日本エイサー(ボブ・セン=詹國良社長)は、法人パソコン市場の攻略を本格化させる。販売代理や保守サービスを提供する認定サービスプロバイダ(仮称)プログラムを整備。向こう1~2年で20~30社からなる販売網を構築する考えだ。パソコン市場では、同社やアスース・ジャパンなど台湾勢がネットブックをはじめとする低価格ノートパソコンを相次いで投入。既存の勢力図が大きく乱れている。この混乱に乗じて一気にシェアを高める戦略に出る。

日本エイサーのパソコン販売台数のうち、約9割はコンシューマ向け販売チャネルによる販売が占める。法人向けチャネルの開拓はビジネス拡大に欠かせない要素。この領域でのビジネスパートナーを増やすための認定サービスプロバイダ(認定SP)プログラムを策定し、ユーザー企業に販売したり保守サービスを提供できる体制づくりを急ぐ。ダイワボウ情報システムや丸紅インフォテックのディストリビュータチャネルはすでに確保しており、今後は地域や顧客に密着したサービスを提供する認定SPを増やすことで販売に弾みをつける。
認定SPでは、「販売と保守サービスを一体的に提供できる」(ボブ・セン社長)ようにする。例えば、保守ではダイワボウ情報システムのグループ会社で保守サービスなどを手がけるディーアイエステクノサービスなどをイメージしているものと思われる。ほかにも事務機系の販売・保守網や独立系、メーカー系のSIerといったパートナーも視野に入れている。
ただ、法人パソコンビジネスはすでに成熟市場であり、新規での参入には困難が伴う。そこで打ち出すのが、“5万円ノート”と呼ばれるネットブックや“10万円ノート”のウルトラスリムである。集積度が高いノートパソコンは、これまでなかなか価格が下がらなかった。低価格のネットブックやウルトラスリムは、エイサーが得意とする分野であり、日本メーカーなど既存勢力が弱い領域。ここを積極的に突いていくことでシェア拡大の“突破口”にする考え。
従来のノートパソコンは、性能が高いと値段が高く、価格を抑えると重量が重くなるなど、一長一短の側面が見られた。エイサーでは、価格を10万円以下に抑え、かつ軽量・薄型のウルトラスリムを“次の主戦場”とみている(図参照)。ネット端末の用途に限られるネットブックをウルトラスリムで補完。ノート市場における価格主導権の掌握を目指す。同社は今年度(2009年12月期)、日本での売上高を前年度比2倍に増やす意欲的な計画を立てている。ウルトラスリムや法人向けチャネルの開拓で目標達成に挑む。(安藤章司)