低価格でのサービスを実現
サイバーステーション(福永泰男社長)は、動画のデジタルサイネージ(電子看板)をSaaS/ASPで提供するサービスを開始した。デジタルサイネージのシステムは構築費用が比較的高額で、導入できるユーザーは大企業など資金的に余裕のある企業に限られていた。このシステムをSaaS/ASPによって提供することで、導入費用はもとより、ランニングコストも安価に抑えることができる。ディスプレイパネルを販売しているメーカー系の販社などと協業し、拡販を図る。年間10-20億円の売り上げを目指す。
サイバーステーションが提供する動画配信のASP「CYBER MOTION(サイバーモーション)」は、ワンソースマルチプラットフォームでPCや携帯電話など多様なデバイスに対して一つのコンテンツを展開できる。資本関係のあるアイ・オー・データ機器(I・Oデータ)のSaaS/ASPサービスとしてもOEM供給しているものだ。
そのSaaS/ASPの新ラインアップとして投入したのがデジタルサイネージを実現するサービス「サイバーモーション デジサイン」だ。同社独自の商流により、パートナー経由での販売を中心として拡販する。すでに多くの大手メーカー系販社から、販売代理店契約の引き合いがくるほど注目度が高い。
デジタルサイネージは国内で400億円から700億円の市場規模が期待できる成長株の商材で、さまざまなメーカーが力を入れている。だが、ハードとソフトを別途購入しなければならないなど、比較的高額なシステムになるケースも多かった。
今回SaaS/ASPでの提供により、すそ野を中小企業にまで広げた。「安価なシステムがなかったことから、ディスプレイパネルの拡販を図りたいメーカー系の販社からパートナーになりたいという引き合いが来ている」(福永社長)と話す。
同社はI・Oデータ機器のリテール製品を組み合わせて、BtoBのソリューションを開発したいと考えていた。すでにデジタルサイネージに市場性があったことから提供を開始した。I・Oデータ製のセットトップ・ボックス(STB=情報配信端末)、配信用サーバーとして「LANDISK」を採用し、デジタルサイネージ用にファームウェアを作り直した。ハードや回線など必要なものはワンストップで提供する。
ハードウェアにリテール品を活用したことにより、初期費用は約30万円、利用料は1STBで月額9450円と、導入費用やランニングコストを大幅に引き下げた。すでに地方銀行、病院での採用が決まっている。今後は同じく銀行、医療機関や小売業などでの需要をつかみ、年間10~20億円の売り上げを目指す。
デジタルサイネージについては各社各様の取り組みが行われている。安価なサービスが増えることで、市場が活性化し、さらなる成長が期待される。(鍋島蓉子)