その他
インテルとAMD 事業領域の拡大へ
2008/12/15 21:10
週刊BCN 2008年12月15日vol.1264掲載
コンピュータ業界の2大CPUメーカーのインテル(吉田和正社長)と日本AMD(吉沢俊介社長)がそれぞれ事業領域の拡大に乗り出している。両社が進めているのは、パソコンユーザーのすそ野を広げるとともに、自社プロセッサ搭載の機器を増やすこと。個々の戦略でコンピュータ機器を販売するベンダーのビジネスチャンス創出につなげる方針だ。(佐相彰彦●取材/文)
他業界との協業強化など進める
SIerのビジネスチャンス創出も
■それぞれの強みを生かす
インテルは「Atom」でプロセッサ採用の機器を拡大することに踏み切っている。現段階では、「ネットブック」と称する超小型のパソコンで採用されているケースが多いが、「このプロセッサは“モバイルインターネット機器”に適したものとして提供を開始した。今後は、ほかの機器でも採用される可能性が高い」と、吉田和正社長は言い切る。
採用される機器として想定できるのは、デジタル家電やカーナビゲーション、携帯電話など。同社では薄型テレビメーカーや車載器メーカーなどに採用する話を持ちかけている。現段階では、こうした機器メーカーとアライアンスを組み、特定ユーザー企業に対して提供中だ。一例を挙げれば、パナソニックとヘルスケア向けモバイルパソコンの事業化を実現した。こうしたアライアンスを進め、「将来的にはさまざまな機器で採用されることを期待している」(吉田社長)としている。
日本AMDでは、ATIを買収したことでグラフィックスを含めたプロセッサ提供の計画を立てている。吉沢社長は、「クリエイティブやエンタテインメントなどの分野でシステム提案が行えるなど、グラフィックスを組み合わせた製品展開は、大きな可能性を秘めている」とアピールする。
■パソコンだけではない提案を
CPUメーカー大手であるインテルと日本AMDが新製品を発売したことにより、ハードウェアメーカーはパソコン事業の拡大につなげようと試みるだろう。しかし、ユーザー企業を取り巻く環境をみるとパソコンに対するニーズが高まっていると必ずしも言い切れない。もちろん新製品を市場投入するのは、「国内パソコン市場を一段と活性化させていかなければならない」(日本AMDの吉沢社長)という考えが前提としてある。一方で、「クライアント端末として考えたとき、プロセッサの活用領域を広げることがユーザーニーズに応えることにつながる」(インテルの吉田社長)という見方もある。
パソコン以外の端末にパソコン用プロセッサを搭載すれば、サーバーなどの製品販売を手がけるSIerにとってビジネスチャンスが広がることになる。両社とも、「現在、セキュリティを重視した法人向けプロセッサ『vPro』でSIerとのパートナーシップを組む方策をとっている。今後は、ほかの製品でも深めていきたい」との考えを示す。
「当社のプロセッサ搭載のクライアント端末が増えれば、ユーザー企業は用途に応じて選択するようになる。そのなかでパソコンのメリットを改めて意識するようにもなるのではないか」(インテルの吉田社長)、「法人パソコン市場は厳しいとの話を聞く。だが、クライアント機器にグリーンIT化が進みつつあるため、それをどう提案していくかが突破口となる。まだまだパソコン需要は掘り起こせる」(日本AMDの吉沢社長)と、両社とも“パソコン離れ”はあり得ないとの主張だ。ただ、パソコンだけに固執しないというのが共通の意見ともいえるだろう。そういった意味では、SIer側はクライアント端末のラインアップを再考する必要もありそうだ。
コンピュータ業界の2大CPUメーカーのインテル(吉田和正社長)と日本AMD(吉沢俊介社長)がそれぞれ事業領域の拡大に乗り出している。両社が進めているのは、パソコンユーザーのすそ野を広げるとともに、自社プロセッサ搭載の機器を増やすこと。個々の戦略でコンピュータ機器を販売するベンダーのビジネスチャンス創出につなげる方針だ。(佐相彰彦●取材/文)
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