GoogleやAmazonに対抗
日本ユニシスは、Google・Amazon型のクラウドコンピューティングサービスの早期実現を目指す。Googleはクラウド技術を率先して採り入れたサービスベンダーであり、Amazonは自身のネット通販用のコンピュータリソースの一部を従量制で貸し出すサービスを始めている。日本ユニシスも大規模なデータセンター(DC)を運用しており、このリソースの一部を安価にユーザーへ貸し出すことで、主に中堅・中小企業向けのクラウドサービスを拡充。DCリソースの有効利用による収益力の強化につなげる計画を示す。
日本ユニシスを初めとする大手SIerは、大手ユーザー企業の基幹系システムのアウトソーシングに耐えうるDCサービスメニューを多数揃えてきた。しかし、ここ数年は主にコンシューマ向けにサービスを提供してきたGoogleやAmazonが、相次いでシステム開発者や法人向けのサービスを投入。現時点では大きく競合することはないとされるが、強大なコンピュータリソースを持つGoogle・Amazonだけに、軽視はできない。
そこで打ち出すのが、Google・Amazonに対抗し得るクラウド型サービスだ。Amazonのクラウド型サービスEC2は、自身のネット通販用のサーバーリソースの一部を貸し出すもので、従量課金制。月額数万円で利用できる手軽さが好評で、ユーザー層を着実に広げている。Googleは検索サービスやオフィスツール、地図などのサービスが充実している。GoogleやAmazonの強みはクラウドや仮想化技術の特性をフルに生かしてコストを削減し、安価にリソースを販売できる点にある。
一方、大手SIerのDCは、もともとユーザー企業別に異なるシステムを預かるホスティング型が多かったため、標準化やクラウド化が難しく、コストが高止まりしていた。日本ユニシスは今年4月からクラウド・SaaS型の「ビジネスパーク」サービスを本格的に始動。パッケージソフトなどを持つISVやSIerを集め、多種多様なサービスを展開する準備を着々と進めている。その先には、月額数万円でユニシスのDCリソースを利用できる「低価格タイプのサービスメニューも用意する」(日本ユニシスの角泰志・常務執行役員ICTサービス本部長)と、Google・Amazonへの対抗意識を明確に示す。
クラウド型DCの効率のよさを生かし、GoogleやAmazon並みの価格帯を実現すれば、ネットを経由して幅広いユーザー層への販路を開拓できる可能性がある。さらに「ビジネスパーク」に集まったISVやSIerのソフト・サービスのメニューを付け加えることで、豊富なサービスを展開できる。日本ユニシスは、法人向けクラウドサービスで優位に立ち、ビジネス拡大につなげようとしている。(安藤章司)