幹業務システムおよびコンサルティング、サービスを独自に打ち立てる」(山口重樹・法人コンサルティング&マーケティング本部長)という戦略である。今年4月に準大手向けの戦略を練る組織を新設し、製品やサービス体系を「Biz∫(ビズインテグラル)」と名づけた。10月1日付でBiz∫専用のホームページを開設し、拡販に向けて本格的に動き始めた。
具体的にはグループ企業のNTTデータイントラマートが開発するSOA対応のアプリケーションプラットフォーム「intra-mart(イントラマート)」をベースとして、同じくグループ企業のNTTデータシステムズの中堅企業向けERP「SCAW(スコー)」の財務会計や人事給与システムを採用。SOAの基盤部分や会計・人事部分は、企業規模にあまり影響を受けない汎用性が高い領域であるため、グループ企業の製品を活用しやすい。その一方、販売管理や生産管理は企業規模の違いによる影響を受けやすく、中堅向けパッケージをそのまま適用することは難しい。
■グループ内外と連携強化 ISV製品の取り込み進める
このため、まずは販売管理部分を独自に開発することに決めた。来年度上期をめどに製品化する予定だ。生産管理については、他社ISVとの連携も視野に入れる。SCAWは組み立て製造分野には実績が多いが、食品や化学などプロセス製造分野に弱い傾向がある。顧客の業態に合わせて最適な生産管理システムを揃えていくことでグループ内外の強みを生かした品揃えにする。
すでに有力業務アプリケーションを持つ10社ほどのISVと商談を進めており、うち4-5社とより具体的に話を詰めている段階。生産管理をはじめ、CRM(顧客管理システム)やビジネスインテリジェンス(BI)、グローバルサプライチェーン管理(SCM)などのジャンルで「協業を進めていく」(田中宏治・法人コンサルティング&マーケティング本部パッケージソリューション統括部長)方針である。
NTTデータは大手企業の情報システム部門出身のSIerのグループ化を積極的に進めており、こうしたSIerが持つノウハウやプラクティスも、Biz∫に反映させる。例えば、NTTデータセキスイシステムズ(積水化学工業系)、NTTデータビジネスブレインズ(日本板硝子系)、NTTデータCCS(新日鉱ホールディングス系)など15-16社の情シス系のSIerとBiz∫事業での協業を進める。情シス系SIerには、持ち前の業務ノウハウとBiz∫を組み合わせ、出身企業グループ外への外販を加速させる有力商材として機能するメリットがある。
また、NTTデータ関西やNTTデータ東海など地域会社との連携も強める。Biz∫の開発に当たっては、グループSIerや地域会社から営業やSEなどを派遣してもらい、共同で作業を進めるなどしてノウハウを共有する。情シス系SIerは出身のユーザーグループの同業他社への横展開、地域会社は地域の中堅・中小企業の領域から準大手の顧客を開拓するための商材として位置づけ、ビジネス拡大の起爆剤にする考え。
もともと公共や金融に強いNTTデータだが、近年では一般産業分野の事業を急拡大させている。国内外でのM&Aも積極的に行っており、今回、独自のERPやサービス体系を整えることでグローバル規模での産業分野の強化を視野に入れる。
NTTデータ(山下徹社長)は、準大手向け統合基幹業務システム(ERP)事業を強化する。SaaSとも相性がいいサービス指向アーキテクチャ(SOA)をベースに、準大手向けの販売管理システムを来年度上期(2009年4-9月期)をめどに新しく投入。生産管理分野も強化する。部分的に国内ISVの有力製品との連携も進める。営業面ではグループのSIerや地域会社などと協業し、全国規模で準大手向けのコンサルティング営業体制を整える。今後3年で100社程度の受注獲得を目指す。(安藤章司●取材/文)
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