富士通ビジネスシステム(FJB)は、中間期(4-9月期)としては8期ぶりに増収増益に転じた。東京地区の民需を粘り強く引き出し、経済情勢が一段と厳しくなる地方民需を落とさなかったことがプラスに働いた。JBCCホールディングス(JBCC-HD)は、ディストリビューション事業でサプライ用品や粗利率の高い独自のアプライアンス製品を拡充。物販の省力化・効率化を推進した。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は案件の期ずれや不採算案件が発生。ソフト・サービス拡大に向けた構造改革の副作用が表面化した。
案件の期ずれで大幅な下方修正も
FJB
上期、8期ぶりに増収増益
東京に重点、地方落とさず 富士通ビジネスシステム(FJB)のハードウェア販売・保守ビジネスの縮小傾向は依然として続くものの、ソフト・サービスを伸ばすことでカバー。中間期(4-9月期)としては8期ぶりに増収増益を達成。景気変調の不安要因はあるが、今年度(2009年3月期)通期の見通しは期初計画を据え置く。
今期はFJBの3か年経営計画の最終年度。計画値と今期見通しを比較すると連結売上高が370億円未達の1500億円、営業利益が12億円未達の44億円、営業利益率はほぼ計画どおりの2.9%の見込みになる。利益率はじわじわと高めてきたが、計画未達で「課題を残す」(鈴木國明社長)結果となった。将来的には営業利益率5%を目指す。
これは同社が全国に拠点を展開し、富士通の直系販社としてサーバーやパソコンの販売ミッションを担う立ち位置であることも影響する。ハードウェアの価格競争は激化しており、粗利率も悪化傾向をたどる。他のSIerがハード関連ビジネスの抜本的な見直しを早々に着手する一方、FJBは直系販社であるゆえに、ハードビジネスの改革スピードが遅れ気味であったことは否めない。
今後も引き続き東京地区の中堅民需を軸に、ソフト・サービスを伸ばすことで収益力を強める。地方民需は現状維持。
また、FJBがこれまで弱かった年商50億円以下の中小企業もターゲットに入れ、得意業種や重点業種別の展開も加速させることで競争力をつける考えを示す。
JBCC-HD
増収減益、通期は据え置き
1Qで苦戦、2Qで盛り返す JBCCホールディングス(JBCC-HD)の中間期は増収減益だった。第1四半期(4-6月)が低調で推移したのと、昨年11月にグループ化したソルネット(北九州市)の販売管理費が増えたことなどが営業利益に響いた。上期の連結売上高は前年同期比1.4%増、営業利益は同4.7%減だった。通期見通しは据え置く。
JBCC-HDも、FJBと同様、ハードウェアビジネスは激しい価格競争にさらされている。だが、日本IBMのトップソリューションプロバイダとして、ハード販売を縮小させるわけにはいかない。そこで同社では、ディストリビューション機能を担うグループ会社イグアスにハード販売を集約し、省力化・効率化を図ってきた。今年10月にはITサプライ用品やオフィス文具などを販売するグループ会社のサプライバンクをイグアスに統合。サーバーからオフィス用品までワンストップで調達できる体制を整えた。
また、グループ会社でオリジナル製品を開発するJBアドバンスト・テクノロジーは、この上期、BI(ビジネスインテリジェンス)ソフトをハードウェアに組み込んだり、シンクライアントソフトをUSBメモリに組み込むなどしたアプライアンス製品を相次いで投入。ソフトとハードを一体化することで手離れをよくし、イグアスを経由して、広く一般のビジネスパートナーに売ってもらいやすい商材づくりに取り組んだ。
SIビジネスを手がけるJBCC本体は、従来のIBM独自アーキテクチャ「Power Systems」(=旧iシリーズ)のビジネスを基盤としながらも、PCサーバーを中心とする「オープンシステムビジネスに力を入れる」(石黒和義社長)ことで新規顧客の開拓を進める。
CTC
中間期、大幅な減収減益に
期初計画を134億円下回る 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の中間期決算は、大幅な減収減益となった。下期での取り戻しは難しい見通しで、通期の連結売上高は期初計画より100億円、営業利益は同30億円ほど下方修正した。IT投資抑制や案件規模の縮小の逆風にさらされ、なおかつ従来のハードウェア販売中心から収益性の高いソフト・サービスへビジネスの規模拡大を進める構造改革の副作用が表面化。中間期の連結売上高の期初計画達成率は90.8%、金額で同134億円下回る1316億円、前年同期比でも6.2%減に甘んじた。
最大の要因は、システム構築の案件規模が以前に比べて大型化。ハードウェアはシステム構築に付随するため、システムの納品まではハードの売り上げが立ちにくい構造になった。従来のように短い周期でハード製品だけが売れていくモデルに比べて、「受注から売り上げまでの期間が長くなった」(奥田陽一社長)ため、期ずれが起きやすい。中間期もいくつかの大型案件が下期へ期ずれしたのに加えて、不採算案件が18億円(昨年同期は4億円)に膨らんだことが収益を圧迫。構造改革の苦しみを味わうことになった。
ただ、CTCの受注高は実質的に増えている。公表値は前年同期比2.4%減だが、前年同期のデータセンター複数年度の受注を計上する“特需”が60億円ほどあったためだ。経済環境悪化の影響で全般的に売り上げ伸び率の鈍化が懸念されるなか、受注を計画通りに売り上げに結びつけられる技術力、ノウハウの増強が求められている。