統合製品の開発・販売へ
ウェブフィルタリングソフトを開発するデジタルアーツ(道具登志夫社長)、丸紅情報システムズ(小川和夫社長)、Kaspersky Labs Japan(川合林太郎社長)の3社が、協業を発表した。フィルタリングとウイルス対策の統合製品を開発し、今年9月にICAP(Internet Content Adaptation Protocol)対応版の販売を開始する。ICAP版では2製品を連携させる形で提供し、2010年の第2四半期には完全な統合版としてリリースする予定だ。 単体製品での限界 ソリューションとして提案へ
昨今さまざまなアプリケーションがウェブ化することにより、HTTPへの依存度が高くなっている。HTTPからのマルウェア感染、掲示板への書き込みやウェブメールなどからの情報漏えいも多発している。こうした状況を単独の製品のみで防ぐことは難しく、ソリューションでの提供が需要を増してきたことから、販売代理店の丸紅情報システムズが音頭を取り、協業に至った。
カスペルスキーのアンチマルウェアエンジンは、OEM提供で導入している製品も多い。「グローバルでは80社のOEM供給先がある」と来日中のユージン・カスペルスキーCEOは話す。
またデジタルアーツは、ミック経済研究所「情報漏えい防止型セキュリティソリューションのユーザー導入実態調査-2008年度版」によると、ウェブフィルタリングソフトの製品別導入法人数シェアで「i-FILTER」が46.2%を占める。富士ゼロックスの中小規模事業所向けインターネット環境提供サービス「beat(ビート)」(8.6%)にもi-FILTERのエンジンが使われており、それを含めると「ウェブフィルタリングソフトを導入している」と回答した企業の54.8%がデジタルアーツ製品を導入していることになる。
コストメリットなど訴える 既存・新規のリプレース図る

一方、販売代理店の丸紅情報システムズは、02年からデジタルアーツの販売代理店として、導入・コンサルティングを手がけている。また、カスペルスキー製品は07年から取り扱いを開始した。さらに両製品に加え、1000~2000人規模のユーザー企業に対し、イスラエルのベンダー「Radware社」の負荷分散装置もあわせて納入してきたSIの実績などを強みとして挙げている。
今後はカスペルスキーがデジタルアーツにアンチマルウェア技術を提供し、デジタルアーツが製品を開発。両社からのライセンス提供と技術サポートを受け、丸紅情報システムズが窓口として、一元的にメーカーや同社の代理店SIerに対して製品提供と保守サポートを行っていく。統合により、単体製品を個別に導入するのに比較して2-3割のコストメリットが生まれ、インストールの簡略化や設定ファイル・ログ・レポートの一元管理が実現する。
ターゲットは従業員100人以上の企業で、既存の「i-FILTER」やカスペルスキーユーザー。また、他社のウェブフィルタリングソフト、アンチウイルスソフト、アプライアンス製品からのリプレースも図っていく考えだ。丸紅情報システムズは今回の協業について「i-FILTERユーザーに話を聞くと、以前から、ゲートウェイにアンチウイルス製品を導入したいという声が多かった」と話す。
同社は既存パートナーに対して同製品の取り扱いを勧めていく。今年9月にフィルタリングとウイルス対策の連携した製品をICAP対応版として販売を開始し、2010年の第2四半期には完全な統合版としてリリースする予定だ。一方でデジタルアーツは、戦略として統合製品に力を入れていく。今後の法人ウェブセキュリティ市場に変化が起きそうだ。