業務ソフトウェア 曇り時々雨
コンプライアンスにかすかな光 基幹システムは“あきらめ”
2008年は09年4月に金融商品取引法の「J-SOX法」適用開始を受け、基幹システム需要が伸びると業界内で予測していた。実際、ERP(統合基幹業務システム)に関しては07年に比べ2ケタ成長を果たした。しかし、09年に成長戦略を描けるベンダーは少数とみられる。08年中の販売系SIerの業績を見ると、ERPと一緒に販売するサーバーなど「基幹システム」の売上高は、08年10月を境に大幅減退。09年もこの傾向を引きずり、よくて「曇り」で、期待のコンプライアンス関連製品などが停滞すれば「雨」になりそう。
調査会社ノークリサーチによれば、国内の中堅・中小企業向けERP市場のライセンス売上高は前年比15.4%伸びると見込む。ただ、09年は2.3%と微増に落ち着くと予測している。
景気後退が続けば「最悪でゼロ成長、マイナス成長もある」と見るベンダー経営者は少なくない。SAPジャパンのギャレット・イルグ社長は「国内輸出関連企業のIT投資が鈍化。大型案件に影響が出る」と心配する。ピー・シー・エー(PCA)の水谷学社長は「09年はあきらめの年」と“守り”の姿勢を鮮明にする。
逆に、新たな市場を見つけようとする社長もいる。インフォベックの小林晃社長は「基幹システム向けは土砂降り。だが、国際会計基準やコンプライアンスに関する課題など、09年中に必要なIT投資はあるはず」とみて、すき間を狙うマーケティングを打ち出す方針だ。
業務ソフト業界各社は、「09年はまず、既存顧客を囲い込んで定着を図る」ことを強化すると口を揃える。そのうえで、景気回復の時期にエンジンを掛ける時期を狙うようだ。(谷畑良胤●取材/文)
